経営戦略 Vol.40 モデルやCAを派遣!? 『美職』でニーズをマッチング

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局
派遣業界の競争が激化するなか、モデルやキャビンアテンダント(CA)経験者に英会話や簿記を学ばせ、企業に派遣する事業を始めた会社が登場しました。これは、登録者側のニーズも高く、「マッチングモデル」でもあるわけですが、その「華やかなイメージ」に「レベルの高い実務能力」をプラスしようという戦略からは、学ぶべき視点があります。

モデルやCAを一般企業に派遣!?

 ワーキングプアなる言葉も生まれ、非正規雇用者の労働環境に注目が集まるなか、『個性派ハケン』をキーワードに、異色の人材派遣会社が登場しました。「WELLCOM株式会社」では、モデルやキャビンアテンダント(CA)経験者に英会話や簿記を学ばせ、企業に派遣する事業を始めたのです。

 ご存じのように、昨今の人材派遣業界は、淘汰と競争が激化するばかりです。2003年ごろからは、派遣会社への登録者の数も横ばいになり、さらに内部不正の問題を引き起こす企業も現れたことから、「日雇い派遣」の問題も含め、まるで「人材派遣」という制度そのものが悪いようなイメージさえ定着しつつあります。

 

 そのイメージを払拭するには、ぜひ美しい女性たちに活躍してもらおうと考えたのでしょう。同社では、『美職』というキーワードのもと、今年(2008年)3月から登録者を募集し、7月までに約400人の登録者を集めたと言います。そのうち、約3割がモデル経験者、約1割がCA経験者だったそうです。

登録者を対象に、パソコン、英会話、ビジネスマナー、秘書検定2級、簿記3級などの講習会を実施し、3ヵ月後には同社が考案した「Bishoku(美職)検定」(1.2.3級)と呼ぶテストを受けてもらうのだそうです。その結果に応じて、企業の求める水準に合わせた人材を派遣するというしくみを作ったわけです。

 

じつは絶妙な「マッチングビジネス」だった

 同社広報部によると、「営業事務に投入したところ、華やかなイメージが幸いして営業部の売り上げがよくなった」企業もあるそうですが、じつはこのしくみ、登録者側にも十分なニーズがあるのです。どういうことかというと、モデルという仕事には、暗黙の「年齢制限」があるようなものですから、20代後半ともなると、次なる転身を考える人も少なくないのだそうです。

 また、CAも昔より給与水準が下がり、体力的にも過酷な職種であることから、一般企業への転身を考える人も増えているようです。さらに、景気低迷で先行き不安な世の中においては、たとえ結婚しても「専業主婦」でいることを認めてくれる男性も減ってきている…などという事情もあるのだとか(――;) 。

 それはともかく、同社のビジネスモデルは、こうした両者の「マッチングビジネス」でもあるわけです。派遣を受ける企業側にとっても、モデルやCA経験者という職歴は「美しく接客も得意だろう」と、採用の際の安心感もあるようです。

 

複数の「強み」を持ってより強い企業になる!

 もちろん、これまでは、企業側が容姿を採用の条件にするのはタブーでした。同社の取り組みは、一見そのタブーにチャレンジするかのようにも見えますが、内部にきちんとした教育のしくみを持ったことこそが最大の強みです。「華やかなイメージ」に「レベルの高い実務能力」をプラスしようという戦略です。「ひとつの強みに特化せよ」などと教えているコンサルタントもいるようですが、ニーズが多様化する社会において、企業もいつまでも「ひとつ」のウリだけを追いかけていては、成長に限界も来ようというものです。複数の強みをどんどんプラスしていくことで、それらが掛け算されるかのように、企業の競争力は増していくものだということに気づいてください。

 さらに、『個性派ハケン』『美職』といった、差別化のためのキーワードをポンと出してきたところにも、かなりのセンスを感じます。自社の強みをわかりやすい言葉に変える能力も、情報化社会においてはとても大切なものです。

  経営者が“発想力”に磨きをかければ、こんなふうに、停滞しつつある業界でも、何らかの活路を見出せるものなのです。ぜひ参考にしてください (@^^)/~~~。

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