経営戦略 Vol.44 成熟市場に風穴をあけた自転車専門店『あさひ』の戦略とは

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局
自転車といえば、成熟産業の代表的存在ですが、そんななかでも独自の戦略を持って、急成長を続けている企業があります。今回は、『株式会社あさひ』を事例に取り上げ、その戦略を分析することで、経営者に必要な発想力に迫ってみたいと思います。

典型的な成熟産業に風穴をあける自転車専門店

 近年、中国製品などが大量に輸入されるようになった影響で、自転車の価格は下落の一途をたどり、中小の自転車店は淘汰されていきました。今や、自転車販売の主体は、スーパーやホームセンターなどの量販店に完全にスイッチし、少品種大量陳列・セルフサービスによる低価格販売が中心となってきています。

 そんななか、独自の戦略で急成長している自転車専門店があります。その店舗を展開するのは、大阪で設立され、近畿や首都圏などの大都市部を中心に全国で150強の店舗を持つ「株式会社あさひ」です。

  2007年度の販売シェアは7.1%。業界首位であるイオングループの8.2%に迫る勢いです。今年(2008年)の売上高は、前年比26%増の214億円を予定しているそうで、これは9年前の売上高に比べ、なんと“5倍”の伸びで、近くシェアトップを狙っているようです。

 

 

武器は豊富品揃えとプロによる接客

 この急成長の理由を分析してみると「豊富な品揃えとプロによる接客」を武器にしていることがわかります。同社では、1店舗あたり600~800平方メートルと、ホームセンターをしのぐ広さの売り場を確保し、そこに800~1000台という自転車を陳列しているのです(@_@;) しかも、色やサイズを含めた種類数は、ホームセンターなどに比べてケタ外れの多さを誇ります。

 加えて同社では「自転車は本来セルフサービス向きの雑貨ではなく乗り物だ。自動車同様、商品知識を持った店員が接客し、多彩な種類の中から選んでもらう商品。値段も手ごろで、修理や部品交換もする店が求められる」としています。

 とにかく「手厚い顧客サービス」で競合と差別化を図るという戦略は、ビジネスの王道ながら、しっかりと成果に結びついているようです。現に、売上高の約 28%は、修理や部品およびアクセサリーの交換といったサービスから発生している売り上げのようです。

 また、『サンキュー点検』という自転車の簡易車検のようなサービスもなかなかの人気ぶりだそうです。390円で自転車を点検してもらうと、甘くなったブレーキを元とおりにしてくれたり、必要な箇所に油をさしてくれたりするのです。このサービス単体では赤字になることも多いみたいですが、「顧客化」という面から見ると、大いに効果的な作戦ですよね(*^^)v。

 

プライベートブランドで顧客のニーズに応える

 もうひとつ、同社の柱となる戦略は「プライベート(PB)ブランド」商品の企画開発です。これは単に低価格商品をつくるためというより、その顧客層に合った商品を提供するための戦略なのです。

 たとえば、子ども連れの若い母親向けには、タイヤ幅を太くして倒れにくく工夫した自転車を、少し荒っぽい乗り方をする中高生向けには、丈夫なつくりの自転車を…といった感じです。

 今や、取り扱い商品の約半分が「PB商品」だそうですが、こうなると、ユニクロやギャップと同じモデルである「製造小売り」としてのメリットが生まれるわけです。

 この事例からもわかるとおり、自転車といった典型的な成熟産業のなかでも、経営者の発想しだいでは、競合とは一線を画した経営が可能になります。大切なのは、独自のアイデアと工夫を幾重にも折り重ねていくことです。ぜひ参考にしてください(@^^)/~~~。

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