経営戦略 Vol.46 なぜ今「取り置き」サービスのニーズが高まっているのか

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局
書店などには昔からある「取り置き」サービスですがここへきてその利用者が増えているようです。そこからは、ネットでの買い物になれた消費者たちのニーズが浮かび上がってきます。このようにリアル店舗がネットに足りない部分を補うようなサービスを始めたら…いずれにしても、今後のビジネスには「ネットとリアルの融合」という視点が必要になるでしょう。

「取り置き」サービスに注目が集まる

 最近、書店やCDショップ、はたまた百貨店の店頭で、「取り置き」サービスを利用する消費者が増えているようです。「取り置き」は、何も目新しいサービスではありませんが、私はこの現象を見て、「なるほどねぇ…インターネットが普及した今の消費者たちは当然こうなるだろうね」と妙に納得してしまったのです。

 たとえば本を買う場合、あなたはどこで買いますか? おそらく多くのビジネスマンたちは、欲しい書籍がはっきりしている場合はネットで買い、まだ買いたい本が決まっていない場合や、実際にあれこれ見て選びたい場合はリアル店舗に出向くのではないかと思います。

 1日に200冊を超える新刊書が出るといわれている現在、書店に出向いて目当ての本を探すのも至難の業です。また、超ベストセラーでもない限り、必ずその書店に置いてあるかどうかはわかりませんよね。そこで思い出されたように利用が高まっているのが「取り置き」サービスなのです。

 丸善丸の内本店は、洋書を含む書籍在庫数が約120万冊と、国内屈指の大型書店ですが、平日の平均で約2万人が来店するなか、1日600人前後の方がこの「取り置き」サービスを利用するそうです。

 

至れりつくせりの「取り置き」サービス

 丸善お客様サービスセンターの一角では、オペレーターが和書検索端末に向かい、お客さまからの問い合わせに日夜追われているといいます。たとえばお客様は電話口で「裁判員制度に関する本ないですか?」などと質問すると、すかさずオペレーターが端末で調べてくれて、そのなかから気になる本を数冊「取り置き」をしてくれるのです。 

 もっと漠然としたオーダーも可能で「初めてうさぎを飼うんですが、うさぎの飼育に関する本で2千円以内のもの」といった希望にも、きちんとプロが対応し、数冊をピックアップしてくれます。店内に在庫がない場合も、3日~10日で取り寄せてくれるそうです。

 通常「取り置き」期間は2週間だそうですが、お願いすれば延長も可能で、その間、自分の都合のいい時間に書店内の「インフォメーションコーナー」に出向き、そこであれこれ吟味した後、欲しい本だけを買うことができるというわけです。

 「取り置き」は無料のサービスですし、実際に見て、どれもピンとこなかった場合はキャンセルもできるようですから、使わない手はないですよね。

 また、購入額が1万5千円以上なら無料で(それ以下の場合は399円で)買った本を自宅まで宅配してくれるサービスもあります。帰りの電車で読む1冊を除いて、残りを宅配してもらう人も多いみたいです。

 

改めてネットとリアルの融合が消費者のハートを掴む

 つまりこのサービスは消費者にとっての「いいとこどり」です。お客様とはわがままなもので、できれば「全部」から自分の買う商品を選びたいものなのです。といっても、ネットが普及する以前は、物理的に「全部」から探すなんてことはとても無理でした。

 ところが、今は、検索のスキルさえあれば、誰でも事細かな商品情報を集めることが可能です。しかし、ネットの唯一の欠点は「実物が見られない」こと…。そこを補うのがこの「取り置き」サービスなのです。

 すべてのリアル店舗がこのことに気付いたら、ネットだけで運営するショップの経営はいきなり厳しくなるかもしれません。現に百貨店大手の丸井では、自社のネットショップのなかから選んだ商品を予約して、実際に新宿店の一角で「試着」できるというサービスを始めています。

 一方、ネット大手のアマゾンも負けてはいません。アマゾンが今年から「javari.jp」を立ち上げ、靴の販売を始めたのをご存じでしょうか? 靴こそネットで買えない物のナンバーワン的存在でしたよね。サイズだけではわからない微妙な履き心地を必ず試してから買いたいからです。

 ところがアマゾンでは、気になる靴は何足でも送ってくれて、自宅で試した後、気に入らないものは無料で送り返せるシステムを採用したのです。これってすごくないですか? 自宅がフィッティングルームになったのと同じです。

 こんなふうに、消費者の感覚や心理の変化に応じて、求められるサービスも大きく変わっていきます。いずれにしても、改めて「ネットとリアルの融合」という視点を持つことが、これからのビジネスには必須のようです。あなたの会社のサービスが古臭くならないうちに、ぜひ発想を広げてください(@^^)/~~~

起業、経営ノウハウが詰まったツールのすべてが、
ここにあります。

無料で始める