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「ワケあり」や「はしっこ」が検索キーワードの上位に!
少し前から、ヤフーやグーグルの検索ワードランキングに、たびたび登場する言葉があります。それが、「ワケあり」や「はしっこ」といったワードです。楽天市場でも、キズや不ぞろいなどの「ワケあり」商品や、食材の切れ端を集めた「はしっこ」商品などが売り上げを伸ばしており、その商品点数は2000点を超えるといいます。たとえば、チーズケーキの切れ端を袋詰めにした商品などはかなりの人気で、売り切れることも多いようですが、そのほかにも、バウムクーヘンやカステラなどのお菓子類、稲庭うどんやそうめんなどのめん類、ベーコンやハム・ソーセージなどなど……。味や価格に納得すれば「見た目」を気にしない消費者が激増しているのです。
こうした流れは、食品ばかりではありません。生産過程で生じた消しゴムの切れ端、スポンジ、画用紙など、食品以外にも続々と「ワケあり」や「はしっこ」商品が登場しているのです。とても面白い現象ですよね。「格安」「激安」などのワードに加え、「ワケあり」や「はしっこ」は、検索ワードのランキングにも登場してきており、今やブームの様相を呈しています。
私は世の中をどう見ればいいかを教える時に、必ず「世の中は自分のためにお金を出して実験してくれている」という感覚を身につけなさいと言いますが、この「ワケあり」ブームにも、まさにそれを地でいくような展開が起こりました。
ぐるなびの「ワケありクーポン」登場!
これまで「メーカー」の専売特許だった「ワケあり」を、サービス業に導入したのが、あの“ぐるなび”です。昨年(2009年)末から年始にかけて、「夜景が見えない」「見習いがつくる」などの難点を持つ飲食店が「ワケあり」を明示して独自のクーポンを発行できるキャンペーンを始めました。たとえば「見習いバーテンダーがつくるカクテル各種 21時まで半額」や「暖房がききづらい個室でチョコレートフォンデュ食べ放題」「夜景が見えない席にグラスワインを半額で提供」など、これまで店側が積極的に伝えたがらなかったマイナスポイントを逆手にとって、「ワケありクーポン」を発行するという企画です。
今どきの成熟した消費者は、バランス感覚に優れています。積極的にお金を使う分野と、「できるだけ安く」済ませたい分野を分けて、上手にお金を使っているのです。そんな彼らは、「見習いバーテンダーがつくるカクテル」といった、「ちょっと面白い」切り口にはすかさず反応します。「正規の料金を取られるのはちょっと……」と思っても、割引があるなら「試してみたい」と思う人は意外に多いもの。また、「見習いバーテンダーのお酒が飲める安いバーがあるらしいよ」なんて、友達を誘う人も現れるはずで、「ちょっと面白い」切り口は、人に行動を起こさせる原動力になるのです。まさに、進化した情報化社会の産物といえるでしょう。
「安い」だけではもう古い!? 人がモノを買う理由
つまりこの時代、消費者はもう「安い」だけでは反応しないということです。「安さ」をウリにするなら、そこに「なぜ安いのか」という明確な情報を付加すること。さらにその理由が「ちょっと面白い」とか、「友達に言いたくなる」ようなものであることが肝心です。
情報化社会では、自社の「短所」を隠す必要はありません。むしろ逆に「正直さ」や「誠実さ」を前面に出した情報提供をするべきなのです。なぜなら、インターネットという「調べて比べて選べる」ツールが登場したおかげで、消費者自らが商品やサービスをじっくり選ぶことができるから。
「いいものだから売れる」とか「安ければ売れる」時代はとうに終わっています。経営者は、発想を変えなければいけません。消費者がとことん調べた末に選ぶ商品には、なんらかの「理由」が必要なのです。その理由がいつまでも「ワケあり」や「はしっこ」であるとは思いませんが、「買いたくなる理由」を明確に提示した商品やサービスに軍配が上がるのは、普遍の法則です。ビジネスで成功したければ、ぜひ、このあたりの感覚を上手に身につけてください (@^^)/~~~。