携帯電話の使用を禁止する学校が増える中、神戸市の須磨学園中学・高校では、今年度より制服のようにいつも身につけてもらうための「制携帯』を導入したようです。携帯によるトラブルを避けるために「規制」をかけるのとは真逆の発想です。もはや飽和状態に近い携帯マーケットにおいて、風穴になる可能性を感じずにはいられない、この「制携帯』の発想に学びましょう。
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制服ならぬ『制携帯』登場
不適切なサイトへのアクセス、学校裏サイトでの誹謗中傷……。近年、携帯電話をめぐる未成年者のトラブルは後を絶ちません。それを懸念して、携帯電話の使用を禁止したり制限したりする学校も増えているようです。
そんな中、携帯電話の「正しい使い方」を教えようと、あえてオリジナル携帯電話の導入を決めた学校があるのです。神戸市の須磨学園中学・高校では、学校用にカスタマイズされた「制携帯』をつくり、中学・高校それぞれの1年生と教員に配布。初年度は上級生の希望者を含めて約400人が使い始めたそうです。
この電話は定額制になっていて、生徒や教員間の通話は無料。ネットへの接続は、利用時間や閲覧に厳しい規制を設け、もし仮に家出などがあった場合は、保護者と相談のうえ、履歴の確認もできる仕組みになっているみたいです。
生徒からは、「規制は厳しすぎるけど、おかげで先生に相談しやすくなった」といった声も聞こえてきており、アンケート調査ではほとんどの保護者が「制携帯』に肯定的だそうです。
禁止すれば問題は解決するのか……そこが問題だ!
それにしても、最近の若者たちの「携帯依存度」は相当なものです。トイレはもちろんお風呂にまで携帯電話を持って入る人もいるみたいですから、学生時代を携帯とともに過ごしてこなかった私たち世代からすると、理解に苦しむ面が多々あります。
しかし、ただ「学校に持って来てはダメ」と規制すれば、問題は起こらないのでしょうか? そこには大きな疑問が残りますよね。今の若者たちにとって、携帯電話は体の一部のようなものなのでしょうから、無理やり切り離そうとしても、そこには無理があると思うのです(-_-;)。
そう考えると、禁止や規制といった「縮小型」の発想ではなく、安心して生徒に持たせられる携帯をつくろうという「発展型」の発想でしか、問題は解決できない気がします。
発展型で考えていくと、たとえば携帯電話に生徒手帳のような意味を持たせられないかとか、ID機能を付加して出席簿代わりに使えないかとか、校章のようにいつも身につけてもらおうとか、携帯を通じて愛校心を育てようとか……いろいろな発想が浮かんでくると思います(*^^)v。
規制のなかでマーケットを広げる発想
もし、あなたが今、携帯電話会社のマーケッターだったら、限りなく飽和状態に近い携帯電話市場に向けて、どんな手を打つでしょうか? 携帯電話にどんな付加価値をつけられますか? そういった面から考えても、この「制携帯』は、かなりおもしろいと思います。
たとえば、学校のみならず、団体や企業に「オリジナル携帯」を提案するという戦略はどうでしょう。首から提げているIDカードの代わりに携帯電話を支給する企業が出てくるかもしれません。また、企業のロゴマークやキャラクターをデザインし、プレミアム感を前面に打ち出した携帯電話もいいですよね。営業マンが街中で使っていると、周りから憧れの目で見られる……みたいな。
こんなふうに、発想しだいでは、携帯電話に新たなマーケットが開ける可能性も十分あると思います。また携帯に限らず、何らかの規制からマーケットが縮小の一途をたどっている業界においても、活路を見出すヒントになるはずです。この事例を参考に、あなたなりのアイデアを絞ってみてください(@^^)/~~~。