経営戦略 Vol.65 「農業ゲーム」がネットとリアルをつなぐ

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局

 最近、パソコンや携帯で「農業」を体験するゲームが人気を呼んでいるようです。農家からは「我々が命がけでやっている農業で遊ぶとは何事か!」という声も上がっているみたいですが、この時代の流れは、もう誰にも止めようがないように思います。今やマーケティングの世界で「ネットとリアル」をつなぐ役割は、しっかりと「ゲーム」が担っているのです。

 

日本の食糧自給率を「農業ゲーム」で改善!?

農場イメージ ご存じのように、日本は深刻な「食糧自給率」の問題を抱えています。さらには、多くの農家が後継者問題に頭を悩ませているわけですが、そんな問題に一石を投じるために「ゲームを活用しよう」という動きが盛んになっています。
北海道の由仁(ゆに)町は、町を舞台にしたゲーム「北海道ゆーにんふぁーむ みんなで農業プロデュース@由仁町」を開発し、mixiの会員が利用するゲームとして提供しています。農業ゲームはほかにもありますが、実際に害虫の写真が出たりする本格志向のゲームであること、加えて大きさや形が不ぞろいな「規格外野菜」の販売サイトとこのゲームをリンクさせている点が特徴的です。
 プレーヤーは資本金を元手に種や苗、農業機械などを実勢価格で購入し「農業経営」をプチ体験できるようになっています。このゲームは、北海道県庁に40年間勤めた農業専門家・大西ちゅうご先生の監修により、気温、天気、朝昼夜の時間、農薬、リアルな害虫などに関するデータを組み込み、より現実の農業を意識したつくりになっているため、高い「専門性」を有し、遊ぶだけで農業の勉強ができ、さらに実際に農場を経営している感覚までを味わえるのです。
また、ゆーにんふぁーむは規格外野菜を販売する「規格外市場」も運営しているので、ゲームを通じて、農作物は害虫に食われたりして「規格外ができやすいものなんだ」ということを実感したプレーヤーたちに、規格外野菜を買ってもらうことを目指しています。
 現実問題として、多くの農家では収穫した野菜の20~30%強を規格外野菜として処分しているのです。もちろん、自宅や身内で食べたりもしますが、消費しきれない分は捨ててしまっているのが現状です。ですから、この規格外野菜を日本人みなが食べるようになれば、今すぐに国内食糧自給率41%を60%近くまで引き上げることができると考えたわけですね。こうした深刻な問題に真っ向から立ち向かうのに、「ゲーム」というツールを使うとは、何とも“今どき”な発想だと、思わず笑ってしまいましたが、今後の展開を温かく見守りたいところです(*^_^*)

 

農作物が実際に届くゲームも!? 農業をゲームで体験する時代

 一方、エルディの携帯ゲーム「畑っぴ」では、ゲームで収穫した作物が直接農家から届く仕組みを実現しています。携帯アプリの中に自分だけの畑を持って、好きな作物を育てていくいわゆる育成ゲームですが、ゲーム内で作物の育成に成功すると、レタス、じゃがいも、きゅうり、お米、いちご、みかんなどが、実際に宅配便でプレーヤーの家に届くのです(@_@;) ゲーム上で育てた農作物が実際に届いたら、ちょっとインパクトがありますよね。何よりとってもうれしいと思います!(^^)! さらに「ランキング機能」で収穫高を競ったり、「コミュニティ機能」でほかのユーザーとつながったり、「通販機能」で農家から直接野菜を買えたり……という、農業全般を盛り上げる機能を備えていて、なかなかよくできた仕掛けだと思います。
 こうした事例からもわかるように、今や「ゲーム」という存在が、ネットの世界を飛び出して「リアル」社会に影響を及ぼしているのです。賛否両論あるにせよ、この流れはもう誰にも止められないのではないでしょうか……。以前、私のブログにも書いたことがありますが、最近では、過疎地の商店街が集客に「位置ゲー」(GPSと連動した位置ゲーム)を利用して、かつてないほどの集客効果を上げていたりします。また、ゲームを通じて「三国志」や信長などの歴史上の人物に興味を持ち始める若者も多いようですから、決して「ゲーム=遊び」と見下せる時代ではなくなっているのです。頭の固い経営者側がその価値観を変える必要があると、私は本気で思っています(*^^)v

 

実体験の前にまずゲーム。ゲームがマーケティングを変える!

携帯でゲームイメージ と、いくつかのケースを紹介しましたが、我々企業側も、ゲームを上手に自社のマーケティングに取り入れないとならない時代になったということにいち早く気づいてください。マーケティングとは、「自社が狙ったお客様に思ったとおりの行動してもらうこと」です。この商品やサービスを買って欲しいと思ったお客様に、実際に「お金を払う」という行動を取ってもらうためのストーリーを考えることが、マーケティングプランですよね。
 つまり今の時代、実際の行動をしてもらうためには、「まずゲームで疑似体験」というステップがとても有効だということです。最近ではジャガイモが土の中でできることを知らない子どもたちもいるようですから、農作物にまったく無関心な子どもたちに、興味や関心を持ってもらうためには、「まずゲーム」と考えるのが正解かもしれません。
 自社のマーケティングのどの部分に「ゲーム」を取り入れることができるか、これらの事例を参考に、楽しみながら考えてみてはいかがでしょうか(@^^)/~~~

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