経営戦略 Vol.66 あの「リカちゃん」が同窓会マーケットに進出!? 名簿を活かしたビジネスに着目せよ

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局

 タカラトミーのロングセラー商品である「リカちゃん」人形に、思い出の制服を着せて同窓会で販売するという企画が、密かに人気を呼んでいるようです。同窓会の名簿管理を手がける「サラト」という会社が仕掛け人のようですが、考えてみれば「同窓会」名簿は良質のデータベースです。そこから顧客を掘り起こすという発想には、大いに学べるところがありあそうです。

 

思い出の制服をリカちゃんに着せよう

学校のイメージ 少子化が進む中、近年、玩具メーカー各社は「大人」マーケットを開拓することに懸命ですが、あの「リカちゃん」人形が、"同窓会マーケット"に進出しているのをご存でしょうか? 学生時代の思い出の制服をリカちゃんに着せ、同窓会で販売しているというのです(@_@;) 最初にそれを聞いた時「かなりイケてる発想だな。タカラトミーの企画かな」と思って調べてみると、どうやら仕掛け人は、同窓会の名簿管理などを請負っている兵庫県姫路市の「サラト」という会社のようですね。
 栃木女子高校では、昨年(2010年)11月から、同校の制服を着たリカちゃん人形の購入受付を始めたそうです。制服の胸元には校章まで付けられ、冬服と夏服の着せ替えができるよう両方がセットされて1体が送料込みで6,980円。決して安くはありませんし、卒業生と在校生、教職員のみが販売対象なのにもかかわらず、受付開始から2週間ほどで、約2100体の申込があったそうですよ。同校では今年(2011年)で創立110周年を迎えるにあたり、記念の品をつくりたいと話し合う中で、リカちゃん人形が候補に挙がったようですが、「サラト」は2005年頃からタカラトミーに相談を持ちかけていて、これまでに約15校の「制服リカちゃん」を手がけた実績があるようです。制服が変わるのを機に、古い制服を記念に残しておきたいといった要望もあるみたいです。

 

人間心理に通じて潜在的なマーケットをかぎ沸ける

 昨年放送されたテレビ朝日系列のドラマ「同窓会~ラブ・アゲイン症候群」をきっかけに、今、"同窓会マーケット"がかなり熱いようです。テレビCMにも、同窓会をモチーフにしたドラマ仕立てのものが登場したりしていますよね。「サラト」のように、同窓会の幹事代行を手がける会社も売上げを伸ばしていると聞きます。ですから、リカちゃんに限らず、そこに自社商品を提案するという発想は、多いにヒントになると思います。
 とりわけ制服は、今も昔も女の子が学校を選ぶ上で重要なアイテムですし、多感な3年間のさまざまな思い出が詰まった大切な存在ですから、卒業してもしばらくは大切に保存している人も多いと聞きます。しかし、いつか処分しなければならない日が訪れるわけです。きっとこれまでも、多くの女性が、その思い出を形に残せたらいいなと思ってきたと思います。そこには潜在的なマーケットが存在していたわけですね。ほかならぬリカちゃんが、自分の思い出の制服を着ている姿を目にしたら感激するでしょうし、かなりの人が欲しいと思うはずです。同窓会の記念品としては最強でしょう。こうやってみていくと、制服リカちゃんの人気の裏側には、多くの人に共通した人間心理があるのです。その思いが時流とマッチしたとき、そこには確固たるマーケットが生まれます。
 現に「同窓会グッズ」を扱う企業も増えつつあるようで、山梨英和中学校・高校同窓会では、校章を入れた地元の伝統工芸「甲州印伝」の印鑑ケースやキーホルダーを、福岡女子高同窓会では、校章のモチーフをあしらった一筆箋やオリジナルのお菓子(あめやせんべい)を販売し、卒業生から喜ばれているようですよ

 

今ある名簿をどう活かすかが、ビジネスの成否を分ける!

仲間イメージ しかし、このビジネスの本当に賢いところは、同窓会名簿をデータベースにしたビジネスになっている、という点です。はっきり言って、これからの時代、ビジネスの成否を分けるのは『今ある名簿をどう活かすか』に尽きるのです。たとえどんな業種であっても、新規開拓に頼ったビジネスはかなりしんどくなるはずです(――;) 昨年と同規模の売上げを確保することも難しくなっていくことでしょう。決して不景気のせいではなく、日本の社会は少子高齢化に向かっているわけですから、当然国内のマーケットも縮小傾向にあるのだということを強く認識してください。
 だからこそ今、自社の持つデータベースを"資産"として再認識し、そこに何らかの商品やサービスを提供していくビジネス展開が必須なわけです。そういう視点に立ったとき、「同窓会名簿」というデータベースには、かなりの資産価値があるように思えてこないでしょうか? しかも、「同窓会」とは、そのデータベースを定期的にメンテナンスする役割をも担っているわけです。かなり秀逸なデータベースモデルです。もしあなたなら"同窓会マーケット"に対し、どんな商品やサービスを提案できるでしょうか? また、自社の持つ「名簿」の価値は、どのくらいあると感じていますか? そこから何を生み出せるか・・・ぜひ、発想を拡げてみてください(@^^)/~~~

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