経営戦略 Vol.67 英国発「ネット質屋」にデータベースビジネスのヒントを見た!

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局

 その昔、「質屋」と言えば生活に困った人が暖簾をくぐる場所でしたが、今、英国では「ネット質屋」が人気を呼んでいるようです。未だ金融危機の影響が色濃く残る英国では、どうやら富裕層が宝石やらヨットやらを質入れしているらしいのです。
質屋というビジネスで『富裕層のリスト』が取れるとは、なんとも意外ですよね。ビジネスのヒントは、思わぬところに落ちているものです(*^^)v

 

英国で世界初のネット専業質屋!?

質草イメージ1 最近驚いたことのひとつに、英国で世界初のネット専業質屋「ボロー」が人気を呼んでいる・・・というニュースがあります。未だリーマンショックの影響が色濃く残る英国では、近年「質屋」が急増しており、2003年の500店から1800店舗にまで増えたのだそうです。

 そんななか、2008年に創業した「ボロー(Borro)」は、ネット上の質屋のシェア75%を占め、今話題の「Facebook」などにも投資する複数のベンチャーキャピタルが、合計で1000万ポンド(約13億2000万円)の資金を提供するほどの企業になっているというのです。

日本で「質屋」というと、昨年(2010年)の人気ドラマ「ゲゲゲの女房」にも出てきたように、生活に困った人たちが駆け込む場所でしたよね。最近でこそ、一見ブランドショップと見紛うほどのお店もありますが、どちらかと言うと低所得者層がお客様、という構図で来ている業界だと思います。ところが、この英国ボローには、いわゆる「富裕層」と呼ばれるお金持ちたちが、宝石やら高級時計やら絵画やら骨董品やらを預けているらしいです。

 

ネット質屋に集まる意外な顧客層

質草イメージ2 今、なぜ「ネット質屋」に富裕層が集まるのか・・・どうやら、与信履歴が傷つかない短期の高額融資が人気を呼んでいるようですが、顧客の中には、バブル期に不動産投資にのめり込んだ人たちやヘッジファンドのオーナーたちもいるみたいで、なかにはスポーツカーやヨットを担保に差し出す人もいるのだとか(@_@;)

 なんと言っても、ボローが賢い点は、4つの質入方法を用意したことです。一般的には翌日着の郵便で担保品を送れば、査定後すぐに口座にお金が振り込まれるというものですが、1000ポンド(約13万円)以上なら、予約の上で事務所を訪れて手渡すこともできます。
 さらに1万ポンド(約132万円)以上の品物なら、当日着の宅配便も利用でき、送料はボローの負担で、紛失に備えて保険もついているようです。さらに3万ポンド(約396万円)以上の場合は、鑑定士の自宅出張サービスも可能だそうです。しかも出張で来てくれるボローの鑑定士は、サザビーズやクリスティーズなど英国のオークションハウスで働いた経験のある、選りすぐりの目利きだといいます。

 最高で100万ポンド(約1億3200万円)の品物まで質入できるそうですが、こうしたきめ細かいサービスを用意した上で、ネット専業なら24時間、人目も気にせず利用できるわけですから、一度利用した富裕層たちは、必ずリピーターになってくれるんじゃないでしょうか!(^^)!

 

その顧客層の先にあるビジネスをイメージせよ!

 私はいつも「名簿の価値がビジネスを決める」と教えていますが、「質屋」というビジネスで富裕層のリストが集まるとは、さすがに想像していませんでした(笑)。たとえ英国の景気が回復して質屋ビジネスが傾いたとしても、ボロー社は次の一手として富裕層に特化したサービスを展開できれば安泰です。

 つまり、これからのビジネスの成否を分けるのは「集めた名簿の質と量」なのです。特に今後の日本は少子高齢化社会が進み、国内マーケットは縮小の一途をたどります。そんななかでいかに価値ある顧客名簿をつくり、それをデータベースとしてビジネスを展開するか…これからの経営者はそこに頭を使うべきです。

「質屋」というビジネスで富裕層のリストが集まるとは、最高におもしろい事例ですよね。しかも「リピート性」があるので、顧客化しやすいビジネスでもあります。この事例を参考に、あなたらしいビジネスアイディアを、いくつか出してみてはいかがでしょうか? “ビジネス脳”を鍛える最高の訓練になるはずです(@^^)/~~~
 

注) 当コラムではイギリスの事例をご紹介していますが、日本では個人情報保護法により本人から直接に個人情報を取得する際には、その利用目的を本人に「明示」する必要性があります。取得した個人情報・名簿等を明示された利用目的以外で使用する事は禁止されておりますので、ご注意ください。

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