経営戦略 Vol.69 「節電ビジネス」で囲い込み。ヤマダ電機の秀逸な戦略

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局

 この夏に向け電力供給不足への懸念が高まっている中、ヤマダ電機が省電力につながるLED照明のレンタル事業を開始したのをご存じでしょうか? LED照明の消費電力は白熱球の7分の1程度だそうですが、価格の高さが気にかかるところです。そこで俄然「レンタル」が強みを発揮するのです! この戦略で、同社はかなりの大口顧客を囲い込めるのではないでしょうか。

 

「節電意識」をいち早くビジネスチャンスに!

田舎イメージ1 福島原発の被災続き、浜岡原発が停止したことで、首都圏では特にこの夏の電力供給不足が気にかかるところです。当然のごとく「節電意識」も高まりを見せ、この機会に古い電化製品を最新型に取り替えて省エネしようと考える人たちも増えているようです。エアコンや冷蔵庫なども、古いタイプのものを大事に使うより、思い切って新製品に換えたほうが消費電力は大幅に下がるみたいです。もっともエアコンを使わず扇風機にしたほうが節電効果は高いということで、このところ扇風機も“飛ぶように”売れているようです。
そんな中、節電効果の高い「LED照明」は、注目を集めるところです。なんと、LED照明の消費電力は、従来の白熱球の約7分の1とのこと。しかも、LED電球の寿命は一般的に約4万時間といわれていて白熱電球の40倍、蛍光灯と比べても6倍以上と非常に長持ち、一度取り替えれば末長く使えるわけですから、夏までに家中の照明を取り替えたい気持ちにもなりますよね。しかし、そうなるとかなりの金額になりますから、お財布と相談しなければなりません(――;)
そんな“事情”にいち早く目をつけたのが、あのヤマダ電機です。同社は、一日当たり40キロワット以上を使う事業所(たとえば蛍光灯を50本以上使うオフィスや店舗など)を対象に、LED照明機器のレンタル事業を始めたのです。「頭いい~(*^^)v」って感じですよね。

 

「問題を解決する」とそこに需要が起こる

 2011年4月から始まったLED照明機器のレンタル事業ですが、レンタル期間を5~8年に設定し、なんと「初期費用ゼロ!」で事業所内のすべての照明をLEDに取り替えることができるのです。毎月のレンタル料金も、既存照明を使い続けた場合の電気代との差額程度を見込んでいるようで、つまり企業側は実質的な負担を増やすことなく、しかも多額の初期費用を準備することもなく、一気に節電できるわけです。
同社では、初年度の売上目標を「少なくとも10億円」としているようですが、こんなふうに「顧客の問題」を解決すると、一気に需要が起こります。この場合は「取り替えたいけどLEDは高い」という問題を「レンタル」という方法を使って解決したわけですが、ここにマーケットができるわけですね!(^^)! こういう視点で世の中を眺めると、「したいけどできない」問題を解決する方法が見つければいくらでもビジネスを伸ばせる、ということがわかります。私は自らが主宰する「高収益トップ3%倶楽部」で、いつも『世の中は自分のためにお金を出して実験してくれている』と教えていますが、ヤマダ電機の戦略をヒントに、「欲しくてもなかなか買えない」ものをレンタルする事業を展開すれば、時流ともマッチして結構イケるんじゃないでしょうか。

 

ビジネスで「顧客」を囲い込む方法

田舎イメージ2 もちろん「レンタル事業」を始めるには、それなりの資金も必要になりますが、きっとヤマダ電機は、このビジネスを次への「投資」と考えていると思います。この提案、断る理由が見当たりませんよね? 初期投資がゼロのうえに、毎月の電気代も下がるわけですから、レンタル代を入れても長期的には経費の削減になるという計算が成り立ちます。ですから、企業側に上手く提案さえできれば、大抵の企業はOKするんじゃないかと思います。ということは、同社はこのビジネスで一気に大口顧客を獲得することも可能だということです。一度取引できれば、LED電球以外の製品を買ってくれる可能性も出てきますから、この先同社が「顧客化戦略」に失敗しない限り、レンタル事業にかかった費用は「将来への投資」となるのです(*^^)v
同じ商品でも「レンタル」にすることで、長期的な利益が出てヤマダ電機は儲かり、さらに顧客獲得も出来る・・・これって、体力(=資金力)のある企業の戦略ですよね。
一方同社の家庭向け戦略としては、「蓄電池の販売」を据えています。これまでは業務用として販売されていたリチウムイオン蓄電池(80万円と180万円)を一般家庭向けに発売するようですが、これも「節電意識」にキャッチアップした秀逸な戦略ですよね。このたびの東日本大震災はまさに国難といえる状況ですが、賢く知恵を働かせる事で企業は生き残っていけます。この事例を参考に、ぜひ新しいビジネスモデルを楽しく発想してみてください(@^^)/~~~

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