経営戦略 Vol.71 どう「敷居の高さ」を越えさせるのか。家事代行サービスの集客戦略に学ぶ

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局

 誰もがちょっと試してみたいサービスのひとつが「家事代行」ですが、いざとなるとなかなか敷居が高いのが現実でしょう。そうした視点で家事代行各社に注目してみると、「親孝行」戦略など、人間心理を巧みに読んだ戦略が見て取れます。「初めの1回」の利用を促進するための視点として、他業界でも大いに参考になるかもしれませんね(*^^)v

 

家事代行サービスを「親孝行」として使ってもらうという作戦

 共働き家庭ともなると、家族の協力があるとはいっても、主婦の家事負担はかなりのものになります。「家事を誰かに頼めたら…」は、家事以外にも習い事やママ友とのランチ会などで何かと多忙な今どきの主婦の本音かもしれません。また、最近では週末を家事にあてるのはもったいないとの考えから、「家事代行」を頼むケースもあるといいますが、そうは言っても、初めて家事代行を頼むのは、かなり敷居が高いはずです。「家事代行を頼む前にそれなりに掃除しなきゃ」といった声も聞こえてきますし(笑)、自分でやればタダのところにお金を使うのは、どことなくもったいなさや後ろめたさがついて回るものでしょう。近年、家事代行サービスには大手企業の参入もあり、競争は激化するばかりですが、正直なところ、集客はそう簡単にはいかないのではいでしょうか。
 そんな中、絶妙なプランを打ち出した会社があります。「カジタク」では、『親孝行プラン』として、たとえば遠隔地にいる親御さんの元に、家事代行スタッフを派遣するサービスを用意しているのです。「母親が亡くなって、一人暮らしの父が心配」とか「両親共に高齢なので、家事の負担を減らして、その分趣味の時間を増やしてあげたい」といった子ども側の気持ちに応えた秀逸なサービスです。週1回の訪問×4回で28,000円からのようですが、この程度の金額で『親孝行』できるなら、と考える子ども世代も、案外多いのではないでしょうか。

 

「痒いところに手の届く」メニュー作りがキーになる

 一方、家事代行各社の「メニューの細分化」にも注目したいところです。掃除や洗濯、料理はもとより、前出の「カジタク」でも、「蔵書管理」「洗車」「布団丸洗い」「ペットシッター」「ペットシッター」「ホームリペア」「宅配レンタカー」などのメニューを幅広く用意しています。掃除や洗濯を他人に頼むのは気が引けても、なかなか自分ではできない家のちょっとした傷の修理をプロに頼めるのなら、意外と抵抗なく頼めるのではないでしょうか。
 また、日用品を定期的に補充してくれるサービスを始めた会社もあります。「ベアーズ」では、今年(2011年)5月からこのサービスを導入しましたが、洗剤やシャンプー、ミネラルウォーターといった消耗品が少なくなったら、同社のスタッフが購入から容器への詰め替え、ごみ処分までを代行してくれるのです。料金としては、年間管理費として5,000円のほか、購入実費と10%の手数料がかかるようですが、高齢で重たい商品を買いに行くのが苦になっているご家庭などでは、とても重宝するサービスではないでしょうか。こうした「オプションメニュー」を利用したくて、契約するお客さんも増えるのではないかと思います。

 

「初めの一歩」をどう越えさせるかに知恵を絞ろう!

田舎イメージ2 「家事代行」サービスのように、ちょっとは使ってみたい気持ちはあっても、「初めの一歩」がなかなか踏み出せない商品やサービスは、世の中に多く存在すると思います。そうした意味では、今回の事例は他業界でも大いなるヒントになるはずです。たとえば先の『親孝行プラン』の前段階として、母の日、父の日、敬老の日、あるいは誕生日などの機会に、ご両親へのプレゼントしてみましょうと促す『ギフト戦略』もいいでしょう。親孝行という人の「良心」に訴えかければ、「初めの一歩」のハードルもすんなり越えられると思いますし、ご両親に「お試し」が気に入ってもらえば、継続利用の可能が出てきますよね。
 マーケティングとは、往々にして消費者との「心理戦」である場合が多いものです。「初めの1回」を利用してもらうために、こちら側で"階段"を上手に用意してあげる必要があるのです。この事例を参考に、自社の「初めてのお客様」のために、どんな階段を用意できるか・・・楽しみながら、あれこれ知恵を絞ってみてください(@^^)/~~~
 

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