経営戦略 Vol.77 顧客を見直せ!? 次世代の顧客を探るファミマの「大人向け」コンビニとは

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局

 コンビニと言えば「若者」の聖地といったイメージでしたが、昨年(2011年)末ファミリーマートが、東京・代官山に「大人向け」の店舗を開店しました。じつは、スーパーより少量で買えるコンビニは、単身で暮らす高齢者にとってこそ最適な存在だったのです。結果、客単価アップに成功したこの事例は、他業界でも十分参考になるはずです。

自社の“本当の”顧客は誰か

 昨年(2011年)末、コンビニエンスストアのファミリーマートは、東京・代官山に、50~65歳の顧客層をターゲットにした「大人向け」のコンビニを出店しました。同店には、通常よりも単価が1割弱高い食品や雑貨を約700種類揃え、ワインも約60種類ほど置いたようです。また、板張りの床や光が柔らかなつり下げ式の照明を採用し、落ち着いた雰囲気を演出しています。さらに、7席のイートインスペースも設け、あくまでも「大人」にやさしい店づくりを目指しました。

これまでコンビニと言えば、ある意味「若者の聖地」的なイメージがありました。おにぎりなどのお弁当類や飲み物、お菓子、インスタント食品などが店内の好立地に置かれ、日用品を買うためのスーパーとは一線を画していたと思います。しかし少子高齢化が進み、単身もしくは夫婦二人暮らしの高齢者世帯が増えてきた昨今、家の近所にあり、しかもお惣菜などがスーパーより少量パックになっているコンビニは、じつはこの世代にこそ最適な存在になってきていたのです。

「おとなコンビニ研究所」の研究成果とは

 そんな時代背景もあり、同社は2010年9月、同じく東京・代官山に「おとなコンビニ研究所」なる機関を設立していました。そこでは、素材を吟味した弁当の開発などを手がけてきたようですが、つまり同研究所の拠点である代官山に実店舗をつくり、本格的なテストマーケティングを試みていると思われます。競争の激しいコンビニ業界で生き残っていくためには、新たな顧客層をいち早く取り込んでいく戦略をとりはじめたのでしょう。

実は、シニア層にとって買い物は大仕事です。子育て中の家庭をメインターゲットにした大型スーパーでは、歩き回るだけで疲れてしまうでしょうし、かといって、従来型のコンビニでは、毎日のおかずや生活必需品は買いにくいものです。「大人コンビニ」はここを狙ったのです。シニア層にとって買い物しやすい店舗とは・・・同社の研究の成果が、いよいよこの店舗で試されるわけですね。

次世代の顧客をも視野に入れよ!

 同店に置かれた約2600品目の中には、イチゴと生クリームのスイーツ420円や屋久島の有機煎茶1575円などの高額商品も目立ちます。その他、輸入菓子や無添加せっけんなど、約3分の1の商品は同店のみで取り扱っているものだそうです。そうしたオリジナルの高額商品を並べた結果、客単価が約1割ほど上がったようです。同店が成功すれば、この業態が一気に多店舗化されるかもしれませんね(*^^)v

 これからの時代、たとえどんな業種・業態でも、次世代の顧客層をテストマーケティングで探っておく必要があるでしょう。国内マーケットが縮小に向かっていく時代背景では、顧客層の読み間違えが大きな痛手になるからです。この事例を参考に、自社の既存顧客を見直すことはもちろん、将来的に顧客になる層の予測を立て、そこに向かって何らかの戦略を立ててみてください。

 このコラムでもたびたび言及していますが、起業と経営は違います。経営とは「継続と発展」です。
ぜひ長期的な視野を持ち、マーケティングをブラッシュアップしていきましょう(@^^)/~~~

起業、経営ノウハウが詰まったツールのすべてが、
ここにあります。

無料で始める