経営戦略 Vol.82 ホテル×通販!? 企業間コラボでマーケットを「共有」する

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局

 通販のニッセンと藤田観光がコラボし、横浜桜木町ワシントンホテルに「体験型通販ルーム」をオープンしたようです。カタログで販売中のアイテム10点を部屋に設置し、部屋から直接Webやモバイルを使って注文もできるという企画です。異業種とのコラボで互いの顧客を共有できれば、多額の投資なくマーケットを拡大できます。他業種でも大いに参考になる事例ではないでしょうか。
 

異業種とのコラボが進むホテル業界

 ここ数年、都内近郊には外資系の高級ホテルが続々と誕生し、老舗ホテルといえども、安穏とはしていられません。そんな背景もあってか、今、ホテル業界では、異業種とのコラボ戦略が進んでいるようです。東京プリンスホテルは出版の白泉社と連携し、人気漫画「ガラスの仮面」の世界観を体験できるスイートルームを企画しています。前回の好評を受けての第2弾企画だそうですが、登場人物である社長・速水真澄の執務室や寝室をイメージした「エクゼクティブスイート」と、女優・姫川亜弓のプライベート空間を再現した「プリンセススイート」の2室を用意。それぞれに、コミック全48巻も完備し、1日1組限定で(2012年)4月25日までの予約を受け付けています。

 一方、メーカー×ホテルというコラボ事例もあります。以前、大阪のホテル阪急インターナショナルにあった「パナソニックコラボルーム」ですが、そこには、デジタルハイビジョンプラズマテレビ、BD/DVDレコーダー、マッサージソファミニコンポ、乗馬フィットネス機器、素肌ケア、加湿空気清浄機、シーン切替照明、寝室環境システム、ナノケアドライヤーなどのパナソニック製品が揃っていて、宿泊客が自由に使えるようになっていました。期間限定プランではあったものの、そこはさながら高級なショールームと化していたわけです。

体験型通販ルーム「みなと横浜アジンルーム」誕生

 そんな中、通販のニッセンと藤田観光が販促戦略でタッグを組んだのです。その第一弾として、横浜桜木町のワシントンホテルに、体験型通販ルーム「みなと横浜アジンルーム produced by nissen」がオープンしました。照明付ランタンフロアーベッド、エアリーシェイプスマート、綿100%モンステラ柄掛布団カバー、シャギーラグ、フットマッサージャーもみギア、カラーボディスケールなど、現在ニッセンのカタログで扱っている商品をホテルの部屋で実際に使っていただけるという企画です。商品選びに関しては、ニッセンと横浜桜木町ワシントンホテルそれぞれの女性従業員が、ニッセンカタログの商品の中から「あったらうれしい」「ぜひ試してみたい」と思うアイテム計10点を選定したそうですが、部屋には詳しい商品説明も備え付けられており、気になった商品はWebやモバイルを使ってその場で注文してもらおうという作戦です。カタログ通販やネット通販の場合、どうしても「よさそうだけど…実際に見てみないとわからないから…」という消費者心理がつきまといます。この企画が、そんな迷えるユーザーの背中を押すとわかれば、いきなり多店舗で採用…なんて展開もあるんじゃないでしょうか。
 

これからは「マーケットの共有」がキー!?

  いつも言うように、これからの日本は少子高齢化社会が進み「右肩下がり」のマーケットになるわけですが、どの業界でも新規顧客を増やすのは容易ではなくなりますから、顧客獲得のための代替プランを持たねばなりません。そこで「企業間コラボ」なのです。先の事例は、リアル店舗を持たない通販会社に、ホテル側がショールームとして部屋を貸したように見えますが、実際は、ビジネスユースの多いワシントンホテルにも、若い女性層を取り込めるという利点があるのです。

 つまり、互いの顧客データを「共有」することで、企業間コラボが成立しているわけですね。コラボに成功すれば、多額の投資なくして「インフラ」が手に入り、ダイナミックなビジネスが展開できる可能性もあるのです。今後、こうした動きは他業界にも広がりそうですね。この事例を参考に、「自社が組むべきパートナーはどこか」といった視点で世の中を眺めてみてください。いつもと違ったアイデアが閃くかもしれませんよ(@^^)/~~~
 

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