経営戦略 Vol.89 白洋舎がユニフォームレンタル!? 新規事業展開に必要な視点とは

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局

 グローバル化やデフレが進む日本経済。国内市場の競争は苛烈さを増し、これまでは安泰だった業種であってもビジネスモデルの転換や多角化、複数の事業展開を考えないといけない時代となりましたが、そんな中、クリーニング最大手で老舗の「白洋舎」が、食品業界に向けてのユニフォームレンタル事業に注力していく方針のようです。新規事業展開における大事な視点を学べる好事例として、取り上げてみましょう。

日ごとに縮まるビジネスモデルの寿命

 時代のスピードは日ごとに加速し、ビジネスモデルの寿命も縮まる一方です。古き良き時代には、ひとつの商売が当たれば、親・子・孫の3代が食べていけたのかもしれませんが、今やどんな業種でも、1社で複数の事業展開を持つことは当たり前となっています。

 そんな中、今回はクリーニング最大手である「白洋舎」の新規事業展開に着目してみました。 同社の今年(2012年)上半期の連結最終損益は、2億6800万円の黒字だったようですが、売上げの増加ペースが鈍っていることに危機感を感じているのか、「法人向けユニフォームレンタル事業」に注力する方針を打ち出したのです。

 中でも食品関連メーカーへの営業を強化していく戦略で、そのため昨年(2011年)、大規模クリーニング工場では初めて食品安全管理の「ISO22000」を取得。衛生管理基準の高い企業をターゲットに、ユニフォーム事業で年間2億円の増収を見込んでいるのだとか。

近年、とくに食品業界では衛生に対する意識が高まっていますし、レンタルであれば社内でユニフォームを管理する手間もなく、常に全員が清潔な白衣を着用できるわけですから、かなり的を得た戦略のように思えます(*^^)v

設備投資からうかがえる同社の本気度

 同社の「法人向けユニフォームレンタル事業」に対する“本気度”は、その設備投資からも伝わってきます。食品安全管理の「ISO22000」を取得したのはもとより、レンタル用の白衣を管理するために、独自のシステムを構築したのです。レンタル用の白衣には、バーコードラベルとICチップを取り付け、部署や氏名はもとより、洗浄や仕分けの方法、入出庫履歴、クリーニング回数まで自動的に記録できる、かなり精度の高いシステムを開発したようですよ。これを見るだけでも、相当本気で勝ちに行っていることがわかります。

  また、同社が賢いと思うのは、同時に数々の“実験”を行っている点です。たとえば、高齢化社会の到来でニーズの高まっているクリーニングの集配事業、マットやモップのレンタル事業、さらにはふとんやカーテンなどを含めたハウスクリーニング&リフォーム事業なども手掛けているのです。

 さらに、これまで「待ち」のビジネスであったクリーニング業に「提案型営業」を取り入れ、攻めに転じています。本業が元気なうちに、周辺ビジネスを広げていこうという同社の意気込みがうかがえますよね。

日本には新規事業を立ち上げた経験のない会社が多い!?

 じつはここ近年、私のもとには「新規事業の立ち上げ」に関する相談が多く寄せられます。長きに渡って右肩上がりの時代を経験してきた多くの日本企業、とりわけ中小企業の2代目・3代目経営者さんともなると、自ら事業を立ち上げた経験のない方も少なくありません。私の見る限り、どうも日本には新規事業の立ち上げを不得意とする会社が多いようなのです(―_―)!!

その点「白洋舎」の新規事業モデルはかなり秀逸ですから、大いに学ぶべきでしょう。着目すべきは、同社の手掛ける新規事業が、どれも“本業の支援”にもなっているという点です!(^^)! 近年、売上げの増加ペースが落ちてきているクリーニング業が、レンタル事業に後押しされる可能性は高いでしょう。

 新規事業の立ち上げ方にはいくつかセオリーがありますが、「本業の周辺を狙う」という視点は、オーソドックスながら成功の確率が高いように思います。この事例を参考に、自社の本業の周辺にビジネスチャンスはないか…あれこれ楽しみながら、発想を拡げてみてください(@^^)/~~~

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