今やシェアハウスで暮らすというスタイルも一般的になりましたが、最近ではさまざまな個性派物件が登場してきました。中でも飲食店の開業志望者を対象とした物件は、かなりの人気を呼んでいるようです。そんなユニークなシェアハウスを運営するのは、不動産会社の「デルタ・キャピタル・インベストメンツ」。今回は、そのビジネスモデルを紐解いてみることにしましょう(*^^)v
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■「所有」から「共有」へ…若者の意識の変化とシェアハウス人気
近年、日本にも「シェアハウス」が増えました。ひと昔前までは、留学生など外国人のための物件がほとんどでしたが、敷金・礼金がいらない、都心に格安な家賃で住める、家に帰っても寂しくないetc…などの理由から、シェアハウスで暮らすというライフスタイルを選択する人が増えたようです。シェアハウスを選ぶ理由はさまざまでしょうが、そこに共通するのは、「所有」から「共有」へという若者たちの意識の変化ではないでしょうか?
バブル世代の若者たちは、「どれだけ持てるか」に向かってモチベーションを高めていきました。ブランド物に身を包み、自家用車を持ち…やがてはマンションや一戸建ての家を買うことを目標にしていた人が多かった。しかし、今の若者たちは「所有」することには、ほとんど興味を示さず、できるだけ仲間と「共有」しながら、快適な人生を送っていきたいと考えている人が増えていると思います。そんなメンタリティとマッチしているからこそ、シェアハウスが人気を呼んでいるのでしょうが、その中でも、不動産のデルタ・キャピタル・インベストメンツが子会社を通じて運営する、飲食店開業志望者専用シェアハウスのビジネスモデルは、かなり秀逸です(*^^)v
■プロ用の厨房機器で新メニュー開発も!? 自由に使える共用キッチン
東京大田区にある「コネクトハウス池上」も“個性派物件”のひとつですが、「食をテーマにしたビジネススクールシェアハウス」と銘打ち、築40年の4階建てマンションを全面リフォームして、部屋ごとにオーブンレンジなど最新の調理機器を備え付けた物件です。さらに、入居者が自由に使える共用キッチンは、広さ50平方メートルもあり、この物件の目玉となっています。飲食店でしか見かけない業務用のタニコー製の厨房機器一式が導入されているのですが、入居者たちはそこで新しい料理にチャレンジしたり、隣人らを招いての試食会を開いたりすることも多いようです。
また、共用のイベントルームを使って、プロによる調理技術指導や飲食店経営についてのセミナーなども開催されます。実際に飲食店を経営する方を招いた講演会では、「開業までにどのくらいの資金がかかりましたか?」など、具体的な質問もバンバン飛び出すとか…。こうした入居者たちの熱意に応えるべく、独立開業後に必要な会計やマーケティング、店舗運営のノウハウなどについても、講師を招いて教えているのです。
将来飲食店の開業を目指す若者にとっては、これだけ至れり尽くせりの環境が整っていて、気になる家賃は月5~6万台円と、近隣の物件よりかなり割安になっていることから、オープンから常に30人が入居し、満室状態が続いているといいます!(^^)!
■全入居者の「ビジネスコンテスト」で開業資金を出資!?
しかし、これだけ設備にお金をかけ、手厚いサポートまでして、物件としての採算が取れるのかとちょっとだけ心配になってしまいますが、じつは同社が「ベンチャー・キャピタル」という別の顔を持っていることを知り、妙に納得してしまいました(*^_^*)
同社のポール・ヤング社長を始めとした主要メンバーは、ゼネラル・エレクトリック(GE)の不動産部門の日本法人出身者ですが、単なる物件の売買だけでは「入居者との接点がないことに物足りなさを感じた」そうで、2000年に独立し、入居者の開業支援などを手掛ける同社を立ち上げたといいうわけです。
今後は、全入居者を対象に「ビジネスコンテスト」を開き、優秀者に開業資金を出資する計画もあるそうですが、一般のビジネスコンテストのような書類だけの審査と違い、入居者対象なら、その人の“人となり”もわかるので、投資リスクも減るのではないでしょうか。これは、他業界でも多いに使えるモデルでしょう。業界別のシェアハウスを運営し、その道のプロを目指す若者を育成する…かなり面白いことになるかもしれませんよ。そして、こんなふうに「ひとつ上の視点」を持つことで、ビジネスは限りなく発展するものなのです(@^^)/~~~