アニメ制作大手のトムス・エンタティメントは、2013年5月中旬から子ども向けアニメの視聴用端末を歯科医院向けにレンタルする事業を始めるそうです。聞けば「なるほど!」と思うビジネスですが、このモデルのように“その業種すべてに向けて何かする”という発想からは、学ぶべき点も多いものです。
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アニメ端末で、歯医者さんが楽しい場所に変身!?
セガサミーグループでアニメ制作大手のトムス・エンタティメントは、この5月中旬から歯科医向けのアニメ視聴用端末のレンタル事業をスタートするようです。レンタルするのは「スマイルタッチ デンタル」というタッチパネル式の端末で、あらかじめこの端末を使って治療方法を説明するそうですが、キャラクターが登場して治療内容やレントゲン写真の撮影などについてわかりやすく説明するアニメを、小児歯科専門医と共同で制作し、治療前に子どもの患者さんに見せることで、不安を和らげるために活用していこうというのです。
さらに治療中は、その端末を診療用の椅子に取りつけます。子どもたちは画面にタッチして、「それいけ!アンパンマン」や「きかんしゃトーマス」などの中から好きなアニメを選び、治療中に視聴することができるのです。これさえあれば、子どもにとって歯科治療が楽しい時間となる可能性もありますね♪
気になるのは価格ですが、この端末をレンタルするには、導入時に48,000円(アーム付き)もしくは28,000円(スタント型)のどちらかを選び、以後レンタル料として月4,800円もしくは年48,000円を支払うシステムになっています。
小児科で始めたビジネスを歯科医へと拡げる
この事業の背景ですが、同社はすでに2010年より小児科向けのレンタル事業を開始しており、現在全国の小児科医に約300台の端末を導入して、約3,000万円の売上げを上げています。それを知った歯科医から「歯科医向けの商品もほしい」という声が多数聞こえてくるようになり、アーム付き端末の開発へと乗り出したようです。
昨年(2012年)12月から約2ヶ月間にわたり、首都圏にある歯科医でテストマーケティングを試みたようですが、「子どもが泣かなかった」「落ち着いて治療が受けられた」といった好感触が得られたことから、本格的に歯科医向けのレンタル事業をスタートさせたのです。
今後はレンタル先を歯科医と小児科の双方向で拡大し、14年3月期にはレンタル事業全体で5億5千万円、数年後に11億円の売上げを狙うといいますから、かなりの本気度がうかがえますね(*^^)v
伸びている業種を前に、2つの道がある
自社でひとつの商品やサービスが生まれたとき、それを売っていく方法にはいろいろありますが、この事例のように、「業種を絞って攻めていく」という戦略は、かなり賢いやり方と言えます。さらに、その業界が伸びているのであれば最高なわけですが、縮小に向かっている日本のマーケットにおいて、歯科医院の数は不思議と伸びているのです。現在、歯科医院の数は6万8,500軒余りだそうですが、その数は10年前より約3,000軒以上増えているのだとか(@_@。
伸びている業種や業界を見つけたとき、そこには2つの道があります。ひとつは、自社の新規事業としてそこに新規参入するという道、もうひとつがその業種や業界すべてに向けて何かを提供するビジネスをする、という道です。そして、後者のほうが圧倒的に成功しやすい、ということを知っておきましょう。もちろん、歯科医院の場合は一般企業がおいそれと参入できる仕事ではありませんが、「全国の歯科医に向けた商品やサービス」ならいくらでも開発できるわけですね。この事例を参考に、自社にも“業界丸ごと”攻められる商材はないか・・・楽しくアイデアを絞ってみてください(@^^)/~~~