経営戦略 Vol.96 電子雑誌と一緒にタブレットを割賦販売!? PCデポの新戦略

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局

 パソコン専門店のPCデポが、雑誌の電子版とタブレット端末のセット販売を始めたのをご存じでしょうか? つまり、タブレットの代金を分割払いに設定し、毎月の雑誌の購読料と一緒に課金するわけですが、タブレットの初期設定をめんどうに思う層にとっては結構ありがたいサービスのようです。ユーザーサポートを含めた新たな販売の視点かもしれません(*^^)v

雑誌こそ電子化に適したメディア!?

 最近、電車の中でスマホやタブレットで本や漫画を読んでいる姿を見かけることも当たり前になってきましたが、ちょっと気になって電子書籍の普及状況を調べてみたら、実際に電子書籍を読んだことがある人は56.8%(※1)にもなるそうです。また、日本に電子書籍なるものが登場したのは意外と古く、最初の電子書籍リーダーは1990年代にソニーが出した「データディスクマン」と言われています。しかし、電子書籍が本格的に注目されだしたのは、iPadやAmazon Kindleが登場した2010年以降でしょう。ただ、電子書籍市場は意外に伸びていないそうで、世界的にも市場はむしろ縮小傾向(※2) にあるそうです。
※1) MMD研究所調べ。
※2) 日経産業新聞 2013年3月28日の記事より http://www.nikkei.com/article/DGXNASDD27002_X20C13A3000000/

 そうした電子書籍ですが、みなさんは日頃から積極的に活用しているでしょうか? 私はもともと本が大好きなので(*^_^*)、ついつい「やっぱり本は紙だよなぁ~」などと思ってしまうのですが(笑)、それでも電子書籍はやはり便利そうなので、購入をしようと考えるものの、各社が争うように出しているタブレット端末と、それぞれのデータ形式の共有性等の問題もあり、なかなか決め手に欠けます。

 しかし、趣味の雑誌となれば話は別で、美しい写真を眺める系の雑誌こそ、電子化に向いているのではないでしょうか。たとえば旅行の専門誌であるとか、車やバイクの雑誌であるとか、和装を含めたファッション誌であるとか…それを眺めているだけで幸せ系の雑誌は、タブレット端末ともっとも親和性が高いはず。だいたいそうした雑誌は重いので、鞄に入れて持ち歩くのも困難でしたが、タブレットなら重さを気にせずに持ち運べますし、その上関連の「動画」も簡単に見ることができちゃいます(^^♪ 近年廃刊する雑誌も多い中、雑誌の電子化こそ、火急の課題ではないでしょうか。

パソコン専門店のPCデポの新展開とは!?

そんな中、パソコン専門店のピーシーデポコーポレーションは、ちょっとユニークな戦略を打ち出しています。なんと、雑誌の電子版とタブレットのセット販売に乗り出したのです! タブレットは「iPad2」「iPadミニ」か「Nexus7」などを選択できるのですが、そのタブレットの代金を、携帯電話のごとく月々の割賦販売にするわけですね。しかも、雑誌の3年間の購読料とタブレット代を含めた月々の購読料は1,000円程度からという手軽です。今、雑誌の定期購読をしている人って意外に少ないと思うのですが(気に入った号だけ買うのが一般的ですよね)、定期購読者が増えるのは、出版社の経営的にも大きなアドバンスになります。

一方ユーザーのメリットとしては、とかくめんどうな初期設定がいらないこと。タブレットにあらかじめ希望の雑誌データが入っているので、買ってからの細かい設定などしなくてもすぐにお目当ての雑誌が読めるわけです。これならPC操作に疎い人でも、安心して申し込めますよね。案外これは、ユーザーサポートの一環から生まれたサービスなのかもしれません。さらに、契約期間内にタブレットの新機種が出た場合、追加料金を払えば最新機種への変更ができるのです。これもユーザーにとっての大きなメリットですよね。つまり、PC専門店という自社の強みを最大限に活かした展開になっているわけです。

モノとサービスをセットで売るという発想

 現在同サービスと提携している雑誌は、生活情報誌の「エッセ」「レタスクラブ」、カメラ雑誌の「デジキャパ!」などのほか、「日経ウーマン」「日経トレンディ」「週刊東洋経済」「プレジデント」など、ビジネス誌の分野にまでおよび、相次いでそのタイトル数を増やしています。

同社は近年、PCおよびスマホやタブレットでのネット関連のサポート事業を拡充していく方針で、ITに不慣れな人を中心に、Wi-Fiの設定、データのバックアップ、基本ソフト(OS)の更新などのメニューをそろえ、昨年(2012年)の売上げの3割近くを、こうしたサービス事業が占めているようです。かつてのように、パソコンの頻繁な買い替え需要は起きませんから、パソコン専門店としての生き残りの道を、この電子雑誌とタブレットのセット販売のように、「モノとサービスの融合」に賭けたのかもしれません。果たしてこのサービスが電子書籍の裾野を広げるられるかどうか・・・今後の展開にしばし注目していきましょう(@^^)/~~~

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