経営戦略 Vol.101 「ななつ星in九州」に学ぶ富裕層ビジネスのツボ

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局

 先月運行を開始した豪華寝台列車「ななつ星in九州」は、最高客室で55~6万円という高額にもかかわらず、かなりの人気を集めています。来年(2014年)6月出発分までの国内向け予約はすでに完売だとか。これは「富裕層ビジネスのツボ」を学ぶ上での絶好の事例ではないかと思い、今回取り上げることにしました(*^^)v 

「安くて良いもの」志向が、市場から買いたいモノを無くした!?

 JR九州が今年(2013年)10月15日に運行を始めた豪華寝台列車、「ななつ星in九州」をご存じでしょうか? 最高客室で55~6万円という高額にもかかわらず、予約の抽選倍率は7.3~9.6倍というたいそうな人気ぶりで、来年6月出発分までの国内向け予約はすでに完売だそうです。それを受け、同社は来年7月出発分から最高70万円に値上げする方針で検討に入った、などという声も聞こえてきます。

モノが売れない時代と言われて久しいですが、この事実から何が見えてくるでしょうか? 近頃、富裕層ビジネスに関する講演依頼なども多いので、私は広く事例を集めているのですが、どうやら富裕層に言わせれば、「市場には買いたいモノがない」というのが本音のようです。消費不況を理由に、日本中が「安くて良いもの」に向かっていった結果、マーケットには「安いけどそんなに良くないもの」が氾濫してしまったのです(―_―)!!

モノが売れないもうひとつの理由は、多くの人が「すでに持っている」からです。「モノよりコト」などという言葉も使い古された感がありますが、この「ななつ星in九州」のヒットで、「誰もしたことのない特別な体験ができるとあれば、人は惜しみなくお金を使う」ということが証明されたのではないでしょうか。

ポイントは「人に伝えやすいエピソード」付きの体験!

 成熟した経済社会では、物質的に満たされた人たちが、「貴重な体験志向」に向かっていきます。たとえば、欧米の富裕層たちは、パーティーの席で「いかにおもしろい話題を提供できるか」こそがステイタスであり、そのためにわざわざアフリカ旅行へも出かけたりするのです。そもそも「人に話す」のが目的ですから(笑)、「誰もしたことのない特別な体験」が「人に伝えやすいエピソード付き」であるなら申し分ないわけですね。そうした富裕層の心理を理解しておくと、この「ななつ星」の人気にも納得がいくでしょう(*^_^*)

「ななつ星in九州」は、思わず人に伝えたくなるエピソードが満載なのです。たとえば、内装に「人間国宝・十四代酒井田柿右衛門」さんが生前に手がけた洗面鉢やランプシェードが使われていたりします。「洗面台が柿右衛門なのよぉ~」と、セレブな奥様ならずとも、思わず人にしゃべりたくなりませんか? ちょっとハイテクな方なら、即刻スマホで写真を撮って、その場でSNSに投稿してしまうかもしれません。

「ななつ星」から海外へ発信する日本流の「お・も・て・な・し」

そうは言っても、列車の定員はわずか30名ですから、「運行自体が収益に大きく貢献するわけではない」と同社もコメントしていますが、“日本版オリエント急行”として、この情報が海外の富裕層たちに広く発信されていくことを考えると、日本の観光ビジネスにとっても明るいニュースではないでしょうか。客室乗務員たちは約一年間の特別な研修を受け、厳しく鍛え上げられたそうですから、日本流の「お・も・て・な・し」の発信基地として、上手に機能してほしいところです。

ご存じのように、これからの日本は、少子高齢化の一途をたどります。海外からたくさんの旅行客を呼び込むことは、日本経済の生命線でもあるのです。海外セレブたちはみな、「魂の記憶に刻まれるような貴重な体験」を望んでいます。ぜひそんな視点で、富裕層ビジネスを発想してみてください(@^^)/~~~

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