Vol.4 営業のコミュニケーションスキル3~お客様と対立姿勢をとらない

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局

 前回までのコラムで、営業におけるコミュニケーションスキルの2つのポイントについて述べてきました。
 今回は、3つ目のポイントです。

 3つ目のポイントは、「お客様と対立姿勢をとらないこと」です。

 対立姿勢を取らない、すなわちお客様の言い分を十分に認めて、受け止めることです。 決して、“言いなり”になることではありません。“認める”のです。

 新規顧客の開拓方法では、飛び込み営業やテレフォンアポイントメントを取ってから訪問するスタイルがあります。

 最初のアプローチでは断り文句をあびることが多いため、反論をどのように切り崩していこうか腐心する人がほとんどのようです。そうして失敗するたびに“営業嫌い”に向かってしまうのではないでしょうか。

 新規開拓営業の場合、顧客になって頂ける可能性が高いのは、次にあげる二つのケースでしょう。
 1.まだ、そのサービスや商品を体験したことのない人に、利用を決断してもらうこと。
 2.競合他社のサービスや商品を利用している人に、自社への乗り換えを促すこと。

■お客様の言い分を肯定する

 1.のお客様が、あなたの勧めるサービスに興味をもったとしても、営業マンに悟られないために無関心を装うものです。営業マンに優位に立たれたくはないと考えるからです。そういった心理がわかるだけでも、お客様から素っ気ない反応をされるたびに傷つくことが少しは減るのではないでしょうか。

 具体的には、「あなたの言い分を受け止めていますよ」「気持ちに共感していますよ」という、“受容”を表す言葉をジェスチャーも交えて反応して差し上げることが大切です。

【受容の5原則の例】
(1)ほめる:「お詳しいのですね」「お手入れが行き届いていますね」
(2)ねぎらう:「お疲れのところ恐れ入ります」「ご足労おかけしました」
(3)共感する:「お気持ち、お察しいたします」「私も同じ考えです」
(4)認める。同調する:「そうですよね」「おっしゃるとおりですね」
(5)謝る。感謝する:「申し訳ございません」「ご指摘ありがとうございます」
〈引用:『人見知り社員がNo.1営業になれた 私の方法』長谷川千波著/祥伝社〉

 仮に、あなたが勧める商品に対して、お客様が間違った認識をお持ちだとします。そんなとき、ついやってしまいがちなのは、「相手の言うことを否定して、自分の正しさを主張する」ことです。例えば、こんな具合です。
「いえいえ、当社のサービスのほうがお客様満足度は高いという結果が出ています」
「いいえ、今すぐ始めないと、後で後悔なさいますよ」
このような言い方では、たとえ営業マンのあなたの主張が、何かの根拠や証拠に基づいているものだとしても、お客様は素直に受け入れることはしません。反発心が生まれるだけです。

 だからこそ、第一声では「相手の言い分を肯定する言葉」に徹することが、売れる営業になる大事な要素なのです。

 特に人見知りの性格の人は、自分の話を聞いてくれる人のことは好きなくせに、自分は人の話をきちんと聞けていないところがあります。あいづちにしても、自分では、「少しオーバーリアクションではないかな」と思えるくらいに、大きくわかりやすく打つことが大切です。

■他社の商品を褒めることで警戒心を解く

 2.の、競合他社のサービスや商品を利用しているお客様には、なにはともあれ、その他社商品を褒めるのです。

 「いいものをやられていますね」「いいものをお持ちですね」
あるいは、「お目が高い」「あなたの判断は正しい」といった意味合いの褒め言葉で、しっかりと他社サービス・商品を立ててください。

 ところが売れていない人は、その逆をやるのです。他社をけなしてしまうのです。自社商品を引き立たせるために、他のものを貶めるやり方は、お客様でなくても聞いていて愉快ではないことを知ってください。

 お客様は、他社を選んだことを非難されるいわれもないですし、自分の判断を否定されたような気になれば、気分を害されます。

そして、「この営業マンは、これから自社商品が良いものだとアピールをして、売り込みを始めるのだろうな」と察知し、身構えます。

 そういう態勢にさせてしまっては、あなたが勧めるものが本当に優れた商品であっても、お客様には少しも伝わらないでしょう。

 あるいは、「あっちゃあー、B社を使われているんですかぁ」と、残念そうな顔をして、おどけてみせる見せる人。それも決定的に間違っています。卑屈に見えるだけ、損な印象を相手に与えてしまいます。

 また、ストレートに「お使いの商品に、何かご不満はありませんか?」と尋ねることで、お客様のニーズをすくい上げる方法も、あるにはあります。

 ただしそれは、お問い合わせをくださったりご来店頂いたりして、お客様があなたに聞いてもらいたがっているならば、そのような問いかけでも大丈夫です。

 しかし、営業マンから声をかけているのに、「何かご不満は……」と尋ねたところで、「正直に答えると、弱みを見せることになる。営業マンに売り込むための材料を与えるだけだ」と悟られてしまいます。ですから、「いいえ、別に。満足していますよ」と、このリアクションが本音か建前かわからないままになります。

■受容することでお客様の本音を引き出す

 良い対応方法は、前で述べたように、誉めて受容することから始めることです。 「私は、B社のものを愛用しています」と答えたお客様には、第一声から次のように誉めてください。

「良いものをお使いでいらっしゃいますね!」「良いサービスを受けておられますね!」  そして、ヒアリングも好意的な話し方で進めてみましょう。

 「いつ頃からお使いなのですか? 3年前からですか!ロングユーザーでいらっしゃるのですね」

 本当に他社商品で満足している人とは、この会話で終わりになるでしょう。
 しかし、営業マンに弱みは見せたくはないけれど、本音ではB社商品に不満を持っている人もゼロではないはずです。人は、けなされればムキになって自分の判断をかばおうとしますが、強く誉められると、「ううん、良いところばかりじゃないのよ」と、今度は自分から否定をしてくる人が現れます。その人が、ターゲットになり得るお客様なのです。

 そういったお客様に潜んでいるニーズをすくい上げることができたら、自社商品の訴求ポイントがおのずとわかってくるのではないでしょうか。

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