ウェブに限らず、サービスを発展、成功させるにはポイントがいくつかあります。サービスがビジネスの役に立つこと、生活になくてはならないことなど…。ウェブに目を向けると、最近ではサービスや企画のおもしろさが共感を呼び、たくさんのファンを作るケースが多く見受けられます。本コラムでは、ウェブにおいて、どのようにしておもしろい企画を作っていくかをお話させていただきます。
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企画は、自身の記憶や体験がベース
「恵比寿で飲んでいたんだけど、2軒目に行こうとしたらどこも満席で、結局帰宅することになったよ」
2006年春、知人のちょっとした一言で、2次会.comは生まれました。もちろんシステムやビジネスプランを詰めたのはもっと後になりますが、企画自体はこの瞬間に完成しました。
「2軒目がリアルタイムに探せたら、お店を捜し回る新入社員や学生が喜ぶかも」
「ホテルやフライトの予約みたいに空き状況が分かったら便利かも」
その場でアイデアを出し合い、サービス名も決定していました。
おもしろい企画というのは、自分自身でも気づいていない潜在的な記憶や体験がベースとなっています。それがちょっとしたキッカケで呼び起こされ、からみ合って形となるのです。おもしろい企画は待っていても考えていても生まれません。日常から感じることが大切です。その企画がビジネスとして成立するかは、あとで判断すればよいのです。
おもしろいかどうかで判断
ではその企画をブラッシュアップさせるにはどうすればよいのでしょう。
答えはひとつ、「おもしろいかどうか」です。
企画を生み出すときには、必ずブレスト(ブレインストーミング)を行いますが、大前提は「否定しない」ことから始まります。ビジネスのリスクやシステムの課題はあったとしても、制限を持たせずに自由にアイデアを出し合うことが企画をより研ぎ澄ましたものにします。
企画の数だけ壁は立ちはばかります。2次会.comの場合でも、サービスを実現するためのシステムの仕様や、それに伴う開発費が大きな課題となりました。しかし、その課題をクリアしていく過程で企画がおもしろさを失っては意味がありません。企画の実現に向けて、「おもしろいかどうか」は判断材料として持ち続けることが必要です。さらに言うなら自分たちも「やってておもしろい」と思えることも重要です。
「説明不要の分かりやすさ」、そして「日本初」
2次会.comの場合は、企画からリリースまで6ヶ月を要しました。その間にシステム開発やマーケティング戦略を行いましたが、それでも企画当初のコンセプトは一貫していました。サービス名は「説明不要の分かりやすさ」と「遊びゴコロ」を両立させた2次会.comで最終確定、サービス内容も初めて使ったユーザーが直感的に操作できるよう、ギリギリまで機能を削ったシンプルなものにしました。こうして生まれた2次会.comは「日本で初めて飲食店のリアルタイム空席情報を配信するモバイルサービス」となりました。
「日本初」「業界初」「第一人者」としての価値は、企画をさらに魅力なものにします。たくさんのウェブサイトや雑誌で紹介され、サービスのリリース後1ヶ月間で10万ページビューという反応の高さとなりました。どんなにニッチなマーケットでもよいので、他社のマネをしていないオリジナルのサービスをスタートさせるということは、おもしろい企画の最低条件といえます。またビジネスを発展、成功させるためにも先行してマーケットに参入することはとても重要です。例えば、太平洋を世界で2番目に単独横断飛行した人物はバート・ヒンクラーで、最初に横断に成功したチャールズ・リンドバーグより少ない燃料で早く飛行できたと言われていますが、知名度はリンドバーグにはおよびません。
2次会.comは企画力あってのサービスです。その後も新入社員や学生向けのコンテンツとして「合コン列伝」といったストーリーをモバイルサイトで配信、数多くのファンを生み出すに至り、複数の企業からスポンサー支援を名乗り出ていただけるまでに成長しました。おもしろい企画というのは、見た瞬間に理解されるシンプルなものであるべきだと思います。
今回はおもしろい企画をサービスとして実現する方法について、事例を通じてお話させていただきました。次回は既存の商品やサービスをおもしろい企画で集客や販売を後押しする方法についてお話させていただきます。