第1回はおもしろい企画をサービスとして実現する方法について、第2回は既存の商品やサービスをおもしろい企画で盛り上げる方法についてお話させていただきました。今回はおもしろい企画を具体化するために大事なことについてお話させていただきます。
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思いついた瞬間に企画の9割くらいは完成している
おもしろい企画は、自身の記憶や体験がベースとなっていて、ときにはマーケティングからは導き出せないことをお話させていただきました。その企画ですが、思いついた瞬間に9割くらいは完成していると言っても過言ではありません。逆を言えば、思いついた瞬間がもっとも尖った企画であると言えます。
では残り1割で何をするのか。
ひとつは右脳を使った作業、つまり企画のブラッシュアップです。信頼できる人に出会い、企画が熱を持っているうちにどんどん話してみてください。熱を持った企画は、たくさんの人のハートを動かし、知恵となって返ってきます。企画にもよりますが、いろんな年代の人に聞いてみるとよいでしょう。
そしてもうひとつは左脳を使った作業、つまり企画の実践に向けた戦略の構築です。企画を実践するためにはたくさんの壁が存在します。マーケティングを行い、ビジネスモデルをしっかりと組み立てて、課題をひとつひとつ取り除いていきます。
これらの作業は相反するものであり、簡単ではありません。おもしろくても実現できないかもしれないし、実現できてもおもしろくないかもしれません。では、どのように進めればよいのでしょう。
仲間を増やす
それは仲間を増やすことです。ひとりでは難しいことでも、仲間がいれば実現に一歩近づきます。他社とのコラボレーションも企画としての魅力の一つです。まわりを巻き込んで、ムーブメントを起こしていくことが成功へとつながります。
そして否定的な意見もしっかりと取り入れることです。突き抜けた企画は理解されにくく、反対されたからと言って止めるものでもありませんが、意見を聞いて納得できるものであれば、改善する必要があります。これが意外とできないことが多いのですが、客観的な意識は絶えず持っておきましょう。
時間も場所も関係なく、24時間アンテナを張る
おもしろい企画は待っていても考えていても生まれません。同じ業界で他社が行っていることに倣うケースも見られますが、それでは企画が話題となることはなく、集客アップや売上アップといった効果はそれほど期待できません。ではどうすればおもしろい企画を生み出すことができるでしょうか。
まずひとつに、異なる業界を参考にすることが挙げられます。クライアントの多くは、同じ業界の他社をベンチマークとしますが、異なる業界からのほうがヒントは得られます。
そして、得られたヒントを加工してみます。組み合わせてみる、削ってみる、足してみる、反転させてみる…。手法はそれぞれですが、加工によって生まれる「やられた感」や「意外性」は人を惹きつけます。その振れ幅が大きければ大きいほど、おもしろい企画と言えます。
ヒントを加工するには、左脳ではなく右脳で行ったほうがいいでしょう。まず間違いなく、リラックスした状態でいるときの方がおもしろい企画が生まれます。散歩中、入浴中、就寝前と人によってさまざまですが、生み出そうと思って生まれるものではないところがやっかいです。困ったら遊びに出かけてください。
そしてもっとも重要なのが、24時間常にアンテナを張っておくことです。企画を思いつこうと真剣に考えていれば、感性が研ぎ澄まされて、日常の些細なことからでもヒントは得ることができるはずです。それができる人は、観察することにも貪欲で、どんなことからでも情報を得ようと常に飢えています。特に街中は企画の宝庫です。電車でのビジネスマンの過ごし方、カフェでの女の子の会話、ショップのディスプレイ…。体温のある情報は貴重です。ヒントを得たら、メモを取る癖も付けておきましょう。
いろんなメディアやエンターテインメントに触れることも大切です。テレビ、雑誌、新聞、映画、マンガ、ウェブなど、しっかりとチェックしなくてもよいのですが、目に入れるようにしておくと、次のトレンドを予測できるようになります。
3回にわたっておもしろい企画の作り方について、お話させていただきました。新しい企画を生み出すのは難しいことですが、ぜひ自分自身が楽しむ心、わくわくする気持ちを忘れないでください。