戦略的営業 Vol.1 営業設計図の有無が起業の明暗を分ける

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局

起業における「事業計画書」の作成は、とても大切な作業です。 金融機関などのステークホルダー(企業活動と関係するあらゆる関係者)に経営戦略の妥当性の説明していくうちに、自らの事業を俯瞰(ふかん)し、客観的に捉え直す事ができる効用も持っています。
しかし、この「事業計画書」がいくら立派でも、成長軌道に乗るとは限りません。 なぜなら「事業計画書」は、あくまでも「事業」が社会に適合するか、市場性はあるのか、採算性はあるのか、という”大まかな視点“での論証であり、具体的に売上へと直結するまで練り上げていないためです。
仮に販売面の計画を立てていても、「誰が」「何を」「どのように」販売するのか?というマクロ的な視点が強いのが一般的。
したがって、業計画書だけではなく、同時に「営業設計図」を作る事が大事です。

事業計画書だけでは売り上げはついてこない?

イメージ1もちろん、マーケティング力や営業力を鍛え上げた人であれば、どのような状態からでも「売上」を作り出し成長軌道に乗せるでしょう。

ところが、そうでない場合。「事業計画書」の作成だけで満足していては、危険です。

売上をあげるためには、より詳細に売上があがる場面をイメージしなくてはなりません。
例えば、「24時間風呂のシステム」を開発していて、これを販売しようと目論んだケースを想定して考えてみましょう。

「24時間風呂のシステム」の事業計画書には

「誰が」    65歳以降で定年退職を迎え時間にもお金にもゆとりのある初老男性
「何を」    いつでも風呂に入れる24時間風呂
「どのように」 ホームページと飛込み営業で販売する。

という計画があるとします。

しかし、この程度の計画では、起業直後につまずいてしまうのは目に見えています。

もう少し、掘り下げて見てみましょう。
まず「誰が」というターゲティングと、「どのように」という販売方式との親和性が保たれていなくては売上につなげることは出来ません。

上記の事業計画書では、そもそもの課題として、「初老の男性」と「ホームページ」に親和性があるのか?という視点から疑問が生じてきます。

また、飛び込み営業にも、もう一歩踏み込んだ考察が必要です。

近年、飛び込みやTELアポなどのプッシュ型のダイレクト・アプローチが厳しくなってきています。 その一つの理由として「悪質なリフォーム業者が老人を騙して強引はセールスをしている」 などの報道番組がクローズアップされたりしているのも影響しているでしょう。
このように、販売面で計画や戦術イメージに甘さが出ると、起業した後に右往左往する事態に追いやられます。
従って、「買い手の感情や行動パターン」「市場の状況」などを織り込み、「さぁ明日から営業を仕掛けて売上をあげるぞ!」という具体的なイメージが出来位までブレイクダウンした「営業の設計図」を作成することが必要です。

営業設計の考え方

イメージ2では早速、さきほどの「24時間風呂のシステム」という事業計画を元に営業の設計をしてみましょう。

前提としては、「65歳以降で定年退職を迎え時間にもお金にもゆとりのある初老男性」に「いつでも風呂に入れる24時間風呂」を提供するコトです。

販売手法は当初ホームページと飛び込み営業と“漠然“と決めていましたが、「初老男性がホームページを見るだろうか?」「飛込みは、その営業手法自体が厳しくないか?」など早くも計画段階で懸念材料が上がってきてしまいました。

そこで総務省の「世代別インターネット利用率」で65歳以上の人のネット利用率を調べます。 すると42%以上の人がネットを活用していることがわかりました。 つまり、おおよそ半数にはアプローチできるという結果です。 ただ、検索エンジンをバリバリ使いこなして、24時間風呂を購入するまでのプロセスをネット上で完結させることが出来るだろうか?と想像すると、この場面は想像しがたいです。

したがって、飛び込み、ホームページを上手く連動させるためのシナリオを考えた方がよさそうです。 例えば、イキナリの飛込みは不審がられると想定されるので、まずはチラシを配る。
そこには、簡単に自社のホームページにアクセスできるような仕掛け(グーグルやヤフーなどで検索され易くする施策SEO等)をして、スムーズに閲覧してもらうよう設計する。
ゴールは「キーボード操作が苦手だ」という顧客層を想定し、電話かFAXに絞り、「問合せ」してもらう事にフォーカスしたサイト作りを行う。
問合せが来たら、ホームページと同じシナリオのセールスブックを元に、訪問商談して、契約に持ち込む。 また、その訪問時に周辺に同じチラシを撒いた住宅に対して、「先日チラシをお配りした●●です」とローラーをかける。
人は、何度か接触をすると「親近感」を持つという心理を活かし、また新たな見込客を発掘していく。

この程度まで、営業シナリオを煮詰める事が出来れば、後はチラシのコピー、営業トーク、ホームページ作りと、具体的に詰めていくことが出来ます。

このように、起業直後に「こんなハズじゃなかった・・・」と頭を抱える前に、事前にしっかりと「営業設計図」を作ることが肝要です。

次回のコラム「戦略的営業 Vol.2 見込客発掘から、受注に至るまでの「営業設計図」を作ろう!」では、営業設計図の作成に必須の顧客の状態管理について説明します。

バックナンバー

戦略的営業 Vol.1 営業設計図の有無が起業の明暗を分ける

戦略的営業 Vol.2 見込客発掘から、受注に至るまでの「営業設計図」を作ろう!

戦略的営業 Vol.3 「営業設計図」に基づく行動管理で、合理的な経営を実現する。

起業、経営ノウハウが詰まったツールのすべてが、
ここにあります。

無料で始める