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屋外広告の現状
かつては屋外広告というと、新幹線や高速道路 の沿線に立っている看板広告(いわゆる野立て看板といって田畑などに立っているもの)、家の壁面に打ち付けられている看板広告などが多く見かけられまし た。住宅会社や化粧品会社などの業種が多かったですが、最近は景観条例などの規制化が進み、撤去もしくはクライアントの自主規制により数的には減少傾向に あります。
また、都市部でも屋外のネオン広告・看板広告が規制される動きもあり、かつての屋外広告のカタチやイメージは変化してきていま す。
逆に、最近では、OOHメディアという新しい広告媒体として、企業のマーケティング活動や広告戦略に、その特性(現場感)を活かした 新たなポジションを獲得するようになってきています。今回は、OOHメディアを交通広告と屋外広告に分けて、最新の情報をお伝えしながら、起業に役立ちそ うなポイント押さえていこうと思います。
今や列車の中は新しい広告でいっぱいで ある
交通広告の代表は何と言ってもいわゆる「中づり」と呼ばれる車中にぶら下がっているポスター広告でしょう。雑誌の発売やイベントの 告知など、掲出期間がだいたい2~3日間という中で「今日」「明日」という情報を伝えるにはもってこいの媒体です。この中づり広告も、最近ではポスターの 真ん中に穴があいていたり、商品そのものの形状を表していたり、1枚のポスターという概念を越えた表現手段に取り組む企業が多くなってきました。
例えば、サントリーの「伊右衛門」、“のれん”をかたどった布製の特殊加工ポスターや、紅葉を特殊素材で作成しポスター代わりに掲出した広告展開は記憶に 新しいところです。サントリーらしい、伊右衛門の商品イメージ、テレビCMとの連動感がある広告展開で、販売促進以上に商品のブランドイメージの向上に大 きな影響を与えたと考えています。
また、実際の缶コーヒーを吊したり、人口毛を触れるように添付したポスターなども話題になりました。
今では、中づり広告も情報を伝えるだけではなく、使い方しだいでは、商品のブランディングにも影響を与えることができるメディアになったといっていいでしょ う。
フィッティングアドも登場した交通広告
最 近話題になっているフィッティングアド(試着広告)という手法が、交通広告にも使用されています。そもそもフィッティングアドというのは、ショップのウイ ンドウ前に立つと、まるで試着をしているかのようにコーディネートが楽しめる広告をいいます。この広告手法を使って、地下鉄の窓枠を利用して時計メーカー のIWCがプロモーションを実施したのです。吊革につかまると自然と窓に張られたミラーステッカーに印刷された新作ウオッチがあたかも自分の腕に装着され ているように見える。通勤途中のサラリーマンの男性には大変好評だったということです。
交通広告の可能性はまだまだ拡がる
ただ、中づり広告をはじめとする交通広告は、その列車に乗車 しないと広告に接触できないという制限もあります。だから、今回ご紹介した特殊加工型の中づり広告やフィッティングアドにも電車に乗らない人や電車媒体自 体がない地域の人には伝わらないというデメリットがあります。しかし、ターゲットや投下効率からまだまだ交通広告の可能性は広がると思われます。
特に、地域の起業家の皆さんには限られた広告媒体の中でも重要な選択肢になるのは間違いありません。ぜひ、ご検討いただき、ITツールと連動した新しい交 通広告の使い方を発見していただきたいです。