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ライバルは必ずいる
インターネットの普及によっ て、情報が高速化している現在。
「素晴らしい事業を思いついたぞ」と思ってインターネットを調べてみると、すでに先行して開始している会社 があった、なんてことはよくあります。
競合のいない分野にこだわって新しい事業アイディアを探しているうちに、また先を越されてしまった。 そうして先延ばしにしている内に結局何もできなかった、なんてことはありませんか?
電話帳に載っているような馴染み のある企業でも、それぞれの会社の個性で成り立っているものなど、ライバルの存在を分かっていながら起業している会社もあります。
あ なたが、こんなことに心当たりがあるならば、今回お話しする日本コミュニケーショントレーナー協会の事例は役に立つかもしれません。
後発企業の事業戦略
日本コミュニケーショントレーナー協会(http://www.1com.jp/) のメインは、NLP(神経言語プログラミング)という特殊な心理学の講座です。
特殊な分野ですが、意外と歴史は古く、立ち上げ時にも、すで に先行して同じ事業を行っている団体がひしめく中で、後発としてのスタートでした。
しかし、立ち上げ後わずか1年余りで、新規事業者が参 入して成功するには難しい業種にも関わらず、先行する団体に引けをとらない実績を出してきています。その秘訣は決して難しいものではないのです。
まず、何よりも大切なのは見込み客の心理を知ることです。
そのために
・ 見込み客にとって何が問題なのか?
・ 何を欲しているのか?
・ どうなったら良いのか?
これらについて、自 分自身の経験のほか、見込み客の意見を体験セミナーなどを通じて、積極的に聞くようにしました。
その結果分かったことは、講座に興味を持つような人は、すでにいろいろな情報を集めていて、どこ の団体で学ぶのが良いのかを比較検討している人が多いということが分かりました。
多 くの見込み客は講座には行ってみたいけれど、いったいどの団体が自分には一番合っているのか、分かりにくいと感じていたのです。
また、どこまで実践的に使えるものなのだろうか、という不安も同時に持っていることが分かってきま した。
そこで、ライバル団体を調査した結果、差別化するポイントとして、実践的、少人数制で丁寧な指導、低価格、元はア メリカのノウハウを日本人向けに分かりやすいように伝える、などの方針を打ち出しました。
見込み客の話から、先行するライバルに欠けてい る差別化ポイントを探り出したのです。
差別化ポイントは分かりやすく伝わらなけ れば、無いのと同じ
差別化ポイントがあっても、見込み客に適切に伝わなければ無いのと同じです。そこで、その伝え方に も大胆な工夫がされています。
サイトでは、分かりやすく伝えるためのあるツールが使われています。
ポジショニングマップなどと呼ばれ、通常はコンサルタントなどが事業戦略を練る上で、その会 社の差別化ポイントや方向性を決めるために使うツールです。
従来は裏方で使っているツールを、そのまま見込み客への説明で使用したので す。
その結果、日本コミュニケーショントレーナー協会の特徴が直感的に分かるようになり、明確な差別化をアピールするこ とに成功しました。
現在では、開催する講座が定員オーバーでキャンセル待ちになることもあるほどです。
差別化とは、覚悟を決めること
もちろん、こうした結果がすべてこのポジ ショニングマップのおかげというわけではありません。
体験セミナーをはじめ、さまざまなセミナーの質の向上や顧客の側に立った細やかなフォ ローなどが、顧客の安心感や満足につながり紹介が増えたことなどもあげられます。
しかし、集客の入り口としてのホームページで、ポジショ ニングマップが見込み客の直感的な判断の助けになっていたことは確かです。
顧客視点にたち、ライバルがやっていない事 で、顧客にとって利益のある自社の特徴を作り出し、分かりやすく伝える。
一言でいうのは簡単ですが、実行するにはちょっとした勇気が必要で す。
だから、チャンスがあるのです。
ツールが有効に働く背景には、「ライバルがいるからやめた」ではな く、将来の顧客のために新たにどんな価値を生み出せるのかを顧客心理から考え、それを実現するために覚悟を決めることが重要なのです。