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顧客流出の経済的ダメージはいかほど?
起業したばかりの会社 の切実な問題は、どうやって新規顧客を獲得するか、ということだと思います。
「始めから顧客がついていた」、という人もいるかもしれませ んが、ほとんどの起業家は何でもゼロから始めるわけですから、顧客がゼロでもそれは当然のことです。しかし、このように創業当時はゼロだった顧客も半年、 1年と時間が経つうちに、うまくいけばそこそこの数になってきます。
こうなると、よりいっそう新規顧客の獲得に目が向きがちです が、実は賢い経営者はこの時期から逆の発想も考えることができるのです。それは、つまり既存客へのマーケティングです。なぜ、既存客へのマーケティングが 有効なのか?それは簡単な算数でも説明がつきます。
一人の顧客を失うということは、それまでその顧客にかけてきた投資と新規に穴埋めする ための顧客獲得コストという2倍のコストを失うことになります。それだけではありません。その顧客から将来得られたかもしれない潜在的な利益、あるいは紹 介によって得られたかもしれない利益まで考えれば、その損失は相当なものです。新規顧客と既存顧客とを比べると、そのマーケティングコストは5~25倍の 開きがあると言われるのも、まんざらではありません。
コスト一つとってもこの調子ですから、その他にも失うものを考えたら……
顧客を失う本当の理由
それでは、顧客を失わないためにはどんなことに気をつけ たらよいのでしょうか?商品やサービスの圧倒的な品質?顧客満足度を上げるためのサービスの充実?マメなフォロー?どれも必要なことのように感じますが、 何かもっと大切なものを忘れているように感じませんか?
あるアメリカの調査では、顧客を失う理由のうち4%程度は亡くなったり、引っ越し たりといった理由、そして、14%は友人、親戚のアドバイスまたは自分自身の判断で他社に乗り換え、不満足と感じて乗り換える人は14%程度といわれま す。どうでしょう?言われてみれば、自分自身のことを思い出してみても本当に嫌な体験をして買わなくなるということは、少ないのではありませんか?また は、1度ぐらい頭にくることがあっても、また同じ店にいって買い物をしたということもあるはずです。
ここまであげたものを足しても3割程 度です。では、残りの7割弱の理由は何なのでしょうか?残り7割の理由。それは、実は「大切に扱われていないと感じた」という理由だったそうです。
業種や細かな事情により、数字は異なることとは思いますが、会社としてどうにもできない理由はとても少ないということは分かると思います。ほとんどの理由 は、会社の取り組みしだいで防ぐことができるのです。もちろん、まともな会社であれば顧客を大切に思っていることでしょう。
そして最近で は、それを顧客に実感してもらうにはどうしたらよいかという具体的な方法もさまざまな事例を通じて語られています。しかし、方法を求めるあまり本質的なも のを見逃しては何にもなりません。
大切に思っている気持ちの伝え方は、いくらでもあるのですから。