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モデルとしたのは、トヨタ、ディズニーランド、飲食チェーン
聞けば聞くほど、見れば見るほど今までの歯科医院の常識を超えていると感じるのですが、こうしたアイデアというのは、どうして考えつくのでしょうか。
他の歯科医院さんで参考にしたところなどあるのでしょうか?
「同業種からというより、異業種からのヒントの方が参考になることが多いよう に思います。ビクトリア調でいこうと思ったのは、ディズニーランドにヒントを得ました。意外性がありながら多くの人に受け入れられるものは何か、と考えて のことです。それから、院内の導線やコスト管理はトヨタをモデルに、患者さんとのコミュニケーションなどに関しては成功している飲食チェーンを参考にしま した」
診療の質を保つために来院を制限しているとはいえ、小野歯科医院には、1日平均50人以上の患者さんが訪れるそうですが、全国平均 が20人前後と言われる業界にあって、1人の歯科医でこれだけの人数を診ることのできる医院はなかなかないのではないでしょうか。
それだ けの数をこなしながらも患者さんに満足してもらえるコツをあげるとしたら何ですか?
「特別なことはないと思うんですよ。治療の品質は大前 提として、意識しているのは挨拶と相手の目を見て話すことぐらいです。特に『ありがとう』と言われた時には、相手の目を見て『どういたしまして』というよ うにしています。あとは、素直に謝ることかな」
お医者さんが謝るってあまりないと思うんですが・・・
「例えば、予約をも らってても急患や治療内容などで待たせてしまうこととかあります。治療の腕はいい方だと自負していますが、患者さんの生活習慣などによっては、思わぬ治療 の必要があることもあります。そんな時に患者さんの気持ちを考えてあげる。滅多にないですが、リカバリーを無償でしたこともあります」
コミュニケーションのコツは患者さんの地図で話すこと
さて、コミュニケーションというような 話題が出てきたところで気になるのは、やはり患者さんの満足度は、そういう細かなコミュニケーションの仕方の違いが満足度に大きな結果の違いを生むのでは ないかと思います。
他に意識してやられていることはありますか?
「そうですね、さっき目を見て話すと言いましたけど、目 線を合わせるようにすることはありますね。膝を床についたりして話すこともあります。また、心理学関係の本などでもよく言われる、相手の地図で話す、とい うことも心がけるようにしています。うちは診察前に問診票を書いてもらうのですが、そこから分かることや会話のなかでの情報などを患者さんとのやりとりで 活用します。
先日も大工さんに虫歯の状況をシロアリに侵された家に例えたり、車が好きな人に車の故障に例えて説明したことがあります。そ の方が、説明がより分かくなるやすいようです。自分の歯の状況や治療の必要性がよく分からないと、仕事や他のことを優先してしまってなかなか治療に来ない こともありますから、分かりやすく伝えることは患者さんのためにも重要だと感じています」
歯科医に限らず、これからは競争が激しくなって くる業界は多数あります。そこで残っていくには、ただ小手先のやり方で目立つというだけでは不十分です。
現在、小野歯科医院は、特別な広 告宣伝をしなくても、こうした患者さんたちの口コミで十分な来院患者を確保できています。口コミには、顧客の期待を上回り、顧客が思わず人に話したくなる 体験が必要です。
小野院長へのインタビューを通して、独自のよさを持ちながらも常に顧客の側に立った行動を心がける。そして、異業種から も、よいことは積極的に取り入れる重要性を改めて感じました。
あなたの事業に活用するとしたら、どんなことができるでしょうか?