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よいことばかりで大丈夫?
「うちはこんなによい会社で、よい商品を提供しています」とアピールする側としては、自信があるほど自社の商品やサービス をよく見せようとするのは当然のことでしょう。
しかし、お客さんにすれば「自分の商品を褒めるのは当然でしょ」と思ってしまうかもしれません。 チラシ、広告、ホームページなど、メッセージを 発する側と受け取る側には、常にこのような心理的なギャップが存在します。
また、自信の持てるメリットがある反面、ちょっとした欠点がある商品などもあります。 例えば、すごく高性能で多機能だけど、その分価格が高く なってしまうとか、操作を覚えるのが煩雑とか。 その逆に、とてもリーズナブルな価格だけど、その分機能が制限されるとか見た目がいまいちだとか。もちろ ん、商品やサービスの良い面を見つけ出してアピールする工夫は重要だし、欠点があれば改善する努力は必要です。
でも、商品を仕入れて販売する場合や不動産のように簡単に欠点を改善するわけにはいかない商品の場合、無理によい面ばかりアピールしていては後で 信頼を失いかねません。
そんな時は、かえって欠点についても触れておくことが信頼を得ることもあるのです。
あえて欠点を言うことでファンが増えたスーパーマーケット
OK(オーケー)ストアというスーパーマーケットをご存じですか?
東京、神奈川を中心として店舗展開をして、中堅規模ながら順調に売り上 げを伸ばしているスーパーマーケットです。
このスーパーマーケットの特徴は、価格が安いということです。エブリデイ・ロープライス方式で、他のスーパーがやるようなチラシ特売はなく、近隣 のスーパーより高い商品があれば、対抗値下げをするという価格に関しては徹底した安売りです。安値で売るための工夫も参考になる点が多々あるのですが、 もっぱら話題になるのがわざわざ商品などの欠点を商品POPに書いていることです。
例えば、「この果物は旬ではないから甘みが少ない」「この商品は来週からセールで安くなるから、安く買うなら来週買うほうがよい」「○○は売れ行 きがよくないので、代わりに△△を取り扱います」こんなPOPが商品に添えられているのです。
こうしたPOPはオネストカードと呼ばれていて、かえって信用できて良いという顧客からの評判を呼び、会社が運営するサイトはないのに、ファンに よる非公式ファンサイトが運営されているほど熱心なファンもいるほどです。
欠点の言い方のポイント
このスーパーマーケットの取り組みは正直さが評価された結果として「正直戦略」などと評価されていますが、もう少し突っ込んで自社が取り入れると したらどんなことが参考にできるかを考えてみましょう。
まずは、欠点は正直に最初に言うということです。
「この間のあれ、あんまり甘くなかったわよ」
「あー、そうですか。今はまだ旬じゃないんでね。当たりはずれがあるのかもしれないなあ。そういう時はちょっと蜂蜜とかかけて食べてみるとです ね・・・」
もしかすると、普通のスーパーではこんな会話があるのかもしれませんが、先に言ってこそ「蜂蜜をかけて食べると、また違った味わいが」なんていう フォローが受け入れられるものです。
2つめは、欠点をとるに足らない欠点にできるかどうかということです。
「まあ、とても安いし、ちょっと蜂蜜をかけるぐらいならたいした手間でもないわ」こう思える欠点だから買ってみるかと思えるわけです。
「この車は安いですが、走るとたまに火を噴きます」
これでは、究極の選択になってしまいます。
とるに足らない欠点でなければ、そもそも売るなというものです。
もし、自慢の商品にすぐには改善できない欠点があるとしたら、これらのことを参考に積極的に欠点を活用してみてはいかがでしょうか?ちなみにこの コラムの場合は、高尚な文章ではないけれど、分かりやすくてためになるコラムというのはどうでしょう?飲み物を飲みながら読むと、吹き出す危険があります とか。