Vol.32 農家だってマーケティングで儲かる

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局
農家の直売所と聞 いてあなたはどんな想像をするでしょうか? もしかして、畑の横に野菜を並べただけの誰もいない無人直売所ですか? そんな想像をする人もいるかもしれませんが、実は最近密かに注目されているのです。 直売所を軸に何年も売り上げを伸ばし続けている農家もあるのですから。 そして、このことは農家だけではなく、他の業種にも十分ヒントになるような内容だと思います。

マーケティングで産直通販へと発展した農家

 私のクライアント に毎年業績を伸ばし続けている農家さんがいます。業績の伸び方もハンパではなく、もう3年ほどのお付き合いになりますが、初めて相談に来られた頃と比べて 売上規模では4倍ほどとなり、農家としてはかなり大きな規模になっています。この農家の爆発的な成長の元、それが実はマーケティングなのです。

  元々は普通の農家だったのですが、生来凝り性なのか、研究を重ねるほどにこだわりが出てきてしまって、とても通常の流通ルートでは販売しにくいようなこだ わり野菜を作るようになりました。つまり、通常の流通ルートでは非常に高いものになってしまったのです。32_1

 「せっかく手塩にかけて作った野菜たち、な んとか消費者に食べてもらう方法はないだろうか?

そうだ、直接販売すれば、なんとか価格を抑えて売るこ とができるかも。」

そんなきっかけから始めたのが直売所でした。

 はじめは苦労もあったものの、さまざま な販促策などを施して今ではマーケティング戦略上、重要なものとなっています。

 

各 地で注目を浴びる直売所

  『作るだけ』から『売る』農家へ変身するきっかけとして各地で直売所の取り組みが活発化しています。 その方法も昔ながらの畑の横や国道沿いで売る以外に、道の駅など観光地のドライブインなどでインショップで販売するもの、農家同士で協力して共同直売所を 作って販売するもの、さらにスーパーなどに出張形式で出店するものなどさまざまです。

 それぞれに共通しているのは、『作って出荷』という ことから『売る』という要素が絡んだためにマーケティング的要素が入ってきたということです。売る場所によって対象となるお客さんも違う、そしてどんなも のが売れるのかも違うし価格も違う、売り場の看板やPOPの立て方、試食や声かけひとつで売れ行きが変わるということもある。宅配便が利用出来た方が売れ るということもあるし、売った後のフォローのしかたでもリピートのつき方が違うなどなど。おそらく農家としては初めての経験ばかりでしょう。

さ ぞかし大変な思いをしているだろうと思いきや、結構楽しんでいる方もいるようです。

32_2通常の流通よりも金額的な手残りが多くなるケースが多いというのもあると思い ますが、それだけではありません。私のクライアントさんも楽しんでやっている方ですが、なんでも「直接、消費者の反応が分かるのが楽しい」のだとか。ま た、慣れない中でも施した工夫が成果につながるのが面白いようで、多少の試行錯誤はたいして苦とも感じないようです。農業なら種まきから収穫まで数ヵ月か かるのは当り前、実に気の長い仕事を日頃されているせいでしょうか、ひょっとすると農家さんの方がマーケティングに取り組むのが得意なのでは?なんて思っ てしまうほどです。

 

 

 

 

直売所は農業ビジネスの訓練所

 今後、こうした農家の直売の流れは、まだまだ増えていく余地はあ りそうです。そして、広まるにつれて直売というだけでは魅力は薄れ、よりマーケティング的な要素が重要になってくるかもしれません。 しかし、そうなってもマーケティングの相手は結局は人です。

 どこかの姿が見えず実態の分からない消費者を相手にしているよりは、目の前の お客さん相手に試行錯誤する経験は貴重な資産です。

 私のクライアントで産直通販を成功させている農家さんも、直売所での経験を産直ビジネ スに発展させた一人です。彼の凄いところは、積極的にお客さんとの人間関係を作っているところです

 買った後のサンクスレ ターはもちろんこと、お客さんが喜びそうと思うと躊躇なく無料で試食品を送って感想を聞いてきます。私がその結果を受けて、売価や売れる見込みを分析し、 どうするか相談して決めることもあるわけですが、私も次はどんなものを持ってくるかと楽しみなほどです。そして、そのように見つけてきたものの中から毎年 のようにヒット商品が生まれているのです。

 まだ、満足な売り上げのない時から販売とは関係のないニュースレターを送って自分の農園の考え 方やキャラクターを伝えることに努力してきました。そんな地道な努力もあって、この人が勧めるならと買っていくお客さんも多いようです。32_3

 先日も送料や燃料費の高騰で、ついに値上げに踏み切らざるを 得なかったのですが、むしろ肯定的に受け入れてくれる人も多く、売り上げも上がったほどです。たまに紹介キャンペーンやお客さんに参加してもらうちょっと したイベントなどもやるのですが、これがいつも予想を上回る好評ぶり。

 ニュースレターやキャンペーン、イベントなどは実践している会社は あります。彼のように反応のよいところは人間関係がうまく作ることができています。

 その人間関係作りに、彼と農園スタッフのキャラク ター、そしてその伝え方は大きく関係していると思います。そして、それは直売所での経験が非常に役立っていると思うのです。最近は、インターネットでの販 売にも本格的に乗り出し、ネットでの売り上げもかなり伸ばしてきましたが、最初からネットで始めていたら、こうはいかなかったでしょう。直売所での実際の お客さんとのやりとり。日々試行錯誤した経験、人間関係を作ってきた経験があるからこそ、顔の見えないネットでも上手くいくのです。

 輸入 食料の安全問題や、物価高をきっかけに表面化してきた食料自給率問題など、日本の農業への関心、かかる期待は大きくなっているように感じます。後継者問題 なども以前からありますが、農業のビジネス化で「ひとつUターンで農業ベンチャーでも興すか」なんて人が出てきても面白いかなと思います。

(ビ ジネス色の出し方は難しい所はありますので、ぜひご相談ください。)

 

日本の農業、これからが楽しみです。

がんばれ、日本の農家!!

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