世の中には、これ誰が買うの?というものでも、しっかりとファンを掴んでいるものがあります。 今回は、そんな個性的な商品のヒットを探ってみたいと思います。
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誰が買うのか?でも売れている商品
世の中には、こんな風に思うほど強い個性を 持って売れている商品があります。
例えば、激辛スナック。私も食べてみましたが、開発スタッフがゴーグル、マスク、手袋着用で試作するほど刺激的なトウ ガラシが原料だけあって、さすがに辛いです。辛いものが得意というわけではない私には、ビールのつまみというよりはビールで口を洗うに近い食べ方になって しまいます。ところが現在では、コンビニのスナックコーナーには定番的に置かれるほどの存在となっているほどです。
食べ物だけではあり ません。文房具では「ペン回し専用ペン」なるものが異彩を放って売れています。ウェイトがついていて、普通のペンより重いのですが、発売から3か月あまり で30万本以上出荷されたとか。そこまでしてペンを回したい人がいたのかとただ驚くばかりです。
さらに驚いたのが、外観から内装までま るでテーマパークを思わせるような非現実的なこだわりの演出がされた「テーマパークマンション」と呼ばれる賃貸マンション。外壁にミサイルが突き刺さって いたり、部屋の内装が紅白の縞々だったりと、人によっては眉をひそめるほどです。しかも家賃は周辺の相場より少し高いにも関わらず、その稼働率は95%以 上にもなるそうです。
個性的なヒット商品の共通点
これらの商品に共通 するのは、
1、 既存商品には存在しなかった商品
2、 新しい価値を商品に大胆に取り込んでいる
というこ とです。
辛いスナックが初めて発売された当初、スナックコーナーには辛味を売りにした商品はありませんでした。辛いお菓子ということで、あえて 挙げたとしてもおつまみコーナーに柿の種がある程度。お酒のつまみ以外も対象になるスナック菓子では、それまで取り扱われることのなかった辛さという新し い要素をいきなり大胆に取り入れたわけです。
ペン回し専用ペンも、ペンを回す人は以前からいましたが、専用に作られた商品はありません でした。ペンといえば当然、書きやすさを追求するものですが、全く関係のない回しやすいという要素を大胆に取り入れたわけです。
外装や 内装に凝った賃貸マンションというのはありましたが、テーマパークのような外観や内装となるとデザインというよりはエンターテイメントに近いといってもい いと思います。エンターテイメント性をここまで大胆に取り込んだ賃貸マンションはさすがにありませんでした。
他には無い新しい価値の要 素を取り込むことで差別化が生まれ、さらにそれを大胆にすることで分かりやすくアピールすることができているのです。
枠 を超えた発想につながる2つの視点
既存の商品にはない価値を大胆に取り込むには、枠を超えた発想が欠かせません。
そ れには次の2つの視点が役に立ちます。
1、 業界内の慣習、常識と顧客のニーズ、欲求とのギャップ
2、 他業界で起こっているトレンド
例えば、ペン回し専用ペンなどは、ペン回し愛好家にとっては待ちに待った商品だったのではないで しょうか。
ところが、文具メーカーからすると業界の常識として書き味の要望に耳を傾けることはあっても、回しやすいペンという要望を言われても 本腰を入れて開発する気にはなれなかったはずです。
そこにギャップがあったわけで、実際、ペン回し専用ペンは玩具メーカーが作ってヒットさせて いるのも興味深いところです。
また、最初の激辛スナックは、アメリカでメキシコ料理が流行っているのにヒントを得て開発されたそうで す。
スナック菓子とは違えど、飲食業という共通点もありそうな他業界ではすでにヒットの予感があったというわけです。
10人中9人に相手にされなくても
枠を超えた発想を実現するうえでの難敵は、自分自身や業界 の固まってしまった枠そのものと、その殻を破ることへの恐怖心です。
実際、激辛スナックも最初のうちはスーパーやコンビニで受け入れられなかったそうです。
テーマパークマンションは、同業 者からは、キワモノとして揶揄されているそうです。
でも、殻を破れずに、似たような枠組みの中で少しばかりの改善をしているだけでは、やがては どこも似たような商品ばかりということになってしまいます。
たしかに、10人の内9人に相手にされないのは怖いものです。
し かし、そのかわりに残りの1人には絶対的な支持を受けることができるとしたらどうでしょうか。
なんとなくこれは無理だろうと制 限していたものを取り払い、枠を超えた発想を実現した結果「ありそうで無かった」「その手があったか」という商品が生まれるのだと思います。
あなたの業界で、なんとなくこれは無理だろうと制限されているものは何でしょうか?
ひょっとすると、その先に「やっと私のための商品がみつかっ た」と思ってくれる顧客がいるのかもしれません。