Vol.42 ターゲットの真逆にいる人々にチャンスあり!?

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局
従来のやり方で行 き詰まっている業界も多い昨今、今までは顧客になりえないと思っていた顧客層を対象にして成功している例もあります。 今回は、ある百貨店の取り組みから新しい市場の見つけ方を探ってみます。

従来とは全く異なる顧客を取り込み売上を伸ばす

百貨店の売上低 迷は特に厳しいものがあり、日本百貨店協会によると1998年から11年連続の減収。ついには売上規模ではコンビニ業界に追い抜かれてしまうなど景気のせ いだけには出来ないようなありさまです。
しかしそんな百貨店業界もすべてがダメなわけではありません。中には工夫が実を結んだ例もあります。44-1

例えば、大丸東京店の取り組みは興味深いものです。絵画という従来は購入対象が限られる分野で、これまでとは全く 異なる顧客層を対象にすることで、計画比10~30%超の売上を達成しているというのです。

一口に絵画と言ってもさまざまですが、同店で販売 している絵画の価格帯は数万円から数千万円と決して安いものばかりではありません。有名な画家のものも多く、通常であれば一部の富裕層が画廊などで購入す るものというイメージがあるのではないでしょうか。

実際に、それまでの顧客は外商などの一部の富裕層顧客に限られる傾向が強く、一般の顧 客が絵画を購入するとは考えられないことだったようです。しかし同店では、全く逆のそれまで縁の薄かった一般客が買いやすいように販売方法を工夫。その結 果、購入する顧客の約6割は新規客、しかも絵画購入自体が初めての顧客がほとんどだというのです。

 

具体的にどんな工夫をしたか

実際にどんなことを工夫したのでしょうか。工夫したポイント はこの3つです。

(1)売り場の工夫

催事場を使ったまるで絵画展のように広く開放的な売り場にたくさんの商品を置 くことにより、自由に入り選べるような雰囲気を演出しました。

(2)価格表示の工夫

価格を明示するようにした 上で、セールという演出を行い、相場に比べて割安な価格を設定しました。また均一価格など分かりやすい価格の商品や手頃な価格帯の商品も用意しています。

(3) 接客の工夫

接客も専門用語や業界では当たり前のことに関しても初心者向けに分かりやすく噛みくだいて説明するなど、絵画購入初心者 の不安を解消することに焦点が当てられています。44-2

大丸東京店が、こうした一般客向けの絵画販売を推し進めようと思ったのは全面改装時の在庫処分セールがきっかけ だったそうです。それまでの慣習で富裕層にしか売れないと思っていたのが、予想外の売れ行きで一般客にも売れることが分かったのです。

絵 画という商品に興味はあっても、初心者にとって画廊などは気軽に入りにくく、価格も分かりにくい、知識が乏しいと騙されるのではないかなど、不安はつきま せん。こうした不安は購入をやめる大きな要素になります。

全面改装時の在庫処分セールという滅多にない偶然の成功経験から、こうした顧客 心理に気付く事が出来たことも素晴らしいと思いますが、それを何度も再現できる別の方法を考えたことが成果に結びついたポイントだと思います。

 

新 市場発見のポイント

さて、ではこのような新たな有望市場となりそうな新市場を見つけるポイントはなんでしょうか。44-3
私なりに2つあげてみました。

1、出来事を思い込みの枠にとらわれず、可能性を柔軟にとらえる
大 丸東京店も、発見のきっかけは在庫処分セールでの予想外の成功でした。ここで絵画は富裕層が買うものという先入観が強すぎたり、偶然だと思っているだけで は気づくことができません。新しい市場は、もうすでに何かしらのヒントが出ていることが少なくありません。変化が起きた時、古い慣習にとらわれず柔軟に 「ひょっとしたら」と可能性に目を向けようとすることが重要です。特に、マニアと初心者、男性と女性などのように全く逆の性質の顧客は、いままで対象とし ていなかったために「無理だ」と思いこみやすいので新市場の可能性を秘めていると思います。

2、何が購入を止めているのか に注目する
顧客が購入することで何を手に入れられるかには目が向いても、何が購入を止めているかに目を向けられる会社は少ないようです。
新 しい市場というのは、まだ何らかの理由でメインの顧客になっていない市場なのかもしれません。
今回の事例のように「購入に際しての不安」もその理 由のひとつです。購入までのプロセスを細分化し、まだメインの顧客となっていない顧客が購入を止めるシーンを想像してみましょう。そして、それを購入に向 かわせるための施策を自社の強みを生かした方法で考えてみるのです。

いかがでしょうか。あなたの場合にもいくつか思い当たる節があるので はないでしょうか。
ライバルの少ない新市場は、実は意外に身近なところにあるのかもしれません。思い込みの壁を破って、自社の強みを生かせるやり 方で、まずは小さなテストに挑戦してみてください。

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