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簡単に値引きをするのは危険
あなたが発行したフリーマガジン で、台割(※1)で空き枠がある場合どうしますか?何度も営業をかけて受注できない状態で、見込み客から「大幅な値引きをするなら」と言われた際にどうし ますか?大幅値引きをして販売しますか?本当に事業にとって正しい選択は、何でしょうか?
フリーマガジンは、広告収益で成り立っています。各広 告にはサイズや掲載場所によってあらかじめ設定された料金がありますが、その設定された料金と現実の実勢販売価格が大幅に異なる媒体も多いのが事実です。
廃刊した媒体や、規模が大きくならない媒体の特性は、広告の安売りをしてしまった媒体がほとんどです。「発行部数も競合誌と同等だし、営業担当者が頑張れ ば、いずれ値段を上げられるだろう」という根拠のない幻想に動かされ疲労しないようにするために、どのような管理体制が必要かをお話します。
損益計算書と競合誌ばかりを意識し、結果がでないと値引きに走り失敗する
失敗パターンとしては、市場で勝つために競合誌と同等の部数という武器を用意し損益分岐の計算をして、どの程度の人員で売り上げを出せば、利益が出るとい う計算をします。それで、実際フタをあけて見た際に結果が出ないと、「武器を与えているのに・・・」と、営業担当者を叱咤激怒し、売り上げの上がらない原 因を営業担当者のせいにします。
現場は少しでも結果を出さねばと、値引きしてでも目標売上に近づけようとします。勿論、値引きしても少し でも売り上げが欲しい気持ちはわかります。しかし、フリーマガジンは固定費がかなりかかるので、値引きした分、利益への圧迫が大きく、事業の命綱である 「広告の反響」に対する投資がおろそかになってしまい、更なる値引きや客離れが発生します。そして、気づけば営業担当者が疲労し、離職者も増え、売り上げ もあがらず事業存続を断念するといった悪魔のシナリオがあります。
値引きは 戦略的に、無計画な値引きは無責任
値引きはあくまで短期的なキャンペーンと割り切り、その後の具体的な戦略を持っているなら別です。成 功している会社も創刊時に特別価格を設定してお試しで出稿できる形式をとる場合も多いですが、そこには大きな違いがあります。
それは、視点が 「自社と競合媒体視点」か、それとも「広告主とユーザー視点」かの違いです。
近年、顧客や市場主義の経営の大切さや、情報の主役が消費者主体に交代したなどの考え方が浸透しているはずなのにも関わらず、視点が「広告主とユーザー」 に向いていないケースが多い。フリーマガジンというのは本来、紙媒体として広告主とユーザーをつなげる役割という概念で作成されています。編集や流通方 法、部数も基本的には発行元の自由です。
つまり、業界NO1ではなく顧客にとってのNO1を目指していれば、失敗するリスクは最小限で回 避できるのです。たった一つのケースでもいいので、広告費を適正な価格で販売しなおかつ、その広告主とユーザーが満足する結果を構築できれば、それを量に 転換していくことです。
損益計算書には表れてこない「数字」が大切
広告主とユーザー視点で、経営している会社は、フリーマガジン業界だけでなく、損益計算書に表れてこない数字も頭に入っている人が多いように思います。
私が大切にしている数字は『顧客継続率』です。媒体によって、広告主の出稿サイクルは違いますが、適正な価格で広告出稿している広告主の継続率が70% ~80%程度ないと、発展は厳しいです。この数字の変動を月次で管理し部数の増加や、各種改善を行っていくことが大切です。『顧客継続率』の他にも、ペー ジ単価、客単価、継続率、契約更新率、クレーム率、満足度指数、ラック設置台数、消化数などの数字を一覧の表などにし、月次の推移や因果関係を分析して、 顧客満足度の高い媒体づくりを行っていけば、戦略の具体性も高まります。
例えば、毎月発行すると決まっている場合、広告が思うように入ら なければ、ある程度、赤字でも発行しなければいけないリスクがあります。そんな時は、営業担当者を叱咤激怒する前に、経営者・事業プロデューサーとして損 益計算書に表れてこない数字を読み取り、具体的に何が足りないのかをわかる状態に常に準備しておくことで、スピーディかつ戦略的な対処ができることでしょ う。問題にぶつかった時も成功させるための効果的方法を紹介します。
【頑張っても売り上げが伸びない時にトライすること12】
STEP:1
● 広告主を惹きつける要因を自分で社員に話す。
● 長期的に考えて行動する。
● 自社が専門的でない分野には手を出さない。
● 成功している会社をまねる。1つだけその会社以上のことをする。
STEP:2
● 広告主の買う理由と買わない理由を1件1件把握する。
● 顧客満足度に関連する内容を数値化し計測していく。
● 自社の成功事例を蓄積する。
● 読者のことをとことん調べる。
STEP:3
● 対象を狭めるか、何かをやめる。
● 大きな利益が出ている所を集中的に実行する。
● 自社の強みと市場機会をあった分野に集中する。
● 小規模でも異業種でも成功している事例で、フリーマガジンで活用できないか考える。
※ 1.書籍や雑誌の制作において、どのページにどんな内容を入れるかなどを示した設計図のようなもの。