Vol.44 「ジャニーズ」と「農家の通販」。両者の共通点とは?

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局
不況の影響もあっ て、売上の落ち込む昨今。新商品で、起死回生の一発を狙っている方もいるかもしれません。 しかし、一方で新商品の投入はリスクも伴います。そうしたリスクを避けながら、堅実に売上を上げるためのテストマーケティングについて考えてみましょう。

成功確度の高い マーケティング戦略

テストマーケティングのわかりやすい事例として、芸能プロダクショ ンのジャニーズ事務所が挙げられます。同社は、タレントのプロモーションという本来リスクの高い分野で、ジャニーズジュニアと呼ばれる本格的なデビュー前 の人達が活動する場を通じて次々に人気タレントを送りだしています。46-2

彼らの戦略は、デビュー前の『ジャニーズジュニア』 に、先輩タレントのバックダンサーをさせて、視聴者の目に触れさせ、その中から、人気が出てきた人達を選び出し、グループで本格的にコンサートやCDデ ビューをさせていくというものです。

こうした仕組みで、実際のデビュー時にはある程度の人気を持った段階から、徐々に本格的なプロモーショ ンをしていくことができ、より確度の高い展開が可能となります。

ジャニーズジュニアという組織は、将来のタレント養成機関であると同時に、 デビュー前のテストの場でもあるわけです。
 

小さな会社のテストマーケティング例

このような話をすると、うちの商品はタレントとは違うからとか、大手の事務所だから出来ることだと思われるかもしれません。しかし、小さな会社でも 応用することは可能だと思います。

ひとつの例として、ある農家の事例をあげましょう。
この農家は、10年ほど前から通常の出荷販 路とは別に産地直送の通信販売をしています。始めた当初の売上は既存の出荷販路も合わせて1000万円ほどだったそうですが、今では通販だけの売上でもそ の6倍以上。
そして、売上の伸びの半分以上は、ここ3~4年のテストマーケティングを取り入れてからの成果によるものです。既存の主力商品がマー ケティングの見直しで売上を伸ばしながら、なおかつ新たなスター商品を生み出しているのです。

今では複数の売れ筋商品を持っていますが、 以前は売上のほぼすべてが夏場に出荷されるメロンによるものでした。立ち上げ期は単品の売上を上げることに集中する方が効率が良いですが、この状況では、い つになっても、経営は安定しません。そこで、別の売上の柱を作ろうと試みるわけですが、お客様はどんな商品を求めているのかなんて実際売ってみなければ分 からない、でもその一方で大きな手間とお金をかけて失敗したらどうしようか?といったジレンマに陥っていました。46-1

こうした問題を解決するには、ただ闇雲に新製品を売るよう な運任せではなく、もっと堅実なやり方が必要です。そこで、考えたのが商品とリンクさせながら新商品を紹介、テスト販売するやり方です。

具 体的にどんなやり方をしたかというと、
メイン商品であるメロンの出荷のあとに、時期的に案内できる商品であったトウモロコシ。評判の良い品種を試 しに作ってみたら本当においしかったことから思い立ったわけですが、メロンとトウモロコシでは同じ野菜とはいえ好まれる客層まで同じだとは限りません。

も ともと、この農家がメインで行なっているプロモーション活動は、郵送DMです。メロンの案内は出荷時期の違う品種を複数作っているので、年2~3回は出し ていました。まずは、その機会を活用して、元々郵送していたDMに『最近の動き』を紹介するコーナーを設けて情報を出していく方法をとりました。いきなり トウモロコシ単独の内容で案内をするのは、コスト面からリスクが高いと判断したからです。

実際に、テストマーケティングを進めていき、ど んな品種かという話や自分が食べてみた感想、生育の様子などをつぶさに報告していったところ、メロンの注文が入る段階でトウモロコシの問い合わせをしてく る人が少しづつ、現れてきました。
反応に手応えを感じ始めたところで、予約案内を開始したところ、あっという間に完売し、現在では、売上の大きな 軸の一つになっています。

また、他にも定番商品となったものに、ジャガイモ、玉ネギ、カボチャなどがあります。
実は、これらの商 品、前年にも販売していたものの思ったほど売上が伸びず、扱いに困っていた商品でした。

そこで、少し改良を施してテストしてみることにし ました。

前年までは、収穫時期もほぼ同時であることから、一緒に案内していたのですが、一度に何種類もの案内書が入っていることで、逆 に、反応を落としてしまうのではないかという仮説から、あえて商品を一つのセット商品「秋の味覚セット」として販売し、その感想やその後の単品リピートの 反応を確かめながら販売継続をするかどうか判断することにしました。その結果、反応がよかったことから、商品化しました。前年に比べて2倍以上の売上を上 げ、今では生産量を増やして単品としても冬まで売ることのできる貴重な商品になっています。

これらは、この農家の行った取組みの内のほん の一例にすぎません。
しかし、年に一度しか販売の機会が無かった会社が、致命的な失敗をすることなく次々に売上の柱を育てていけたのは、テスト マーケティングという手段によるところが大きかったと思います。
 

テストマーケ ティングで顧客を飽きさせない工夫も

ジャニーズと農家の通販。一見全く関係の無いように見える2つの事例ですが、共通することがあります。46-3

それは、テストマーケティングが、単なるテストだけではな くて、顧客を飽きさせない要素にもなっているということです。

特に小さな会社にとって大きな投資の失敗を避けられることは売上を上げるの と同様に重要なことです。むやみやたらに新商品を投入することは出来ません。既存商品と関連付けながらテストマーケティングの手法を用いていくことで、大 きなリスクを負うことなく展開していくことができるのです。

そればかりか、同時にこうした取り組み自体が工夫しだいでは顧客にとって関心を ひかれるものになり、評価されることがあります。

どうせなら、お客様も楽しめるような一石二鳥のテストマーケティングを実行されてはいか がでしょうか?

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