Webサイト制作を本業にしているクリエイターの方から、クリエイティブの素人だけど自社サイトの担当者まで、おそらくWebサイトに関わる仕事をしている人であれば、誰しもが一度はぶつかるのが「フォント」の問題。
「全体的に野暮ったい印象だけど、どこを変えたらいいのだろう……」
こんな悩みに突き当たったとき、使用するフォントを変更するだけで、意外なほどに洗練されたデザインに生まれ変わる、というのはよくある事です。しかし、凝ったフォントを利用するには高価なフォントを買いそろえる必要があります。あるいは、奇麗なフォントで表示するにはいちいち画像にしないといけなかったりします。今回ご紹介する「クラウドフォント」を活用すれば、そんな悩みもスッキリ解決してしまうかも!?
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クラウドフォントとは?
クラウドフォントとは、別名で「ウェブフォント」とも言います。通常、Webサイトで表示させる文字は、個々のパソコンに標準装備されているごくスタンダードなものを、スタイルシートで指定するのが一般的です。この方法だと、必ずしもすべての閲覧者が同じ画面を見ることは出来ません。(MacとWinでは、標準装備されているフォントは違います)
「この文字はこのフォントで表示させたい!」とこだわるのであれば、一旦文字を画像化して配置しなければなりませんでした。これはとても面倒!
急な修正が入った場合、画像から作り直さなくてはならなかったりして、デザイナーに依頼する時間もないので、泣く泣く自分で直してみたものの、明らかに変…
そんな苦労で涙した、という経験を持つ方もきっと少なくはないはずです。
しかし、クラウドフォントはインターネットを介してフォントを表示するので、パソコンにインストールされていないフォントでもブラウザ上で表示できるようになります。
管理も特別難しい技術は必要ありません。タグを1ライン追加するだけで通常のHTMLのテキストとして管理ができるので、更新もHTMLがわかれば簡単です。イラストレーターやフォトショプをたちあげて画像を修正するという手間も必要ありません。テキストなのでSEO対策、検索性の向上も期待できます。自動翻訳や音声読み上げといった機能とも連携しやすくなり、情報をより的確に届けることができます。
自由度の高いデザインが可能になるだけでなく、テキストとしての効果も損なわない。Web制作側にとって、本当にありがたい技術です。
クラウドフォントを提供している会社は現在数社あります。Googleの『WebFont』や、seesaaの『デコもじ』、フォントワークスなどの『FONT+』そして、今回ご紹介するモリサワの『TypeSquare』です。
『TypeSquare』で美麗なモリサワフォントを使おう!
Webや商用印刷でも多数利用されているモリサワフォントですが、購入やライセンス契約には多額のコストがかかってしまい、導入を諦めていた方も多いのではないでしょうか。
そんなモリサワがついにクラウドフォントサービスを開始しました。
入会金(税込10,500円)で、PV(ページビュー)の上限に合わせてプランを組むことが可能です。また、入会金なしで一カ月間試用できる、無料トライアルのプランも用意されています。(PVの上限は1000)
現在、オープン記念として、PVの上限も無く「無料」で利用できるキャンペーンを実施中です。(2012年12月31日迄)ぜひこの機会に、クラウドフォントを利用してみてはいかがでしょうか。
導入の方法は至ってシンプル。専用HTMLタグを挿入し、スタイルシートでフォントを指定するだけです。モリサワが提供する書体のうち154書体が利用でき、ゴシック体や明朝体だけでなく、デザイン書体や装飾書体、筆書体も選択することが出来ます。このような装飾性の高いフォントがテキスト情報を失わずに見出しに思い切り使えるのは、かなり大きな魅力です。パソコンだけでなく、スマートフォンやタブレット端末にも対応しています。
また、今後はモリサワフォントだけでなく、国内外のフォントメーカーと協力してさらなるフォントタイプの充実を図って行くとのこと。益々期待が持てそうです。
フォント界の超大手であるモリサワの参入により、クラウドフォントがスタンダードになってくるかもしれませんね。
使える!日本語ウェブフォント
上記で紹介した『デコもじ』『FONT+』も、日本語のウェブフォントです。(残念ながらGoogleの『WebFont』は日本語対応フォントが未登録です。今後に期待!)
どちらもトライアルプランが設定されており、『デコもじ』は1サイトにつき1フォントのみで一部のフォントの仕様に制限があるものの、期間の制限は設けられていないようです。また、月額も315円からとかなり低価格。こちらも、一度公式サイトを覗いてみてはいかがでしょうか。
フォントにこだわる理由
Webサイトに限らず、小説や新聞、広告など、ありとあらゆるメディアには文字が欠かせません。文字の種類、色、形、大きさ。それらは視覚的情報を重んじる人間の脳にとって、大きな意味を持つことになります。丸文字ならば可愛らしさを、手書き文字ならば親しみやすさを感じてもらうことが出来ます。
紙媒体ならば、見出しにインパクトや分かりやすさ、イメージ等を求められるところが、WebサイトではそれにSEO対策もプラスしなければなりません。暖かみを感じさせるデザインにしたくても、手書き風のフォントはインストールされているパソコンが少ないために利用できず、仕方なく画像化するしかありませんでした。しかしそれではSEO対策には有効ではありません。
クラウドフォントを利用する事で、さまざまなフォントを「テキスト」として利用できるようになります。文字自体に特長を持たせたPOP広告のようなWebサイトが、SEO対策された状態で簡単に作れるようになります。
ぜひこの記事をキッカケにして、もう一度あなたの運営しているサイトのデザインを見直してみてはいかがでしょうか。
参考サイト:クラウド・フォントシミュレーター
http://typesquare.com/simulator/