C to Cビジネスというキーワードをご存じでしょうか。変化の激しいインターネットの世界でも、特に急成長している分野で、大小さまざまなビジネスが登場してきています。
C to Cは、一般消費者(consumer)間で行われる取り引きのことを指しますが、これに対して企業間の取り引きはB to B(Business to Business)、企業と一般消費者の取り引きはB to C(Business to Consumer)といいます。
現在はC to Cの時代と言われています。その代表格といえば、「Yahoo!オークション」。ネット上でオークションを行うためのシステムや「場」を提供することでビジネスとして成り立っていて、ユーザーからは月額346円(税込)の会費と、さらに出品された場合の落札手数料として取り引き額の5.25%を手数料として徴収するビジネスです。このような「場」を提供する人をプラットフォーマーと呼んでいます。
その他に、プラットフォームビジネスといえば、多くの人がTSUTAYAの「T-ポイントカード」やdocomoの「おサイフケータイ」等を思い浮かべることでしょう。GoogleやAppleも、実はプラットフォームビジネスといえます。しかし、もっとニッチで身近なテーマでもプラットフォームビジネスの成功事例があります。まずはそのいくつかをご紹介しましょう。
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ニッチで小規模なプラットフォームビジネスにも大きな可能性あり!
■事例1・・・「おしえるまなべる」(http://oshierumanaberu.net/)
リクルートが提供する「教えたい人と学びたい人のマッチングサイト「おしえるまなべる」もプラットフォームビジネスの一つです。会員は二種類。先生と生徒(ともに登録は無料)のニーズがマッチし、レッスンが成立した時点で先生会員からマッチング料(レッスン成立ごとに5円)を受け取るというシステム。細やかなマニュアルがあり、先生の評価ランクが設定できるなど細やかなサービスが魅力です。
■事例2・・・誰でもデータを直接販売できる gum road(https://gumroad.com/)
誰でも手軽に画像や音楽、動画、電子書籍などのデジタルコンテンツを販売できるサービスです。まず、FacebookやTwitterのアカウントでユーザー登録し、リンクページからデータをアップロードします。アップロードしたコンテンツ毎に販売決済用のURLが発行され、そのURLをFacebookやTwitterのタイムラインに貼り付けるだけで登録ユーザーはデジタルデータの販売が出来ます。
購入はクレジットカード、入金はPayPalを通して行われます。Gumroadはコンテンツの売上ごとに5%+30セントを手数料として受け取る仕組みになっています。システムとしては非常にシンプルで単純ですが、クリエイターの中でも革新的であると話題になっているサービスです。すでに関連サイトもいくつか作られており、今後の発展に期待が持てます。
■事例3・・・講演会・イベントの講師公募サイト Koens.net(http://koens.net/)
講演会を開きたい人(主催者)と自分の知識を広めたい人(講師)のニーズをマッチさせるマッチングサイトです。
主催者側は、無料登録を済ませた後、講師を募集します。その後、応募のあった講師とKoens.netの画面を通じて直接やり取りを行います。講師は同じく無料の講師登録を行なった後、プロフィールや講演内容例などを登録し、募集のあった案件に応募します。
仲介手数料は一切発生せず、講演費用はKoens.netを通して事前に支払われ、実際に講演が実施された後、システム利用料20%を差し引いた金額が講師に支払われます。サービス内容はシンプルですが、フォローがしっかりしているので主催者側にとっても講師にとっても、安心できるシステムであると言えます。
上記の事例のように、ニッチで小さな分野でも、プラットフォームビジネスの可能性が大といえます。
プラットフォーマーになることで得られる3大メリット
まず、プラットフォームの説明をしましょう。プラットフォームとはいわゆる「場」ですが、ここでは「人脈基盤」と同義語だと捉えていただけるとよいでしょう。
ネットを介さずに、現実社会で人脈基盤を作ろうとすると、大変な時間と労力が必要になります。例えば友達を100人作るなんて、すぐに出来ることではありませんよね? しかし、ネットを利用すれば100人なんてあっという間です。
そんなネット上での人脈基盤を提供するビジネス、それがプラットフォームビジネスだと私は考えます。
1、ライバルも巻き込んで業界を変えられる!
WEBサイトを作る際、多くは自社内だけのコンテンツで考えてしまいがちです。しかしポータルサイトなどのサービスを考えに入れた途端、規模感は一気に膨らみます。
ページ数だけで見ても数ページ、数十ページと考えていたものが、ライバル企業にも協力してもらうことによって、業界を変えるほどのWEBサービスを展開できます。小さくまとまる必要がなくなり、今まで無理だとあきらめていたサービスやコンテンツも運営できます。
2、「つなげる力」が強くなる!
プラットフォームを提供することで、マッチングのニーズが必ず生まれます。たとえば、みなさんが見ているこの「ドリームゲート」。実は専門家のプラットフォームであることにお気づきでしょうか? 専門家の集まる場で、専門家を紹介する。こうしてマッチングビジネスが成立するのです。分野を絞るのも、入り口をとことん広げるのも自由自在。人が集まれば、求めるものも提供できるものも、その人の数だけ存在します。あなたがプラットフォーマーになることで、プラットフォームに集まった人たちの要望や悩みを解決する手助けが出来ます。
また、人脈ができると、その人脈がまた人脈を生んで、多くのつながりが生まれます。マッチングビジネスは、人と人とをつなげること。プラットフォーマーになれば、自然とそれらが出来てくるのです。
3、SEOなどの細かいことは気にしなくてもいい!
企業サイトを作るとどうしても検索エンジン対策の心配がついてまわります。プラットフォーマービジネスでは、そうしたSEOはあまり気にならなくなります。ある種のコミュニティを作ることができるので、そのコミュニティに意識を向けていれば収益は自由自在に調整することができます。
たとえば最初に例として挙げたyahoo!オークションですが、ここには「売りたい人」と「買いたい人」という二つのコミュニティが存在しています。コミュニティはさらに多くのカテゴリに分類できます。そうしたコミュニティに属する人たちが求める場を提供すれば、必然的にリピーターが増え、PVも格段に増えることになりますよね? ユーザーが自然にどんどんコミュニティを作ってゆき、長く留まってくれるので、SEOをこちらが気に掛けすぎることもありません。
プラットフォームビジネスは時代の流れ
今後は、将来予測されている消費税率の上昇などで、企業との取引よりも税金のかからない個人間取引が有利になることは言うまでもありません。C to Cビジネスがさらに伸びてゆくことは確実でしょう。CtoCの市場は拡大し、ビジネスのやり方も大きく転換する時代を迎えています。
逆に、これまで当たり前だったB to B・B to Cビジネスの市場は縮小することはあっても大幅な拡大は見込めないでしょう。厳しい時代だとも言えますが、逆転の発想をするならば、大きなチャンスだと捉えることもできるはずです。生身の人間同士の関係が希薄になったと言われ続けて何年も経ちます。その一方で、人と人とのコミュニケーション、つながりも、至極簡単に出来るようになりました。ツイッターやFacebook、mixi、アメーバブログといったSNSが人気なのは、簡単に人とのつながりを持てるから。そして、普段生活する上では絶対に知り合えない業界や業種の人間と情報交換したりコミュニケーションをとることが出来るからでしょう。
そういった場がこれから不要になるということはまずありえません。プラットフォームは人脈基盤と同義語だと前述しましたが、ユーザーにとってもプラットフォーマーにとっても、プラットフォームビジネスというのは大きなリスクを背負うことなく自由に人と人とをつなぎ、つながれる、理想的なビジネスの一形態として成長してゆくのではないでしょうか。
次回は「プラットフォーマーになろう!」の二回目。
題して、「人脈基盤を活かしたWeb戦略~ポータルサイトを作ろう!~」です。ポータルサイトを作るメリットについて、今回お話したことを踏まえて少しお伝えしてゆきたいと思います。