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名刺は事業情報の集合体
「さあ、いよいよ起業するぞ!」となった時に、決して忘れてはいけ ないもののひとつに、名刺や起業・開業の挨拶状、会社案内などの制作物があります。これらが、今後の販促につながる大切なツールとなるからです。
起 業・開業の際には、各官公庁への申請や手続きなどが必要なため、かなりの時間を割かれてしまう場合が多いものです。申請が受理されて、「さあ、早速仕事に 取り掛かろう」と思っても、肝心の名刺がなかったり、起業の挨拶状を送っていなかったため、誰も自分が起業したことを知らず、まずはその説明から始めなけ ればならないなど、大きく出遅れてしまうことにもなりかねません。
それでは、起業・開業時の制作物は、最初に何から取り掛かればいいので しょうか?私が起業前の皆様にアドバイスをする際に、いつも必ず伝えることがあります。それは、名刺などを作る上で大前提となる、「屋号」や「商品名」、 「ロゴデザイン」などをあらかじめ決めておくことを絶対に忘れないでくださいということです。名刺の作成から取り掛かろうと思っても、名前や連絡先をただ 印刷すればいいというものではありません。名刺は事業情報の集合体。その要素を決めることから始めなければならないのです。「屋号」や「商品名」は、その 名前の付け方によって社運を大きく左右する場合もあるでしょう。会社のロゴも名刺に入れるかもしれません。その場合、まずはロゴづくりを先に済ませておか ねばならないのです。もちろん、事務所だってきちんと確保してからでないと、住所も入れられない。電話もきちんと引いて、メールアドレスのドメインを新た に取得する必要もあるでしょう。そう考えると、名刺を作成するとひとことで言っても、そのためにずいぶん早くからいろいろな準備を進めておかなければなら ないことがわかります。これらがしっかり揃っていれば、会社のポリシーもぶれることなく、芯の通った販促物が完成することでしょう。
「起業しました」ではなく「起業します」と挨拶状を
少し前置きが長くなりましたが、これらの事前準備がしっかり整って いるものと仮定して、制作物の準備時期をみていきましょう。最初に取り掛かるのは起業・開業のご挨拶状です。これは、必ずスタート日以前に、クライアント や友人の手元に届いていることが大切です。「起業しました」ではなく、「起業します」という文面にならなくてはいけません。通常は、起業日の1週間前には 相手の手元に届くようにすることが大切です。相手が企業である場合も多いと思いますから、郵送の場合は平日に相手の手元に届くのが礼儀です。発送するタイ ミングにも気をつけましょう。逆にあまり早く送ってしまっても、忘れられてしまうこともあるので注意してください。
また、起業・開業したこ とをマスコミに知らせ、雑誌の記事などで取り上げてもらおうと考えている場合は、その雑誌やサイトの発行サイクルもきちんと考えておく必要があります。月 刊誌なら2カ月前には告知を行っていなければ、ニューオープンとして取材してもらえなくなったりもします。あらかじめ発行期間などのチェックが必要です ね。
さらに、ショップや飲食店などをオープンする場合、お世話になったクライアントや親しい友人たちに、インビテーションカードを送って オープン日前に招待したり、オープンキャンペーンを行ったりすることもあるかと思います。そういう場合は、相手が予定を組む前に知らせることが礼儀なの で、1~2週間前には手元に届いているのがベストです。
同じ案内状でも、出す相手や目的、仕事内容によって変わってくることを知っておいて ください。大切なことは「相手の気持ちになって考えること」。案内状を送った相手が、気持ちよく受け取れることを一番に考えましょう。
受け取った人が気持ちよい「心のこもった制作物」
次に、名刺と会社案内です。これらは、挨拶状の次に取り掛かれば大 丈夫でしょう。極端にいえば、起業日に間に合えばいいのです。とはいえ、万が一に備え、余裕をもって1週間前ぐらいには準備しておくことが大切です。
そ れから、ショップや飲食店などの開業をする方たちに必要な制作物についても、お話しておきましょう。名刺と同じ役割をするショップカードも、開業時までに 用意することを忘れずに。また、販促に直結するツールとして、メニューも大切です。これは「名刺・ショップカードと平行して動く」ことがポイント。外の備 えが名刺やショップカードだとすると、内の備えがメニューです。どちらも要素は少ないものの、構想に時間が掛かりますから、スケジュールには要注意です。
開 業時に大切な販促物として、ポスティングチラシがあります。これはもっとも関心が高まる開業前の好時期を狙った予告アイテムです。配布スケジュールとしては、 店舗工事が目立つ場合、周辺の関心も高まっていますから、そのタイミングをうまく利用するといいでしょう。しかし、実際には間に合わない場合が多いのも事 実。「来週いよいよ」とか、「明日オープン」などの告知は必ず事前に配布できるよう、しっかり準備しましょう。ポスティングチラシは他の制作物と違って、 オープン後のフォローチラシの企画も大切です。
これらを制作するには、デザインや印刷にも時間が掛かることを忘れないでください。起業・開 業準備期間は多忙を極めますから、デザインはデザイン会社に発注したり、部数が多いものに関しては印刷会社への発注をお勧めします。しかし、せっかくの起 業・開業時だからこそ、クライアントや友人、特にお世話になっている方など、相手によって内容を変えるバリエーション版を作ることも大切です。心のこもっ た制作物は、相手が見てもすぐにわかるもの。今は名刺や挨拶状の作成ソフトも多く、それらを使えば、きちんとした見栄えのものが自分たちで簡単に作れま す。印刷も、小型で高画質なレーザプリンタがありますから問題ないでしょう。操作も簡単になりましたので、カラーレーザプリンタを使って、プロ顔負けの制 作物を作ることも不可能ではありません。特に複数のバリエーションを用意してそれぞれの印刷部数が少ロットになると、印刷用の版をいくつも用意しなければ ならず、印刷会社に支払う金額が高くなってしまったり、ミスも生じやすくなるため、自分でプリンタを使って印刷したほうが手っ取り早いともいえます。
い ずれにしても、自分の起業への思い入れが相手に伝わる「心のこもった印刷物」を制作することが大切だと思います。
次回は、名刺や挨拶状、会 社案内など、販促につながる重要ツールの効果的な作り方をご紹介します。