- 目次 -
フェアには、ビジネスチャンスが溢れてる
就職フェア、独立開業FCフェア、ベンチャーフェア、中小企業フェア をはじめ、アニメフェア、ブックフェアなどの展示会に行ったことがあるだろうか。
売り込みたい者と発見を求める者がぶつかり合う商談のための市場 である。
売り込む側は、市場を行き交う人々を惹きつけようと商材の陳列や照明、演出に工夫を凝らす。さらには、コトバで、表情で、カラダで、意識 で、店舗の前を足早に行き交う人々と交信を試みる。たいていの場合は、2日から3日でフェアは終了する。まさに時間が限られた真剣勝負の市場だ。
しかし、フェア会場を行き交う多数の人波は、街角の雑踏を行き交う 人波とは意味が違う。現状の中で明確な欲求を有し、何かを発見しようと行動を起こした「飢えた人々」の集団だ。
言い換えれば、出展者にとってビジ ネスチャンスに溢れた見込み客の集団である。酔ってしまいそうな数の競争相手がひしめく状況であっても、知恵と営業力でご縁をつなぐことに成功すれば一気 にステップを上がれるかもしれない。
フェアは、営業の 可能性に満ち満ちているのだ。
アイデア商品の誕生秘話
突然にひらめいた営業支援ツール「カキコミBOOK」
*参考ペー ジ http://itoshin.jp/kakikomi/index.html (いとう伸オフィシャルサイト内)
発売以来3年 ちょっとで13万部のヒットとなったアイデア商品である。
まずはその誕生秘話を解説しよう。
それまでの事業を清算し、次は何をやろうかと思案していた4年前のこ と。時間だけは有り余っていたので、昼間から本ばかり読み漁っていた。
ふと、自分が本を出版したらどんなイメージだろう・・・と、考えてるうちに 思いつく。思いついたら即行動が信条なので形にしてみることにする。
適当な厚みのビジネス書を手に取り帯とカバーを外す。カバーの大きさに合わせて仮想のタイトルを考える。ちなみに「サルでも わかる実演販売の秘密」というタイトルを思いつき、デザインしてみる。プリントしてカバーを外してあった本にセットしてみる。帯もリアルに作成してはめて みた。
ぉおっ~ 結構リアルである。手にとってみると ウレシイ感情が湧き上がってくるではないか。
優れた発信者を目指すなら、自分の感情が動いたときはスグにその源泉を探ることだ。シナリオを読み 解き、営業センスを磨くための必須トレーニングである。
人は願望を達成したときだけでなく、新たな発見に出会ったときも歓びを感じ る。今回の発見は、自分の名前が印刷された本(に見える)が目の前に現れ、手にとってズシリとした重さを感じたことである。作り物とわかっていても、ワタ シの脳は錯覚を起こして反応してしまうのだ。
これはイ ケル!直感である。しかし直感とは、これまでに体験した経験と知り得た知識、そして幾度となく繰り返された検証がぎっしり蓄積された潜在意識からの明確な 解答でもあるのだ。
もちろん、さっそく商品化したことはいうまでもない。
商品を効果的に営業する
さて、商品を生み出したら今度は営業だ。
今まででもっとも単価 が低い商品である「カキコミBOOK」この商品を効果的に営業するには・・・
そのとき目に留まったのが「ギフトショー」なる商品見本市のDM だった。
【来場者総数20万人】このコピーにつかまれたワタシはさっそく出展を決意し、申し込むのであった。
出展するブースの広さは3m×3m。出展料は数十万円である。しか も、照明の追加やカーペットなどの必要最小限の装備を追加して会場内への配送料を加算すると50万円は軽く突破する。さらにはブース内の装飾、什器、演 出、交通費、人件費・・・たった3日間、僅か9㎡の出店で100万超の投資である。販売する商品単価は1500円程度、しかも単品。出展費用の元を取るの は絶望的に思える中、直感を信じてさまざまなシュミレーションを繰り返してみる。
結果、会期中の直接的な利益よりも、未知なるジャンルへ挑戦することで得られる目に見えない利益を目的に定めて出店準備を開 始した。
いかに20万人という来場者に効果的に伝える ことができるか。めまいするほどに立ち並ぶブースの中で、いかに来場者の目に留まることが出来るか。まさに「つかみ」が成否を分ける演出技の見せ所であ る。
豊富な資金を投下してプロのイベント会社に企画させているメーカーの手法と対抗しても勝負にならない。もっとも、ワタシのブースの場所は奥 まった立地で僅か9㎡のスペース。
華やかさや上質感は無視してテーマを絞り込む。
瞬間のつかみパワーを演出するなら意外性のある キャッチが効果的だ。それも思わず突っこんでしまう、見た人が否定したくなるような違和感を沸きあがらせるキャッチである。
人は肯定できるモノ、観念に合致するモノ、連続性があるモノは見逃す が、明らかに間違っていると認識したモノには瞬時に反応する。
思案した結果、9㎡の「空間的つかみ」が決まった。演出するイメージは「書店」。ホームセンターで購入した3000円の木目 調カラーボックスをずらずらっと並べてダミーのカキコミBOOKで書棚を演出。後は、ドデカイ違和感と意外性のキャッチPOPだ。
「3分で完成!あなたの本出版します」サブ(名刺交換後、3分 であなたの本を作ります)?
に決めた。
このキャッチPOPが目に入った人は、「原稿も渡していないのに何 でワタシの本が作れるんだよぉ。いったいどうやって3分で印刷仕上げんだよぉ。できっこないじゃんっ」なんて不信感丸出しで、巨大なキャッチPOPの前に 立ち止まる。その顔には、押しなべて納得できないという感情が浮き出ているのだ。
そしてその瞬間、ワタシは斜め後方から気配を消して近寄り、疑問を抱いて佇む人の耳元に対し、まるで他人事のようにこう囁く のだ。
「表紙だけに名前を印刷します。中身は日記帳な んです」
もちろん、瞬時に理解させるために相手の目の 前に見本を提示しながら解答を示すのだ。
この瞬間、「ぁあ~っ な~んだ」と納得し、疑問を抱えて佇む人と解答を明確に示すワタシの間に共感が 発生する。さらには、モヤモヤした気持ちをスッキリさせてくれたワタシにココロを開いてくれるのである。ちなみに大多数の人はモヤモヤのきっかけを作った のが同一人物であることには気づかない。
空間的演出と シナリオ演出の技である。実際、このシナリオは大活躍した。僅か9㎡、低予算で仕上げた簡素極まりないブースに来場者が溢れるのだ。いったい会期中に何人 の人と交流しただろうか。目に見える利益としても予想を遥かに超える結果となった。
あちこちで開催される【フェア】
アナタも知恵を絞り、自らが企画して設営し参加することで、思わぬ営業が広がるかもしれない。 中には、経済産業省が後援す るフェアで、参加資格を満たせば出展料が無料というものもあるので調べてみてはいかがだろう。
さて、イベントへの出店からどのように 営業が広がったか、次回をお楽しみにっ!