- 目次 -
「経験値」は営業担当者の「価値」
独立、開業を目指す、あるいはすでに経営の立場となった皆さんは、分業された一部だけを担当するわけにはいきません。スタート時には、実際 にすべての業務を自分ひとりで担当する必要があるかも知れません。パートナーやスタッフの手を借りたとしても全体の流れを把握し、次なる一手をつねに生み 出さすことが求められます。
その源泉となるものが今までに蓄積された経験値です。しかしこの経験値の大きさは、経過時間に比例するわけ ではありません。あくまで当事者として主体的に現場で取り組んだ結果積み上げてきた「営業担当者の価値」そのものです。情報を、売り手と買い手が同時期 に、同レベルで入手することが容易となった現代社会では、カタログデータになんらかの創意工夫を加えることなく単に伝達するだけの営業もどきの行為で身に つく経験値はゼロに等しいといえます。あるいは、ルート営業の現場で繰り返される、目的意識と問題意識の欠落した状態での慣習だけに支配された訪問活動 は、時間ばかりを浪費してしまいます。
「営業の価値」の基準とは
それでは、何をもって「営業の価値」という基準を設定するのでしょう。もちろんワタシの「営業の心得」を初回から読み進めている読者は十 分に理解されていることと思います。
「○○○○で、○○○な、○○○○○が大事ですね」
今回のテーマに沿って表現す れば、まさに「思考停止」の対極です。言葉で表現すると「思考活性」がつねに継続している状態が必須です。
いつも申し上げることです が、肉体を酷使するわけでもなく、形あるモノを自ら作り出すわけでもなく、手や顔を油で汚しながら汗まみれになるわけでもない、スマートな業務の営業であ れば、少なくとも蓄えた知識と経験値から智恵を生み出す、相手の役に立つ存在であることが最低条件です。
しかし、せっかくこれまで蓄え た知識や智恵という無形の資産を生かすどころか塩漬けにしてしまう「思考停止」のワナが営業を取り巻く環境には数多く隠れています。前置きが長くなりまし たが、次回から3回シリーズで営業担当者が陥りやすい「思考停止」について考察してまいります。