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事件とは?
「事件」とは、人間の意思に基づく「好ましくない行動」が実行された、または継続している状態を指します。「好ましくない行動」にはいろいろありますが、基本的には「法律や規則など、守るべきルールを逸脱した行動」または「会社にとって好ましくない行動」だと考えてください。
ポイントは、事件とは「誰かの意図的な行動」である、ということです。
また、その「誰か」が社内の人間か、社外の人間なのかによって、「事件」の性質と対応方法は大きく異なります。
以下に、事件の一例をあげて整理してみましょう。
誰の意思か? | 「好ましくない行動」の例 | |
社内の人間 | 経営者 | 決算粉飾、私費流用、贈収賄、過重労働の強要、不法投棄の指示など |
管理職 | トラブルの放置・隠ぺい、セクハラなど | |
従業員 | 横領、機密情報漏えいなど | |
社外の人間 | 顧客 | 恐喝、不当要求、破壊・傷害行為、誹謗中傷など |
取引先 | 不公正な取引の強要など | |
同業他社 | 商品・サービスの模倣、ノウハウ盗用など | |
近隣住民 | 営業妨害、破壊・傷害行為など |
もっとも恐ろしい「長男」
「事件」が長男であるのは、理由があります。さきほども申し上げたとおり、「事件」とは「誰かの意図的な行動」です。
もし、その行動が社内の人間によるものであった場合、これは「企業不祥事」ということになります。不祥事の発生がその会社に与える影響は決して小さくありません。
多かれ少なかれ、「こんな会社、つぶれちまえ!」という攻撃を、各方面から受けることになります。最悪の場合、本当に会社がつぶれてしまいます。食肉の偽装を行った一部上場の食品会社が、偽装が発覚したわずか3カ月後に解散に追い込まれた事件をご存じの方も多いと思います。
企業不祥事で「長男」を呼び込んだ場合は、特に恐ろしい影響がでるのです。
一方、社外の人間による意図的な行動の場合、会社は「被害者」ということになりますが、その行動の動機が、会社側の不適切な対応や、その会社との「トラブル」を根源とするものであった場合、やはり企業への攻撃はありえますので、十分な注意が必要です。
実際の出来事としては、某電機メーカーがビデオデッキの修理依頼をしたユーザーに、顧客への対応とは思えない不適切な発言を行ったことがありました。ユーザーは、そのときの会話音声をインターネットで公開し、電機メーカーの対応を非難するサイトを立ち上げましたが、そのサイトにアクセスが殺到し、ユーザーに同調した人々による製品の不買運動にまで発展してしまいました。
訪れた末っ子をないがしろにする(トラブルへの対応をまちがえる)と、いずれ長男が仕返しにやってくる(事件に発展する)、というわけです。