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事故とは?
「事故」とは、人間の心身、財産、環境などが損なわれる事態を指します。
突然発生するように思える「事故」でも、そこには必ず何らかの要因が絡んでいます。
以下に、各要因と事故の例をあげて整理してみます。
要因 | 事故の例 | |
内部要因 | 意図的な行動 | 瞬間湯沸かし器の不正改造により不完全燃焼が起こり、利用者が一酸化炭素中毒になった |
火気禁止の構内で喫煙中、火の粉が可燃物に引火し、工場が焼失 | ||
士気・集中力の低下 | 顧客情報の入ったバッグを、電車の戸棚に置き忘れて紛失した | |
建設現場で作業中に頭上から資材が落下、ヘルメットを着用し忘れていたため、頭部に重傷を負った | ||
ヒューマン・エラー | 心臓手術と肝臓手術の患者を取り違え、そのまま手術をしてしまった | |
灯油ストーブに誤ってガソリンを給油し点火したため、火災が発生 | ||
外部要因 | ハイジャックされた飛行機が、自社が入居するビルに突っ込み、ビルごと崩壊してしまった | |
竜巻の発生により建物が破壊される |
事故を引き起こす4つの要因
では、要因ごとに内容をみていきましょう。上の3つが社内の人間が関係する「内部要因」、一番下が「外部要因」です。
まず、上の表の内部要因のトップですが、「意図的な行動」とありますね。この言葉は「事件」のときにも出てきましたが、「事故」の場合は、意味合いが異なります。
2006年に発覚した、瞬間湯沸かし器による一酸化炭素中毒多発事故では、不完全燃焼を防ぐ制御装置が不正に改造された結果、不完全燃焼による高濃度の一酸化炭素が発生したことが判明しています。
おそらく不正改造をおこなった担当者は、お客様の不便を解消するために、排気ファンが回らない状態でもガスが供給されるよう改造したのであって、故意に一酸化炭素を発生させようとは思っていなかったはずです。
つまり、意図的に好ましくない行動をとったわけですが、その行動が引き起こす結果については、意図していなかったわけです。
このケースは、「事件」とは一線を画すわけですが、
1. ルールに反する行動の結果である
2. その結果については十分想定が可能であった
ということから、「事故」のなかでは、特に問題視されるべきでしょう。
続いては「士気・集中力の低下」と「ヒューマン・エラー」です。
2つとも人間の「失敗の原因」なのですが、士気・集中力の低下は「うっかり・ぽっかり」によるもの、ヒューマン・エラーは「思い込み」によるものであり、その性質が異なります。
最後は「外部要因」です。
これは主に異常な自然現象や、社外の人間の行動など、予測やコントロールが困難な要因を指します。?
これら4つの要因が単独で、あるいは組み合わさって発生するのが「事故」なのです。
以上が、「事故」の概要(正体)ですが、すべての「事故」に関して、もっとも重要なのは「その後の対応」です。
対応しだいで、「事故」は簡単に「事件」に変わります。
自社製品の欠陥でお客様が亡くなった、というのは「製品事故」ですが、その原因究明を怠ったり、事実を隠したりすれば、「事件」として扱われることになります。
次男をないがしろにしたり、恐れて逃げだしたりすれば、さらに恐ろしい長男がやってくるのです。