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ブランド品だけじゃない!?海外からの侵害品とは?
海外のブランド品はそのデザインや作りの良さ、ステータスの高さから人気が高く高値で取引されるため、依然として模倣品の輸入が後を絶ちません。
模倣品としては、バッグ類、衣類、靴類、キーケース類、時計に関するブランド品が多いのですが、このようなブランド品以外にも、携帯電話(スマートフォン)や電気製品、医薬品、雑貨等、多岐にわたっています。
また、一般消費者向けの商品に限らず、ベアリングのように部品類も模倣されています。
せっかく国内で起業していい商品・サービスを提供しようと思っても、格安の模倣品が海外から輸入されてしまえばひとたまりもありません。
海外からの侵害品の国内流入を食い止めるには?
このような模倣品が国内に輸入されるのを食い止める機関が税関です。
では、税関で模倣品を食い止めてもらうためには、どのようなことが必要になるのでしょうか?
まずは、国内における意匠権、商標権といった知的財産権を確保する必要があります。この知的財産権には、特許権・実用新案権や意匠権、商標権だけでなく、著作権、著作隣接権、回路配置利用権、育成者権や不正競争防止法に基づく権利も含まれます。
税関で差し止められる模倣品の多くは、著作権や日本における商標権や意匠権を侵害した、として差し止められます。
著作権は創作的な表現を保護するための権利であり、商標権はネーミングやロゴといった商標を保護するための権利であり、意匠権は物のデザインを保護する権利です。
このような権利で保護されるものは、見た目で権利品なのか模倣品なのかを識別することができるため、税関としても差し押さえしやすくなります。
次に、取得した知的財産権に基づき、税関にて模倣品の輸入差止をしてもらうための申請手続きをします(輸入差止申立制度)。
この申立が通った後、申立てられた模倣品・海賊版が実際に輸入申告されたのを税関が発見した場合には、税関は認定手続を開始します。なお、回路配置利用権については輸入差止申立制度ではなく、輸入差止情報提供制度がとられます。
認定手続とは、税関が、輸入申告された貨物や国際郵便物が知的財産権を侵害する物品ではないかとの疑いを持った場合に、それが知的財産権を侵害するものと言えるかどうかを認定するための手続です。
ここで侵害品と認定されると、税関は、その模倣品・海賊版について、没収、廃棄等を行います。
もちろん、税関だけに頼らず、国内と同様、裁判等に訴えることもできます。
最近は模倣の精度も向上しているようで、一見しただけではわからないようです。それでも、平成23年までの5年間連続で差止件数が5万件を超える状態が続いています。 (http://www.customs.go.jp/mizugiwa/chiteki/shihanki/h23all.pdf)
特許権で食い止めることができるものとは?
意匠権や商標権のように見た目で侵害かどうかを判断しやすいものばかりならともかく、アイデアを保護する特許権の場合はどのようになっているのでしょうか。
平成24年現在、全国の税関で輸入差止申立が受理されている特許案件は17件です。
(http://www.kanzei.or.jp/cipic/sites/www.kanzei.or.jp.cipic/files/injunction/genkyou1211-3.pdf)
これを見ると、インクジェットプリンタ用のインクカートリッジ、自動二輪車といった一般消費財だけでなく、静電気除去用のX線発生装置、ダイヤモンドカッター、自動おしぼり製造機といった製品もあります。
これらの製品は、見た目が正規品とは異なっていても、特許権を侵害する模倣品が輸入されたときには輸入差止がなされるのです。機能や構造を保護する特許権の威力です。
しかし、特許権の権利範囲は「言葉」で表現されています。そのため、意匠権や商標権の場合とは異なり、税関での侵害品かどうかの判定もすぐにというわけにはいきません。権利者と輸入者との双方の言い分が食い違って時間がかかることもあります。
特許権でも侵害品の輸入を食い止めるために必要なこととは?
それでは、特許権を使って少しでも早く侵害品を差し止めてもらうためにはどのような工夫が必要なのでしょうか。
まず、特許権の権利内容について税関に知らせる際に、権利範囲である文字や言葉だけでなく、図面や実際の製品適用例など、税関の職員が見た目でもできるだけ判断しやすくなるような材料を提供します。
特許権での保護内容は製品の特徴となって現れるので、その部分を見える化することによって、摘発しやすくなります。
大量に模倣品が輸入される場合には、それらが市場に出回る前に差し押さえる必要がありますので、一刻を争います。
侵害品かどうかを認定する際には、知的財産権の専門家も関与する場合がありますが、少しでもわかりやすい資料を用意することによって認定までの時間を節約することができます。
海外での模倣品が広まってしまうことは、投資の回収ができなくなるばかりか、模倣品の品質が悪い場合には悪評がたってしまって信用を失いかねません。
模倣品が製造される海外で模倣品の発生をやめさせることができればいいのですが、特許権等の取得手続きが必要な権利を行使する場合には、取得手続きの段階で費用も時間もかかります。
また、特許権等は国別の権利なので、ある国でせっかく権利取得しても、別の国で製造されてしまえば無駄になってしまいます。
投資回収や信用維持のためには海外での模倣品の流通まで目を光らせたいが、海外まで幅広く知的財産権で保護しきれない場合や、せめて日本への模倣品の輸入を差し止めることができれば、といった場合には、税関での輸入差止制度の利用を検討してみてはいかがでしょうか。