事業を始めるにあたり、どうして法律の知識が必要になるのでしょうか。会社員の場合、業務上のトラブルが発生しても、最 終的には勤務している会社が責任を持つことになりますが、自分が事業を始めた場合には自分が最終的な責任を負わないといけないのです。ですから、トラブル 回避のため、あるいは適切に処理するために、最低限の法律の知識を持っておく必要がでてきます。そこで、最低限の法律知識の必要性について考えてみましょ う。
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法律はビジネスに常に関係する
会社 に勤務する一般的な会社員の場合、法律的な知識が要求されたり、法律を知らなくて困ったりということはあまり多くないのではないでしょうか。しかし、起業 するということになれば、会社として、また個人として、法律を含めた事業を営む上で守らなければならないさまざまなビジネス上のルールに直面することになりま す。「知らなかった」では済まされないのです。
法律はすべての企業のビジネスに深く関わるもので、ビジネスを進めていく以上、法律問題を 避けていることはできません。規制緩和の流れの中で、自由にビジネスをすることができる範囲が拡大していくことは確かですが、それでも法律を遵守しなくて はビジネスに支障が出る可能性があることに変わりはありません。
そこで、法律に関わらざるを得ないのであれば、法律を避けていこうという のではなく、逆に「法律を利用して自社の経営・ビジネスを守り、ビジネスを拡大していこう」という認識・発想がこれからの企業経営者に求められています。
感覚程度の法律知識だけでいい
法律などの細かい問題は、専門家である弁護士や 司法書士、公認会計士、税理士、証券会社などのスペシャリストに依頼すればよいのであって、起業家・経営者が細かいところまで理解する必要はありません。 起業家・経営者に求められるのは、法律的に問題となるかもしれない、また、ある法律を使えば、自社のビジネスや利益が守られるかもしれない、という感覚程 度の法律意識、いわゆるリーガルマインドです。
では、どうすればリーガルマインドを養うことができるか。新聞の社会面を開いて見てくださ い。そこにある記事は、実はほとんどが法律問題です。経済や産業の面においても会社の合併や倒産、情報開示など、ほとんどが法律に関係しています。法的な 視点をもっていろいろな事象を眺めてみると、ほとんどすべての事象を法的な面からみることが可能になります。
法律は世の中のルールです。 ルールは時の流れ、状況の変化に応じて変わります。最近では、めまぐるしいほどに法改正がなされており、昨日まで合法であったことが今日は違法ということ もあり得ます。運や状況が悪ければ、会社を潰してしまったり、自分や自社の従業員が犯罪者になってしまうことさえあるのです。
起業家・企 業経営者の皆さんにはぜひ、リーガルな視点をもっていただきたいと思います。リーガルな視点をもち、最低限の法律知識を身につけることは自分を、あるいは ビジネスを守るだけでなく、ビジネスをより大きく発展させる武器にもなるという覚えておいてください。