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保証の法的性質はさまざま
金融機関などから借入をする際には、通常、保証人を立てることを求められます。日常では、単に「保証」という用語が使われますが、法律的には色々 な種類があり、主には次のようなものが挙げられます。
「保証」とは
債権者に対して二次的に責任を負うのが「保証」です。金融機関等(債権者)から借り入れた本人が、その金銭債務を履行しない場合に、保証人は債務 (保証債務)を履行しなければなりません。ただ、本人が弁済を怠った際に、債権者が本人に対して債務の弁済の催告をせずに保証人に直接請求してきた場合、 保証人は、まず本人に対して請求するように主張すること(催告の抗弁権)ができます。また、本人に弁済のための財産があり、その財産に対する執行が容易で あることを保証人が証明した場合には、債権者は本人の財産に対してまず強制執行しなければ、保証人に請求することはできません(検索の抗弁権)。
「根保証(信用保証)」とは
「根保証(信用保証)」とは、継続的取引から生じる不特定債務の保証をいいます。通常、保証人は特定の債務だけを保証するので、金融機関等から借 り入れた本人がその債務を弁済すれば保証債務がなくなりますが、「根保証」の保証人は、本人が一旦弁済しても、同じ金融機関等からさらに借入をすると、その 借入分についても保証債務を負うことになります。このように「根保証」の保証人の責任範囲は相当に重いものであることから、平成16年の民法の改正の際 に、保証の限度額(「極度額」といいます)や保証期間についての規制がなされています。
「物上保証」とは
「物上保証」とは、自分の不動産等の財産を、他人のために、担保として提供することをいいます。(そのように担保を提供した人を「物上保証人」と いいます)債権者は、債務者本人が返済してくれないときに、物上保証人の財産を競売してその代金から返済してもらうことができます。
「連帯保証」とは
「連帯保証」とは、本人が負担する債務を、本人と連帯して負担することをいいます。「連帯する」ということは、「本人と並列的に責任を負うこと」 を意味します。すなわち、「連帯保証」以外の保証の場合に保証人に認められる催告の抗弁権や検索の抗弁権は、連帯保証人には認められません。連帯保証人は 本人とまったく同じ責任を債権者に対して負い、債権者は本人に請求することなく連帯保証人に対して直接請求することもできます。つまり、「連帯保証」は他 のものと比べてかなり責任の重い内容の保証であり、当然のことながら、金融機関等にとって望ましい保証であるといえます。そこで、通常、金融機関等は保証 人に対して、「連帯保証」を要求します。
保証人になってもらう人には保証の内容とリスクをあらかじめ説明すべき
以上のように、単に保証といっても、その内容はさまざまです。親や友人に保証人になってもらうときは、保証人となった場合にどのような責任・リスクを 負うことになるかをあらかじめ説明しておくべきでしょう。特に、連帯保証人には本人と同じ責任を負わせることになるわけですから、きちんと理解しておいてもらう 必要があると思います。
本人が自己破産しても保証人の債務は残る
万が一、事業に失敗して金融機関等に対して多額の債務を負うことになった場合、たとえ本人が自己破産して自分の負債をゼロにすることができても、 保証人の保証債務はそのまま残ります。当然、債権者から保証人に対して弁済の請求がなされることになります。ですから、親や友人に保証人となってもらった 場合、事業に失敗すれば親や友人に大変な迷惑を掛けることになるわけです。自分が始めた事業の失敗によって、せっかく自分を応援してくれた人に多額の債務 を負わせ、その人の人生までも狂わせてしまう。そのようなことは、あってはならないことだと思います。ぜひ、そのことを肝に銘じておいてください。