資金調達のメリット・デメリット

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局
今回は、会社を設 立した場合の資金調達に関する注意点を説明します。

 

 

 

1 間接金融と直接金融

 たとえ会社を設立しても、事業活動を行なうためには資金が必要です。いったん事業を始めて、その事業がうまくいけば、その後は事業活動によって得 た利益を内部資金として留保し、新たな事業活動のための資金とすることが可能です。しかし、事業開始から利益が出るまでの間は、運転資金や設備投資資金等 が必要となるため、事業開始における自己資金では足りない場合が多く、外部からの資金調達が必要となるのが通常でしょう。

 この資金調達の方法は、大きく間接金融と直接金融とに分けて考えることができます。間接金融とは、金融機関等から借入をすることです。一方、直接 金融とは、会社が親や友人を始めとして出資者から直接出資を受けることで、株主として出資してもらう場合や、少人数私募債などの社債を発行して引受けても らう場合などがこれにあたります。

 

2 金融機関等から借入をする場合のメリット・デメリット

 間接金融のケースとして、会社による金融機関等からの借入の場合、法律的には借主である会社と貸主である金融機関等が金銭消費貸借契約を締結する ことになり、会社は債務者となります。金融機関等からの借入の場合には、会社代表者は連帯保証人となることが求められるのが通常で、また、Vol.8で保 証について説明をしましたが、会社代表者以外の連帯保証人などを求められることになります。金融機関等からの借入による場合、貸主である金融機関等は会社 の株主ではありませんから、会社の経営に法律上介入されることはありません。しかし、会社は利益が出ているか否かにかかわらず貸主である金融機関等に対し て元本の返済と利息の支払をしなければなりませんので、会社にとって負担が大きいものです。

 

3 株主として出資してもらう場合のメリット・デメリット

 直接金融のケースとして、株式会社の場合、株式を発行して資金を集めることが可能です。親や友人などに株主になってもらう場合、株主に対し利益の 分配として「配当」をすることになります。ただし、会社に利益が出ていない間は、法律上、株主に配当をする必要はありません。また、株主となってもらう際 に払い込まれた株式払込金の払戻しには法律で定められる厳格な手続の履行が必要とされ、一般に払戻しの必要はありません。しかし、株式会社の株主となった 出資者は、会社の運営に参加する権利を持ちますので、会社の経営に介入してくることが考えられます。また、出資者の持分比率を考えておかないと、後々、会 社の経営権に関して争いの元となる可能性があります。特に、友人との共同経営の場合には、株式の持分割合について注意しておいてください。

 

4 少人数私募債を発行する場合のメリット・デメリット

 会社の規模がある程度大きくなり、会社事業に対する信用ができてきた場合、設備投資資金などが必要となるときに用いられる方法として少人数私募債 があります。少人数私募債とは、会社が身近な少数の人から直接事業資金を募るために発行する社債で、通常の社債発行に伴う官庁への届出や報告の義務などが なく、社債管理会社への委託も必要ないため、時間と費用をかけずに簡単に発行することができます。また、少人数私募債による資金調達の場合は、担保や保証 人が不要で、一定の期日での一括償還のため、長期の安定資金として事業設備の投資などに利用することができます。しかし、会社の損益に関わりなく年1回の 約定利息の支払が発生し、約定された時期に元本全額の償還が発生するため、償還期に資金繰りが逼迫する可能性も生じるので注意が必要です。

 

5 公的助成金制度等の活用

 資金調達には金融機関等からの借入や株主となってもらう出資などいくつかの方法があるわけですが、国や自治体も中小企業のためにさまざまな返済不要の 公的助成金や低金利あるいは無担保の公的融資制度を設けていますので、これらを積極的に活用することも検討してみてください。

 

 以上のように、資金調達の方法はさまざまであり、それぞれにメリット・デメリットがありますので、会社の事業計画等を踏まえてどのような方法を取るべ きか検討しておくとよいと思います。また、出資者に対しては、後でトラブルが起こらないように、貸付と株主としての出資の違いの説明を含めてどのような、 内容の出資であるかについてあらかじめ説明しておくことが必要です。

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