- 目次 -
倒産とは
倒産とは、一般に、会社が事業を継続できないほど経済的に破綻することをいいます。倒産と聞いて通常イメージするものは、会社が消滅してしまうこ とだと思いますが、会社を存続させて再建を目指すものも倒産手続きに含まれます。すなわち、倒産手続きには大きく分けると、会社を清算してしまう手続きと 会社を再建する手続きの2つがあるのです。
倒産手続きの種類
倒産手続きの中には、裁判所が監督する民事再生、会社更生、破産、特別清算などの手続き、そして、裁判所が関与しない任意整理など、さまざまな種類が あり、会社の状態や規模に応じて使い分けられています。
会社の倒産で、手続きがなされないままになってしまうこともありますが、普通は、なんら かの手続きがとられるものです。手続きの中では、任意整理がなされるケースが多いものですが、最近は、破産や民事再生などの法的手続きがとられることが多 くなっています。
以下では特に中小企業の倒産で多く問題となる、破産手続きと任意整理について説明します。
破産手続き
倒産した会社である債務者やその会社に対する債権者が裁判所に申し立て、これを受けた裁判所が、その会社の財務状況につき支払不能などであると認 めると破産開始決定が出されます。この結果、その会社は債務を弁済する法的義務はゼロになります(個人の場合にはさらに債務の支払をする必要がないという 免責決定が必要です)。そして債権者は取り立てることが禁止され、破産管財人の下、倒産した会社である債務者の財産は債権者に平等に分配されることになり ます。ただ、債権について、破産手続きで弁済される額は5 – 10%という少額であることが普通です。この破産手続きのメリットは、法的な手続きであり会社の債権者はこれに従わなければならないため、特に債権者が多 数の場合の手続きの進行がスムーズである点にあります。
任意整理
破産手続きに対して任意整理とは、債権者との話し合いによって債務を 減額していくものです。裁判所の監督の下での法的な手続きではないため、債権者は必ずしもこれに応じる義務はありません。任意整理のメリットはその迅速性 と低コストにあり、実際の倒産の大半は任意整理によるものとされています。ただし、債権者の同意が得られない場合には手続きが進まないというデメリットも あります。
倒産企業からの債権回収方法
取引先企業が倒産した場合、債権回収はどのようになされるのでしょうか。破産手続き開始前は個別に企業に対して、さまざまな法的手続きを行うこと が可能です。一方、破産手続き開始後には前述のように債権者が手続きの外で個別に取り立てることが禁止され、債務者の財産からの債権金額に応じた分配を待 つことになります。任意整理では任意整理を担当している弁護士から提示された会社の債務の整理案に同意しない限り個別に債権を行使することができます。た だ、倒産する企業にはほとんど資産が残っていないことが普通ですので、実際にはほとんど回収できないものと覚悟したほうがいいでしょう。
このように取引先が倒産してしまった時点では債権回収が手遅れとなっていることが多く、場合によっては、その結果自分の会社も連鎖倒産に見舞われ るおそれもあります。その為、そうなる前に、取引先の与信調査などによってできる限り予防していくことが重要なのです。
連鎖倒産したらどうなる?
取引先が倒産して、自分の会社が債権の回収ができない場合、自分の会社も倒産することになりかねません。会社が、金融機関からの借り入れをする場 合、また、卸売業者から商品の仕入れをするような取り引きをする場合、通常、経営者である代表取締役は連帯保証人となることを求められています。また、金 融機関からの借り入れにあたっては、代表取締役以外にも親族などの連帯保証人を求められることが多くあります。
このような場合、自分の会社が倒 産手続きをとって債務の負担がなくなるとしても、代表取締役や親族などの他の人は、連帯保証人として会社の債務につき弁済する義務が存続するため、最悪の 場合、代表者個人などの連帯保証人の自己破産も同時に必要となってきます。会社の倒産では本当に多くの方に迷惑を掛けることになるので、連鎖倒産をしない ように、一社の取引先に依存しないようにし、また、取引先の与信管理については本当に注意をしておくことが必要です。