ベンチャー・キャピタルとの投資契約手順

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局
ベンチャー・キャ ピタルがどのような事業を行っているのかについて、前回解説しました。そこで、今回は実際にベンチャー・キャピタルから投資を受ける場合 には、どのような点に気をつければ良いか説明します。

 

大まかな流れ

 そもそも、ベンチャー・キャピタルに出会うためには、直接ベンチャー・キャピタルに相談しに行く方法、また、取引銀行や弁護士、税理士、公認会計 士などに紹介してもらう、などの方法があります。

 ベンチャー・キャピタルと出会ってから、会社のこれからの事業を説明し、その事業計画に将来性があると判断されれば、ベンチャー・キャピタルから 投資を受けることができるわけです。正式に投資を受けるまでは、おおよそ次のような手順で進んでいきます。

1 秘密保持契約の締結
2  デュー・デリジェンス(詳細調査)
3 投資契約の締結

以上のステップになります。

 

ステップ1―― 秘密保持契約の締結

 ベンチャー・キャピタルは投資をするか否かを決定するために、ベンチャー企業に対して企業情報の開示を求めます。その際には、ベンチャー企業の会 計情報や今後の事業計画を含む情報が開示されます。ベンチャー企業は、この情報が第三者に漏洩されることのないよう、ベンチャー・キャピタルとの間に秘密 保持契約を締結することが必要となります。

 

ステップ2―― デュー・デリジェンス(詳細調査・精査)

 ベンチャー・キャピタルは、ベンチャー企業から開示された、財務諸表や事業計画を含むさまざまな企業情報を調査し、投資をするかどうかの判断をし ます。特殊な言い方ですが、これを「デュー・デリジェンス」と呼びます。

 

ス テップ3―― 投資契約の締結

 ベンチャー・キャピタルが投資することが正式に決まると、投資契約を締結することになります。

 投資契約書とは、ベンチャー企業が、ベンチャー・キャピタルから投資を受ける場合に、ベンチャー・キャピタル(あるいは、ベンチャー・キャピタル が運営しているファンド)との間で締結される契約です。ここでの投資とは、ベンチャー企業の株式や社債をベンチャー・キャピタルが引き受けるということに なります。このため、投資にあたっての株式や社債の引き受け条件が、投資契約書の主な内容となります。

 

投資契約の具体的な内容

 投資契約の具体的な内容としては、株式または社債の発行と引き受けの約束、払い込み手続きの取り決めがメインです。これら以外に、ベンチャー・ キャピタルが投資にあたって重要視するものとして、ベンチャー企業自身が事実であることの確認と保証をする条項が盛り込まれることもあります。この事項 は、例えば、株式または社債の発行手続について取締役会の承認などの必要な手続が適正になされていること、財務諸表に虚偽のないことなどがあります。

  ベンチャー・キャピタルはこれらの事項を前提として、投資の可否を判断することから、これらの事項がそもそも正しいものでなければ困るので、これらについ てベンチャー企業自身によって事実であることの確認とその保証を求めるのです。

 この他にも、ベンチャー・キャピタルの持株比率維持のために、新株発行を制限したりすることがあります。また、万が一ベンチャー企業の事業がうま くいかなかった場合に、ベンチャー・キャピタルは投資金額を回収できなくなるというリスクを負っていることから、ベンチャー・キャピタルから取締役を派遣 するなどの条項が入っていることもあります。この場合、経営方針に直接影響をおよぼされることになりますので、注意が必要です。

 以上のように、具体的にベンチャー・キャピタルから投資を受ける場合には、さまざまなことが問題となります。ベンチャー企業の経営者としては、公 認会計士や弁護士と相談しながら、手続きを進めることが望ましいと思います。

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