会社経営に必要な法律 Vol.13 コジマの家電リサイクル法違反事件

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局
2007年12月、家電量販店のコジマが、消費者からリサイクルとして回収した家電製品を、リサイクルを行うべき製造業者に適切に引き渡していなかったことが判明しました。今回は、このニュースを題材に家電リサイクル法について説明していきましょう。

1.ニュースの概要

 経済産業省と環境省は、2007年12月、家電量販店のコジマに対し、同社が消費者から回収した廃家電製品7万台以上について、製造業者に引き渡していなかったとして、同社に対し、家電リサイクル法(「特定家庭用機器再商品化法」)違反による改善勧告を行いました。

 コジマが、製造業者に引き渡さず不適正処理された廃家電の回収時に消費者から受け取ったリサイクル料金は、総額約2億5000万円にのぼるということです。

 同社は、製造業者に引き渡されなかった廃家電製品の大半は、盗難にあったとしていますが、報道によれば、社員や運搬業者などによる横流しの可能性も否定できないとされています。

 同社に対する家電リサイクル法に基づく勧告は、これで2回目となります。前回は、製造業者への確実な引渡しを求める是正勧告でしたが、今回は管理体制の徹底をも求める改善勧告となりました。

 

・コジマからの発表 

→ http://www.kojima.net/shop/shopnews/ne002/1205.htm 

→  http://www.kojima.net/corporation/ir/pdf/release20071219.pdf 

・環境省の発表

→ http://www.env.go.jp/press/press.php?serial=9135 

・経済産業省の発表

→ http://www.meti.go.jp/press/20071205001/071205_press.pdf 

 

2.法律上の問題

 家電リサイクル法とは、以前は埋め立てられていた廃家電製品について、家電の小売業者や製造業者を通してリサイクルを行うことによる、ごみの減量化と資源の再利用を目指す法律で、2001年から施行されています。

 

・経済産業省の説明

→  http://www.meti.go.jp/policy/kaden_recycle/case1/case1.html 

・環境省の説明

→ http://www.env.go.jp/recycle/kaden/gaiyo.html 

 

(1)義務の内容

 同法は、エアコン、テレビ、冷蔵庫・冷凍庫、および洗濯機の4品目の廃家電製品のリサイクルにつき、小売業者、製造業者、消費者に対して、それぞれ、以下の役割分担を定めています。

 

小売業者:廃家電製品の引き取り

製造業者:廃家電製品のリサイクル

消費者:リサイクルにかかる料金を負担

 

   このうち、今回問題となった小売業者の義務としては、具体的には次のようになっています。

 まず、廃家電製品につき、引取り義務を負う小売業者とは、当該廃家電の販売店および消費者が廃家電製品と同種の家電製品を新しく購入した場合の販売店が原則です。そして、これらの小売業者には、「引き取り義務」、「(製造業者等への)引き渡し義務」、「収集・運搬料金の公表と請求およびリサイクル料金の請求」、「管理票の交付・三年間の保存」の4つの義務があります。 

 消費者が支払う料金の内訳は、「収集・運搬料金」と「リサイクル料金」に分かれており、小売業者は、このうち「収集・運搬料金」を得ることができ、リサイクル料金は製造業者などへ支払われるものです。

 

(2)管理票(マニフェスト)制度

 また、小売業者が回収した廃家電製品が、製造業者に適切に引き渡されているかを確認するためのシステムとして、管理票(マニフェスト)制度が設けられています。

 小売業者は、廃家電製品を回収する際に、消費者に対し管理票(家電リサイクル券)を発行し、その写しを消費者に交付します。消費者はこの管理票を手がかりに、製造業者に引き渡されたかどうかを確認することができます。

 

3.ベンチャー企業として

 家電リサイクル法は、指定された4品目の家電を消費者が処分する場合に問題となる法律です。特に会社として気をつけたいのは、小売業者に対する規制です。インターネットなどを通じて、消費者に商品販売を行う会社は、家電製品を専門に販売する場合でなくても、自社が扱う商品のなかに4品目の家電がある場合、消費者からの申し出があれば、廃家電製品の回収をし、製造業者に対して引き渡さなければなりません。つまり、これら4品目の家電を販売する場合には、販売して終わりではなく、その家電が処分されるまで、義務を負うことになるのです。

 このように、会社の事業に関わる法律は、各分野において多岐に渡ることがあります。特に、さまざまな分野の商品を扱うような事業を行っている場合には、商品ごとに問題となる法律が異なることがありますので注意が必要です。問題となりそうな法律に気づいたときには、関係しそうな官庁や弁護士などの法律専門家に問い合わせてみることが大切です。特に、家電リサイクル法のような行政規制については、管轄官庁のサイト上などに詳しい説明が載せてあることが通常ですので、サイト上の情報で調査し、内容の詳細で気になることがあれば管轄官庁に問い合わせてみることがよいと思います。

起業、経営ノウハウが詰まったツールのすべてが、
ここにあります。

無料で始める