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そもそも「○○検定」って勝手に名称を作れるの?
法律で特段の制限が掛けられていない場合は、原則として作ることが可能と考えてよいかと思います。
例えば、ご当地検定のように地域の商業や観光の発展に寄与することを目的とするようなものは、地域振興の観点からもむやみに制限が掛けないことが好ましいと思われます。また、いままでにない新しい分野の一定の技術水準を認定するような検定試験なども、新しい技術の蓄積や技術の信頼の向上の観点から、任意に検定を開始することは、望ましいことではないかと思います。
勝手に使えないケースとは?
法律で規制されている名称を用いたり、その名称と誤認混同を生じさせるような名称を伴った検定は、制限されてしかるべきだと思います。検定自体の名称もそうですが、その検定の合格者に「○○士」といった称号を与えるような場合も留意が必要です。
弁護士、弁理士、税理士、司法書士、行政書士等、その試験に合格し登録された者のみが、お客さんからお金をもらって法律で規定された業務を行うことが認められた士業と誤認混同を生じさせるような検定も、問題があるということです。誤認混同が生じること自体にも問題がありますが、恣意的に誤認行動を生じさせることを目的にしていたとすれば、公序良俗に反することになってしまいます。
誤認混同や公序良俗に反することにならないためには
まず、使いたい検定の名前を、インターネットの検索エンジンで検索したり、特許庁の特許電子図書館で商標検索をするところから始めましょう。また、その名称の使用が法律で制限されている場合もありますので、電子政府の法律データベースで検索してみるのも必要になるかもしれません。
例えばマンガのキャラクターの名称を用いた検定名の場合には、著作権者の使用同意が必要な場合もありますので、著作権への配慮も忘れないでください。いずれにしましても、すでに周知や著名になっている検定名やその検定名に類似する名称は使わないようにしてください。
どんな名称なら使えるの?
誤認混同や公序良俗に反することか否かは、個別具体的に判断されますので、ここで客観的に説明することはなかなか難しいと思います。実際に新しい検定名を使用し、事件が起こってしまえば当然はっきりしますが、誤認混同を生じるか否かをあらかじめ予想することは困難です。その判断を事前に行う手段として、商標登録出願を行うのも1つの方法ではないでしょうか。商標登録出願を行うと、特許庁の審査官が将来的な誤認混同の発生の可能性を勘案した上で登録の可否を判断してくれます。また、商標登録が認められれば、独占権としても権利を取得でき、一石二鳥と言えます。審査においては、その検定を行う組織の妥当性なども判断の対象にはなるようです。過去の事案としては、例えば、「秘書技能検定」がある中で、関係しない他の組織に「秘書士」の商標登録が認められたケースなどがあります。