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早期審査制度
審査を早くしてもらう方法としては、早期審査制度という制度があります。この制度は、法律的に定められた制度ではありませんが、個人や中小企業を支援するための施策として行われているものです。早期審査の事情説明書を、審査請求と同時か審査請求後に特許庁に提出することにより、審査が早くなる可能性があります(早くなることを補償するものではありません)。
私の過去の経験では、事情説明書提出後、約1ヵ月で最初の審査結果が届いたことがあります。事情説明書は、所定の形式で記載して行いますが、提出はFAXでもOKです。出願人が個人か中小企業である旨を記載する程度で、非常に簡単な書式です。
優先審査制度
ほかにも審査を早くしてもらう方法として優先審査制度というものがあります法律で定められた制度で、出願公開後の発明が他人により実施され、早期に権利化を必要とする場合の救済的な制度です。個人や中小企業でなくても使える制度ですが、事情説明においては、状況の説明をする必要があります。とはいえ、この制度も、優先的に審査をしてくれることを補償する制度ではありません。
早期公開制度(補償金請求権)
優先審査制度では、出願公開後であることが要件ですが、公開前の場合はどうなるのか問題になると思います。通常は出願から18ヵ月後に公開されるまでを、出願人の請求により、早期に公開する制度として早期公開制度があります。
早期公開制度のメリットとしては、補償金請求権への対応も挙げられます。補償金請求権とは、出願公開後、その発明を実施した第三者に対して、登録の際には実施料相当額を請求しますよ、という通知を行い、権利化前の公開発明の無断実施の抑制を図るものです。補償金請求権の要件が、公開後ということですので、早期公開制度とセットで活用する必要があるということです。
中小企業等特許先行技術支援事業
最後に中小企業等特許先行技術支援事業を紹介します。この事業は、審査に直接関係しているというわけではないのですが、審査結果をあらかじめ見通すには非常に都合のよい支援事業です。具体的には、個人や中小企業の審査請求前の案件に関し、特許庁の予算で、先行技術調査をしてくれるというものです。
実際の調査は、民間の調査会社に依頼して行うのですが、特許庁の基準に合致した調査会社が行いますので、精度の高い調査を行ってもらえ、審査の様子を予測することができます。とはいえ、最終的に審査を行うのは審査官ですから、あくまでも先行技術の調査に過ぎず、審査予想ではありません。
未公開先行技術文献がある場合
審査を早期に進めてもらう制度をいくつか説明しましたが、審査官が審査をしたところ、結果待ち通知になるケースがあります。特許は出願公開されるまでは秘密状態のため、もし拒絶理由に係る先行文献が未公開の場合は、その先行文献が公開されるまで待たされることになります。決してレアなケースではありませんので、頭に入れておいてください。