知的財産:Vol.25 偽ブランドをお土産?商標法違反に要注意

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局
自社ブランドに関しては積極的に商標登録出願を行い、権利化を図って他者を排除する動きをしている中小企業さんは多いかと思います。一方で、同じ会社が知らず知らずに偽ブランド品を輸入しているケースも多々見られます。特に、その会社の経営者が、偽物と知りながらお土産品として海外から持ち帰るケースもあります。

実際にあった事件

 ファッション雑貨や輸入雑貨の販売を手がける中堅企業の経営者が、商標法違反の容疑で逮捕される事件が、度々新聞に報じられています。その会社の経営者も、偽ブランド品を販売目的で大量に輸入し、店頭で販売したとして逮捕されました。もちろん、その経営者は偽ブランド品だということを承知の上で輸入していたのです。
 一方で、この会社は、自社ブランド商品の商品名に関し、日本の特許庁に対し商標登録出願を行い、いくつかの商標権を得て、その登録商標を付した商品を販売していました。

 

「偽ブランド=商標法違反」を知らないで

 なぜ、他者の権利を侵害する一方で、自社の商標登録には熱心だったのでしょうか?実は、
この経営者も他の多くの経営者もそうですが、「偽ブランド=商標法違反」ということを知らな
い場合が多いのです。 
 偽ブランドというものを、商品全体としてとらえ、商品の外観がそっくりな偽物が偽ブランド品であって、商品名である商標とは無関係だと考えているようです。しかし、実際には、その偽物には多かれ少なかれ商標が付いているのです。

侵害対処には2とおりある

 偽物商品を排除する侵害対処には、大きく2つの方法があります。まず1つは、不正競争防止法による不正競争の排除です。他人の商品等表示にただ乗りする周知表示混同惹起行為や著名表示冒用行為と、デッドコピーに関する商品形態模倣行為を不正競争行為として差し止めたり、損害賠償を請求することができます。 
 もう1つは、意匠権や商標権のような特許庁の審査を経て取得される産業財産権による保護です。一般に言う知的財産権の侵害です。不正競争防止法の場合、出願・審査・登録を経ず保護が図られるので、商品販売直後の対処に用いられるケースが多いかと思います。ただし、意匠権や商標権のような国のお墨付きのある権利によるわけではないので、こちらが侵害を立証する証拠をそろえるなどの手間が掛かることになります。過去の有名な不正競争防止法により迅速に対応がなされたケースとしては、iMac事件が挙げられます。

 

偽物は水際でSTOP

 偽物を日本の玄関口である空港や港で押さえてしまう手もあります。意匠権や商標権などを根拠に税関当局にあらかじめお願いしておけば、侵害品と思われる物が国内に持ち込まれた段階で、連絡をもらうことができます。 
 実際に、2007年1 月~2007年9月に大阪税関での偽物の摘発件数は1万6千件にのぼるようです。

 

 

まずは身近な意識から

 年末年始、夏休みなど、プライベートで海外旅行をされる場合などは特に仕事も忘れ、気も緩みがちですので注意してください。経営者の方であれば、自社商品のことを考えたら、決して偽物を買うような気持ちにはならないとは思いますが。たとえ1点でも知的財産の侵害になる!ということを肝に銘じ、ご自身の仕事との一貫性をもって臨んでいただきたいと思います。

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