- 目次 -
新規性の原則
発明が特許として登録されるための要件にはいくつかありますが、その一番の要件が新規性です。新規性とは、その発明が世の中に知られていないか、世の中で使われていないか、刊行物などに掲載されていないか、というポイントで判断されます。ですから、例えば、発明を公開してしまった場合には、この新規性の要件を満たさず、その発明は登録されません(審査で拒絶されます)。
公開したのが発明者や特許出願人本人でもだめ?
例えば、その発明に係る商品を販売したのが、発明者本人や特許出願を予定する会社の場合はどうでしょうか?答えは、ダメ!です。法律上、誰が新規性を失わせたかは問題にならないのです。あくまでも、新規性のない発明は登録させないというのが原則なのです。
でも現実は・・・
確かに、商品の出荷を始めてから特許出願を行い、登録されるケースはあります。なぜ登録されるのかですが、審査にあたる審査官は、その関連商品が販売された実態まで審査できないため、結果として審査をとおり登録されてしまうのです。ですが、権利化後、利害関係人が、出願前にすでに新規性が失われていたことを明らかにする証拠をもって特許権の無効審判を請求すれば、その特許権ははじめから無かったことになるのです。このようなグレーな権利では、将来の侵害に対する権利行使の上で、著しい弊害を生じかねません。
対象方法は、新規性が失われる前に出願を済ませる!
正直言って、新規性を担保するためには、少なくとも自身が販売や展示会に出展する前に、出願するしかありません。ただ、販売予定日の1週間前に特許事務所に案件を持ち込まれても、おそらくどの事務所でも断られると思います。どんなに遅くとも1カ月前には弁理士に相談してください。
例外があるのでは?
確かに、書籍や新聞に掲載された場合、特定の展示会に出展した場合などには、新規性が喪失していないものとして取り扱う例外規定はあります。これらの事由で公になった日から6カ月以内に所定の手続を伴う出願を行い、所定の証明書を提出することは可能です。しかしながら、今回のケースのように、展示会はOKでもその後の販売は、救済されないので逃げようがありません。また、あくまでも新規性が失われていないとみなすだけで、出願日まで遡ってくれるわけではありません。
くどいようですが
発明を公にする前に、必ず出願してください。そして、新規性喪失の例外をあてにしないでください。