知的財産:Vol.20 外国での商標登録する方法

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局
日本国内で自社製品に名前をつけて販売していたところ、外国でも売って欲しいという話が舞い込むというケースが最近多いようです。このような場合の商標の管理をどうすればいいのか?という質問を意外と多く受けます。外国での商標について説明します。

日本で商標権を持っていてもだめ?

 商標権を含め知的財産権は、原則、属地主義を取っています。このため、例え日本で商標権を持っていても、所詮は日本だけの権利なので、他の国で日本の権利をもとに権利主張することはできません。権利主張したい国があれば、その国で新たな商標登録出願をするのが原則です。

 

国ごとでは大変なことに・・・

 しかし、通常は、多くの国で同じ名前で商品を売りたいわけで、それぞれの国毎にバラバラに書類を作成して、現地代理人に依頼して出願していては、とんでもない作業と費用がかかってしまいます。出願時は、審査結果などがその国の特許庁から来ますから期限管理もできますが、登録された後の更新期限が国毎にバラバラですから、管理はとても煩雑です。それでいて、各国の手続きの内容は、言語の違いはあるもののほとんど同じなのです。

 

国の数が極めて少ない場合

 権利を取得したい国の数が少なく、日本の出願から半年以内であれば、パリ条約による優先権主張を伴う出願を各国に行うことができます。とはいえ、原則とおりの国毎の出願で、審査の基準日が、日本の出願日になるだけで、作業においては、メリットはありません。

 

国際登録制度

 商標の場合は、国際登録制度がありますので少なくとも国際登録制度に関する条約に加盟している国に対しては、一元的に管理された出願を行うことが出来ます。また、この制度を活用すれば、更新の管理も一元的に行うことができます。自国の特許庁を経由して国際事務局に出願することで、願書で指定した各締約国で商標登録出願をしたのと同じ効果が得られます。

 1つの出願で、複数の国で権利を確保でき、更新などを一元的に行えます。なお、特許でもPCTという似たような制度がありますが、権利管理は一元的に行えず、あくまでも出願が簡略化されているにしかすぎませんので、ご注意ください。

 

自国の商標が基礎に

 国際登録制度の場合、自国の商標登録出願または商標登録を基礎にします。つまり、少なくとも基礎とする出願がない限り使えない制度なのです。まず日本の特許庁に商標登録出願をして、その出願を基礎に国際登録制度を進めるということになります、この場合、日本の商標は、必ず登録されていないと行けないわけではなく、出願中の段階でもよいのです。

 ただし、自国出願が登録されず一定期間経過前に自国出願が消滅してしまうと、各指定国での効果も消滅してしまいます。日本での審査の状況に応じて、国際出願していただくことになります。

 

意外に少ない加盟国

 一見、とても便利な制度に見えますが、実はこの国際登録制度を使える国は少ないのです。とはいえ、米国、ヨーロッパが使えるようになりましたので、加盟国に留意いただきつつ、活用していただければと思います。

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